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親友がまたなんか言い出した(完結)

   卓の腰が押し付けられる。最後の最後まで自分のものを俺の中に残そうとするように。  俺は卓からの僅かな刺激に体を震わせながら余韻に浸っていた。 「卓、そろそろ抜いて……」 「ん……」  ゆっくりとした動作で俺の中に収めていた熱の塊を抜かれ変な声が漏れそうになるが、歯を食いしばって我慢した。  卓は俺の肩を引いて仰向けにさせ、深いキスをしてくる。  卓のキスは気持ちいい。そりゃあれだけ俺で練習してれば上手くもなる。ただ難点を上げるとしたら、しつこい。  もぉホントしつこい。他の人としたこと無いけど卓のキスはしつこい部類に入ると思う。  今だってまだ呼吸が整ってないのに無駄に気持ちいい所々ばかり舌で舐めてくるから、全然呼吸が整わない。 「んんんっ……!!」  そうこうしてる間にまた挿れてきた。正気かコイツ。  俺の両膝の裏を胸ぐらいまで持ち上げられて深く打ち付けられる。  なんかいつも気持ちよすぎるキスで頭がまわってないうちに好き勝手されてる気がするんだけど。  衝撃に耐えるため卓の首にしがみついたら俺の尻に入ってる卓の物が大きくびくついた。 「卓っ……ちょっと、待てって!」  制止の声なんか全く聞かず、謎のジェルと卓が先程出した液で充分濡れた穴を荒い腰使いで攻めてきた。  あまり慣れたく無いけど慣れてしまった俺の尻は、痛みはあまり感じず快感だけを拾おうとする。  痛みはないけどやっぱり苦しい。気持ち良すぎて苦しい。 「んあぁあっ、卓、たくっ!!」 「瑠衣、ごめっ、止まんね……っ」  片手は俺の膝を持ったまま、片手で俺の肩を抱き寄せて興奮したように耳元で言われたら、興奮が伝染してしまう。  濡れた穴を攻められる水音と、腰を打ち付けられて肌同士がぶつかる音が卑猥すぎて耳を塞ぎたくなる。  何より俺の叫ぶように響く声が恥ずかしすぎる。 「ぁ、あっ、た、くぅ……!」  俺の苦しそうな声に反応したのか、卓は顔を上げて何度もキスを落としてくる。  その間も動きは止まらないから苦しいままなんだけど、キスをされると少し苦しさが誤魔化されたように感じる。  卓が俺の顔の横に手を付いて体勢を立て直し、更に動きが早くなる。  限界まで張り詰めた卓のペニスは追い上げにかかっているようで、激しい動きで俺の良い所ばかり打ち付けてくるからもう頭の中はぐちゃぐちゃだ。  喉が痛いけれど、叫び声は止まらない。 「瑠衣、るい……っ」  そんな中聞こえた卓の切羽詰まった声に、かたく閉じていたまぶたを開く。  涙で滲んだ視界に汗にまみれた卓の顔が見えて、途端に胸が締め付けられた。  なんて顔して見てるんだ。  その目は俺を見てるのか未来の彼女を見てるのか、なんかもうよく分からない。  ただ、そんな目で見られると凄く切なくなる。  ずっとこんな顔して俺を抱いてたのかな。 「あぁ……、も、卓っ」 「うん、俺ももぉ出そっ……一緒にイこうな瑠衣」  そう言って俺のペニスまで扱ってくるものだからいっそう俺は昂ぶってしまう。  その状態のまま良い所を突かれたら俺はあっけなく射精してしまって、イッた余韻で卓の物を締め付けたらしく、すぐに最奥で熱い体液を注ぎ込まれた。 「あ、あ……出てる、卓の」  抱きしめられ揺さぶられる体を震わせ呟いたら、卓は苦しそうに唸って「あんま煽るなよ」と言ってきた。  良く分からないが黙っていた方がいいのだろうと卓のなすがままになっていたが、一向に抜く気配が無い卓にこのままではマズイ予感がしてペシペシ背中を叩いた。 「卓、抜いて……」 「ん、もうちょい……」 「ダメだって。また大きくなりかけてるじゃん」  俺が少し強めに言うと、卓は渋々俺の尻から腰を引いた。  どろりと穴から卓の出した物が流れてきて、中で出された事を今更ながら怒った。 「後で俺がかき出してやるから」 「いい、自分でする」  向き合って座った状態で顔中にキスしてくる卓は反省の色が全くない。  ちょっとムカついたから腕で卓の胸を押してキスを拒否してやった。悲しそうな顔をするな。 「それよりさっき何塗ったんだよ」 「さっきって?」 「尻に何か塗ったろ。冷たいやつ」 「ああ、あれな」  卓が茶色い紙袋をごそごそして、取り出した物を俺の手のひらに乗せた。  ゼリーを小さくしたような容器に薄いピンクのジェルのような液体が入ってた。  パッケージには英語でラブジェルと書かれてる。 「これ個包装で衛生的だし、口に入れても大丈夫なんだぜ」 「なんだぜじゃなくて、何でこんなもん持ってんの?」 「そりゃ瑠衣になるべく負担をかけないように……」 「……つまり最初から俺にこういう事するつもりだったの?」 「おぅ!」  卓の非常に良い返事に頭を抱えたくなる。少しは誤魔化せ。 「あのさぁ……、さすがにこういうのは彼女としてよ。ここまで練習に付き合わされるとは思わないじゃん。俺だってこんなのは恋人としたいし」  恨みがましく言って睨みつけてやったら、卓は急に真剣な目をして俺の両手を握ってきた。あ、これとんでもない事言う時の卓だ。 「じゃあ、俺と恋人になろう!」  ほらな。 「何でそうなるんだよ」 「俺はずっと瑠衣のことそんな目で見てた! 瑠衣だって俺がする事拒否しなかっただろ。それって期待して良いって事だろ?」 「いや、ただ流されただけで……」 「瑠衣!」  卓が俺の両手を握ったままさらに迫ってくる。鼻息荒い。怖い。 「俺は、瑠衣じゃないと駄目なんだ……。ずっと好きだった。瑠衣は……俺じゃイヤか?」 「イヤだ」 「なにぃ!!」 「なにぃじゃない! さすがに今日は流されないぞ!」 「そこをなんとか!」 「なんとかなるかっ!!」  逃げようとする俺と逃がさんとする卓は散々ベッド上で言い争って、そんで何故か第三ラウンド突入しててホント何でそうなった。  不本意だけど、俺達の関係はまだまだ続くようだ。  [end]

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