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第30話
帰宅するなり、結月は検査結果を史哉に知らせたい、と言い張る。
穂高は史哉の性格を十二分に知っている為、気乗りしなかったが、史哉に連絡を入れた。
約一時間後、拓磨も連れて現れた史哉の顔には笑顔が浮かび、穂高を驚かせた。
「穂高の子供になってたんだって?」
「はい。史哉さんのお陰です。史哉さんが僕に教えてくれたから....」
「別に僕は大した事してないよ。途中でケーキ買って来たんだ。あとでみんなで食べようよ」
史哉に結月が笑顔で応える。
いつの間に仲良くなったんだ、と穂高は2人から目が離せない。
「触ってもいい?」
史哉が結月のお腹を優しく触る。
「...子供がいる、てどんな感じ?」
上目遣いで史哉が尋ねると、しばし、結月は考えた。
「最初はただただ怖いだけでした。でも...穂高先生の子供になっているのがわかるよりも前に、なんていうか...愛おしいような存在になっていて」
「へえ....ねえ」
史哉が不意に振り向いた。
「僕たちも作ろうよ、子供。若いパパ、ていいじゃない?」
史哉のコロコロとした笑顔、穂高は自分に言っているのかと思いきや、視線を辿ると拓磨に言っているようだった。
穂高も結月も唖然となっている。
「お前が子供を?想像つかないんだけど」
拓磨が困ったように笑う。
「あ、あの...史哉さんと拓磨さん、て....?」
「ああ」
と、史哉は立ち上がり、拓磨の腕に腕を絡ませた。
「付き合ってるんだ。拓磨が付き合ってくれ、てしつこくってさ」
「そ、そうなんですか....」
拓磨は口元に弧を描き、史哉をデコピンした。
「俺が告白したねえ、まあいいや、そういうことにしといてやるよ」
拓磨の優しい眼差しに、
「な、なんだよ、そ、それじゃ、僕が告白したってバレバレじゃない」
またもや、穂高も結月も唖然となったが、穂高だけは思わず、吹き出した。
「お前から拓磨に告白した、て自分で白状してるぞ、史哉」
途端、史哉の陶器のように白い顔が瞬く間に赤く染まった。
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