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チラ、と少しだけ困ったような表情をしている執事に視線を投げた。
「……嫌なら、いいけど」
(…なんだよ。ばか)
もしかして本当にそう思われてるのかもしれない。
…こうやってあーんするのを嫌だと思ってるのかもしれない。
もしそうだったらどうしようと柄にも無く結構へこんでしまう。
しかしそんな弱い感情を表には出さず、ぷいとそっぽを向いた。
ここでやっぱり自分で食べる、と素直に言えないのは性分だ。
ふん、と怒ってるアピールをする。
…だけど怒ってるぞ、という態度をとりながら、明らかに全身はびんびんにアンテナを立ててさっくんの動向を窺っていた。
すると、カチャリとスプーンを皿に戻す音。
「夏空様に頂ける御命令に、嫌なことなんて1つもありません」
「……ほ、本当だろうな?」
聞こえてきたいつもの決まり文句に、ぴく、と身体が反応した。
ちらり。
背けたばかりの視線を執事に向ける。
嘘だったら許さないぞ。と言外で伝えるとふわりと甘ったるい笑みを浮かべた。
「はい。貴方をお世話させていただけることが、俺の一番の幸せですから」
「…っ、ば、ばか」
「ふふ。ばかですね」
ふわりとあまりにも自然に、なんの抵抗もなくすんなりと頷くから
…嬉しくて。恥ずかしくて。そんな気持ちにどう対処していいかわからなくなる。
「ばかっていわれて頷くな」
もし自分にしっぽがあったら滅茶苦茶に振って喜びまくっているだろう感情をなんとかおさえながら、ばか、と2どめの暴言を吐いた。
普通なら怒ってもいいはずなのに、「有難うございます」と笑顔で謎にお礼までいってくる始末。
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