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第2話

上着を脱いでエプロンに着替え、使わない食材を冷蔵庫に入れていく。 それからパスタの具材を切っていると、同じようにエプロンを着た真尋がちょこんと隣にやって来た。 「手伝うよ。何すれば良い?」 「麺とアスパラ茹でてもらえる?クリームソースすぐ出来るから。」 「りょーかい。」 「ん、宜しく。」 キッチンはあまり広くないけれど、こうしてたまに二人並んで料理をすると真尋がいつもより更に楽しそうに笑うのだ。 それが嬉しくて、釣られて自分も笑っていることに気付いた。 「茹で上がった?」 「ちょうど終わったとこ。」 「ありがとう。もう出来るから紅茶いれて待ってて。お湯は沸いてる。」 「うん、わかった!」 茹でといてもらったアスパラと麺をソースに絡めて皿に盛り付け、最後に軽く粗びき黒コショウを振りかける。 前に見たレシピ通り上手く出来た、と思う。 「お待たせ。はい、鮭と春野菜のクリームパスタ。」 「美味しそう!」 「冷めないうちに食べようか。」 「そうだね。」 テーブルに皿を運び、既に紅茶を入れ終え待っていた真尋の目の前に座り手を合わせる。 味付けが口に合っていれば良いな、と思った。 「パスタ美味しい!」 「良かった。桜ティー良い香りだな。桜の花の塩漬けも飾ってある。」 「実はさっきこっそり買っておいたんだー。雰囲気出るでしょ?」 「ああ、春っぽい。」 パスタを頬張る姿に釣られ、食が進んでいく。 真尋とする食事は、どんなものでも美味しくて楽しくて嬉しかった。 こういう感情をきっと、幸せと呼ぶのだろう。 「桜が咲いたら、お弁当持って皆でお花見に行きたいなぁ。」 「酒持って夜桜もありだな。」 「あ、それも楽しそう!龍、酒弱いけど!」 「はは、真尋もそんなに強くないだろ。」 春の薫りに包まれながら、これからもコイツと笑い合える日々が続けば良いと、そう思った。

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