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第21話

しばらくすると、結月は夜、穂高のベッドで共に眠るようになった。 穂高と眠ると何故か嫌な夢を見ることもなく、心地よい、と結月は穂高を信頼していた。 結月には言わなかったが、穂高も同じだった。 寝付きが元々悪く、1人の時も、史弥と裸でベッドに並んでいても、史弥の熟睡する寝顔を眺め、結局、その後はしばらく、天井との睨み合いが続く。 パジャマを着たまま寄り添い眠る、結月の寝顔を見つめた。 艶やかな黒髪に長いまつ毛、鼻筋が通り、あどけなさの中に、きっと歳を重ねたら、誰もが振り返る、毅然とした美青年になるに違いないと思わせる気品ある顔立ちだ。 史弥は全ての色素が薄く、ハーフのような出で立ち、声も艶やかで、色気で人を引き寄せる。 全く異なるΩだ。 しかし、元は結月はα。 もし、結月がΩに変異しなかったら、どうなっていたんだろう...。 優秀なαとして、素晴らしいΩと出会い、番にしたのだろうか...。 どちらにせよ、Ωに変異しなかったら、自分と結月が出会う可能性はなかっただろう。 あったとしても、互いにαの生徒とαの保険医という立場で意識することなく、素通りしていたんじゃないだろうか...。 穂高は眠る結月の前髪を指でそっと払い、おでこにゆっくり軽い口付けをした。 その瞬間、眠っていたはずの結月の瞳が開いた。 「...穂高先生....?」 間近にある、穂高の顔を結月は見上げた。 ベッドの中の薄闇で穂高と結月、2人の瞳が交差した。 長い時間のように感じた。 自然と互いの瞳を見つめていた。 まるで引き寄せられるように、穂高と結月の唇が重なった。

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