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第4話
夢を見ている。変な夢だ。
目の前の少年が俺に問いかける
「もしも1つだけ願いが叶うなら、君は何を願う?」
なんて使い古された質問
世界平和?永遠の命?億万長者?
馬鹿げてる
「願いが…いくつでも叶いますように。と願うかな」
俺がそう答えると少年は困った様に笑った
「それはちょっと無理かな…」
「俺はそういう人だよ。何か1つなんて選べない」
とてもズルい人間だ。
少年は困った顔をして少し考え、また困った顔をした。
「えっとね、じゃあもし、無人島に何か一つ持って行くとしたら?」
また使い古された質問
「コンビニ」
「っえとね、そうじゃなくてね」
少年が戸惑う
「スーパー」
「だから…そうじゃなくてっ」
少年は少しムッとした
「百貨店」
「だから!そうじゃないの!!!!」
「言ったでしょ、俺はそういう人だって」
一つなんて選べない
俺がそう言うと少年はまた考えこむ。
困ったな、と考え、あーでもない、こうでもない、と繰り返し、また考え、そして少年は顔を上げた
「わかった。出来ることはする。僕、君の為に頑張るね。不幸で可哀想な君の為に」
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