18 / 88
page18
「王子! ご無事で何よりです!! 記憶も戻られていらっしゃるのですね?」
「うん、隠していてごめんね。この世界の両親に迷惑をかけたくなくて……。実は魔力も以前よりも使いこなせるようになったんだ」
「それなら話は早い。ゼレンティーテにお戻りいただけませんか?」
――ここは何処だろう。ポポルの声がする。
「ごめんね、俺はこの世界で七瀬と生きていきたいんだ。父さんと母さんには、何れ正式な文章を送って知らせるつもり――」
真城がオレの名を呼んだ?
「ん、ましろ……?」
ここは何処? オレ、どうしたんだっけ?
なんでだろう。身体がすげぇ怠い。
閉ざした目を開けようとすれば、思うように目が開かない。
「疲れただろう? もう少し眠るといい」
「ん……」
優しい声に導かれ、オレはふたたび静かに瞼を閉じた。
**第1話・END**
ともだちにシェアしよう!