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sleepy...?

 寝る準備を整えて、二人で潜り込んだ狭いベッドの上。  ころり、と颯真の方へ寝返りを打った。 「……ねぇ、颯真」 「……んー?」 「あの……」 「ん?」 「……あのさ」 「ん?」  ふわ、と。小さな欠伸が聞こえたら、ううん、とそっと首を振る。 「……なんでもない。……ほら、早く寝よ」 「……ん?」  早く早くと、気取られないように颯真の腕にすり寄って、ずむ、と腕と布団の隙間に顔を埋める。 「…………司?」 「ん?」 「…………ホント、かわいいね」 「っ」  優しくて蕩けそうな声で幸せそうに呟いた颯真が、さらりと髪を撫でてくれる。 「ねぇ司」 「ん……?」 「オレ、もっと司とイチャイチャしたいんだけど」 「っ……でも、さっき」  あくび、と。びっくりして飛び起きたら、ふふ、と優しく笑う颯真の顔に気付いて。  気恥ずかしくて、ぱふん、布団に倒れて掛け布団を目の下まで引き上げる。 「ねぇ、司」 「…………何?」 「気ぃ遣わないでよ」 「……」 「イチャイチャしたかったら、イチャイチャするから」 「…………イチャイチャしたかった訳じゃ……」 「ん?」 「…………」  オレを窺う、柔らかくて優しくて、でもほんのちょっと意地悪な視線から目を逸らして、口の中でもごもご呟いてたら。  つん、とおでこをつつかれて、しぶしぶ颯真に目を戻す。 「もっと、オレのこと欲しがってよ」 「ッ」 「大丈夫。オレも司のこと、いつでも欲しいんだから」 「っ……」 「おねだり……してくれたら、オレ、めちゃくちゃ嬉しいから」 「ぁ……」  にこり、と微笑った顔が、ふわふわした柔らかくて優しい手のひらで、頭を撫でてくれるから。 「…………そうま」 「ん?」 「……ぎゅって、して」 「ん」  ぎゅーっ、と。愛しげに笑った声が紡いで、寝転がったままの不自由な体勢で、それでも精一杯抱き締めてくれる。 「……それから?」 「ぇ?」 「ぎゅって、するだけ?」 「……………………今、は」 「ん?」 「今、は……ぎゅって……して」 「……りょーかい」  ふふ、と楽しそうに笑った颯真は、頼まなくても優しくて軽いキスを、そこらじゅうにくれるから。 「ん、ふ……っ」 「……ね」 「ん……っ?」 「もっと……オレ、司のこと欲しいんだけど」 「ッ……」 「司は、オレのこと欲しくない?」  さわ、と。お尻を撫でた颯真の熱い手のひらに、蕩けた息が零れて。 「司のこと、欲しいんだけど……いい?」 「ぁ……」  ぞくりと背中が震えるような、低くて甘い声を、耳に直接注ぎ込まれて。  顔が熱くて、そこら中がぞくぞくして。  震えた。 「そ、ま」 「んー?」 「……そ、ま」 「ん?」 「…………ほし?」 「ん。司のこと欲しい」 「んッ」  頷くと同時に。  自分から唇を奪いにいったら。  驚いていた気配が、徐々にあの、獣じみた気配に変わっていくから。 (……あぁ……好きだなぁ……)  求めて求められる気持ちが爆発するみたいな、この一瞬に、いつも心が跳ねて暴れる。  口内を蹂躙する舌に翻弄されながら、ふ、と笑ったら。 「司?」 「……ん?」 「どしたの? 嬉しそう」 「…………ん」  嬉しい、と呟いて笑ったら。  獣のカオしてた颯真が、いつもみたいに幸せそうに、顔いっぱいに笑ってくれた。 「オレも」  嬉しいよ、と紡いだ唇が、優しく唇を啄んで、手のひらが優しく頭を撫でてくれた後。  ぎゅう、と。強く抱き締めてくれた腕と、伝わってくる布越しの熱に、そっと震えた体を。  さらに追いたてるように手のひらが這っていった。

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