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第1話~窓際のきみ~

毎週土曜日 15時~16時の1時間 雨の日も風の日も例え大雪だとしても……、その人は同じ時間に同じ場所で、同じ珈琲を飲んでいる。 サラサラの黒髪、白い肌に目元と口元にあるホクロがエロイ! いつも涼しい顔で、難しそうな本を読んでいる。本を読む俯き気味な目元は、長いまつ毛で影が出来ている。 1度で良いから……あの唇で俺のピー(自主規制)ーっを咥えて欲しい。 ……という邪な思いを知ってか知らずか、突然、窓際のきみが俺の方へ視線を向けた。 「すみません」 にっこり微笑み、俺に声を掛けて来た。 思わず左右を確認して自分を指差すと、彼は美しい笑みを浮かべて頷く。 オドオドしながら近付くと、コロンだろうか?ふわりと物凄く良い香りがする。 「コーヒーが冷めてしまったので、替えて頂けますか?」 あの美しい唇から、これまたイケボな声で言われてポーっとしてしまう。 ああ……右目の下にホクロが2つあるんだ……。 ぼんやりと見つめていると 「あの?」 と声を掛けられて、慌てて我に返る。 「すすすす……すみません!」 慌ててカップを掴み、コーヒーをこぼしてしまう。 咄嗟にお手拭きに手を伸ばし、俺のシャツの袖と布巾により、彼には掛からずに済んだ。 ホッとしていると 「あの……大丈夫ですか?」 と聞かれ、彼は俺の袖を濡らすコーヒーに視線を落とした。 「あ!大丈夫です。お客様に掛からなくて、本当に良かったです」 そう言って笑った俺の手に触れると 「でも……染みになりますよね?」 って俺の顔を見上げた。 ヤバい! 顔が近い! 近過ぎる! 思わず唇をガン見してしてしまい、慌てて顔を逸らすと 「すみません! 大丈夫ですか?」 と、慌ててフロア担当の友也が走ってきた。 テーブルを拭いて 「熊さんは洗い場に戻って!」 そう言われてしまい、俺はしょんぼりと洗い場へと歩き出す。 「あ…! ねぇ、きみ」 と呼ばれ、俺が振り向くと 「お代わり、忘れないでね」 って微笑んだ。 「高杉様、コーヒーなら俺が……」 「僕は、彼が良いんだ。それに、忙しい彼を呼んでこうなったんだから、彼は悪くない。しかも、身を呈して僕にコーヒーがかからないようにしてくれたんだから、怒らないで上げてね」 友也が「高杉様」と呼んだ彼は、そう言うとにっこりと微笑んだ。 その後は、友也に見守られながら無事にお代わりをお出しする事が出来た。

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