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第58話
拓磨と史哉、穂高と結月とで史哉のこれからの一通りの服や日用品などを買い、いわゆる、初めてのダブルデートだ。
「なんか、僕、注目の的、ですね....」
穂高と手を繋いでいた結月は自分の目立つお腹のせいで行き交う人の視線に戸惑った。
「気にすんな。どうせ、赤の他人なんだ」
「お前もいずれ通る道、だな、史哉」
拓磨の腕に腕を絡ませ歩く史哉に拓磨が言う。
「そっか、そうだよね。あんま、実感、沸かないけど。てか、結月は買うもんとかないの?買いたいもんとか」
史哉が結月に尋ねると、結月は宙を仰ぎ、思案した。
「....本屋。本屋、行きたいかも」
「本屋かあ、レシピ本?」
「それもあるけど、たまには小説とかもいいかなって」
「小説かあ!僕も好き!なんなら、僕のおすすめ、紹介しようか?」
「本当ですか!?詳しくないから、助かります!史哉さん」
すっかり仲良くなった、結月と史哉がいた。
結月の本選びに史哉も付き合い、昼時になり、皆で一軒のレストランに入った。
1つのテーブルに結月と穂高、史哉と拓磨がそれぞれ並び、向かい合い座る。
「はい、拓磨。あーん」
壁際に座る拓磨に、史哉はステーキを切り分け、口元に当てる。
拓磨も照れながら、受け取った。
そんな二人をきょとん、と結月は目を丸くし、見守った。
「美味しい?拓磨」
「う、美味いけど、人前ではやめろよ、照れくさい」
史哉の無邪気で明るい笑顔に穂高は釘付けになっていた。
「....ごめんな、史哉」
穂高の真剣な眼差しに、史哉は目を丸くする。
「....なんのこと?」
「....お前を冷たくあしらってきたこと。悪かったと思ってる。今更だけど、ごめん」
史哉は笑顔になった。
「なーんだ、そんなこと?気にしてないよ。穂高とのことより、拓磨の方が僕は気になるし」
そう言って、ステーキを切り分け、一口サイズの肉を口に放り込んだ。
「拓磨さんのこと?」
「うん。拓磨の過去の恋愛。4.、5人彼氏いたらしいけど、どんな人だったのかなあ、とかどんなデートやエッチしてたのかなあ、て」
「な、なるほど」
「気にすんなって言ったろ?史哉」
「だって、気になるんだもーん」
口を尖らせ、拗ねる史哉。
「た、確かに。ぼ、僕も...気になるかも」
え?と全員が俯き気味の結月を見た。
「ふ、史哉さんと、その、穂高先生、どんなエッチ、してたんですか?やっぱり感じました?穂高先生は....」
それ以上は言わせまい、と史哉は慌てた。
「全然!結月と付き合い出してどうかわからないけど、穂高、かなり下手くそでさ!ぜんっぜん、気持ちよくなかったよね!」
「....ほんとですか?」
「うん!僕とのとき、穂高、超、下手くそでさ、やばかったよ、ある意味」
「....なんだと」
穂高は怒りを込め冷ややかに呟いた。
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