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第1話
月夜が似合う滑らかな白い肌や、浅く開いた唇に幾度となく接吻を繰り返す。
彼の瞼は閉じたまま、何の反応も示さない。
そう、僕が殺してしまったのだから。
「今宵は一段と御美しいですね 。」
乱れた着物を脱がせると、女性より繊細で華奢な身体が露となった。
艶やかな髪を撫でながら、薄紅色の突起を口に含み飴玉の様に舐め回す。
高鳴る胸の鼓動に比例して、己の性器は先走りを零していた。
冷たい皮膚に軽く擦り付けると、其れだけで達してしまいそうになる。
細い脚を持ち上げ、まだ少し柔らかな蕾を丁寧に解していく。
頃合いを見計らって、ゆっくりと挿入した。
「は..っん..ぁ..」
緊張と背徳感に興奮し、甘ったるい吐息が漏れる。
最奥に辿り着いた刹那、とろけそうな程の快楽が全身を支配して、気付いた時には既に中へと射精していた。
余韻に浸りながら溢れる白濁を指で掬い取り、彼の口許をなぞる。
「とても可愛らしいですよ。」
初めて満たされた欲に、自然と頬が緩む。
射精したばかりだというのに、下半身が再び熱を帯び始めているのが分かる。
荒ぶる呼吸を落ち着かせ、そっと彼に跨がった。
先程より硬い蕾を壊さぬ様に挿入し、慎重に腰を動かしていく。
心地好い温度に油断して、突き上げる速度を上げてしまった。
「ひ..っんぅあああ..!」
痺れる様な快楽が襲い、自分のものとは思えない程に甲高い声と共に絶頂を迎える。
死体愛好に目覚めたのは、親友の死が誘因だった。
霊安室で眠る友の亡骸を目の前に、欲情している事に気付いてしまったのだ。
そうして僕は初めて、魂の宿らぬ肉体を抱いた。
隣で笑ったり泣いたり怒ったりする、生きていた貴方を好きだったのは嘘ではない。
でもどうしても、其れだけでは満たされなかった。
こんな僕を、今まで愛してくれて有り難う。
そして、本当に御免なさい。
「腐ってしまっても、愛しています。」
覆い被さる様に抱き締めた彼の頬に、ぽつりと透明な雫が落ちた。
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