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【第2話】夏祭り
学校から家に戻る途中の真っすぐで緩 い下り坂を俺たちは並んでのんびりと行く。結局、今年の夏の思い出も学校と補習に塗り潰されてしまった。
「どうだった?」
「……うーん、微妙?」
「なんで疑問形なんだよ」
そう言って笑う壱人もおそらくは俺と同じようなもので、明日返ってくる答案で合格するようなことはまずないだろう。毎日、学校に足しげく通い、俺たちが受けているのは追試のようなものだ。
授業日数が足りない補習とは違い、壊滅的な成績で受ける補習は毎日配られるプリントで合格点を取った瞬間に終わる。普通なら数日で終わってしまうのに、おバカな俺たちの補習はなかなか終わらない。
毎回あれやこれやと手を変えてプリントを作り、毎日俺らに付き合ってくれる先生に感謝。感謝のついでに合格点も欲しいところだけど、なかなかそうはいかないらしい。
「まあいいか。明日は土曜日だし」
そう言う壱人の言葉にうんうんとうなずきながら、惰性で上がり気味の歩くスピードを落とした。
あれから一週間が過ぎ、壱人はめでたく彼女と別れた。それからの壱人は誰とも付き合うこともなく、実はこっそりと付き合い始めた俺たち。けど、付き合うといっても普通のカップルのように手を繋いだり、学校でしょっちゅう一緒にいるわけにはいかない。
だからお互いの部屋を行き来していちゃい……、もとい。あれこれやってるんだけど、そのたびに盛ってくることだけはマジで勘弁して欲しい。
「なあ。明日どっか行かね?」
「どこへ?」
「あー、えーと……」
閉め切った部屋じゃなきゃどこでもいいんだけどな。結局、男二人で出掛けて不自然じゃない場所がゲーセンやカラオケぐらいしか思い浮かばなくて、
「明日は朝から泉の部屋に行くから」
――覚悟しとけよ。
そんな男前なことを言われ、俺はがくっと肩を落とした。
どうでもいいが俺たちは、初めてお互いの気持ちを知った日にそのまま一線を越えてしまった。手の早い壱人に押し切られる感じだったけど、別にそれが嫌だったわけじゃない。
ただ、部屋の外でも壱人と一緒にいたいだけだ。毎日毎日、同じ場所では飽きもする。
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