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第2話
親友であり想い人でもある宮本直哉と出逢ったのは、高校二年生のこと。
季節外れの転校生として、夏休み明け初日にやって来たのだった。
「よろしくな!」
「..ああ、うん。よろしく。」
「名前は?」
「松下 歩夢。好きに呼んで。」
空席だった窓際の最後尾を担任に指定され、ちょうど俺のすぐ後ろの席になった直哉は、席に着くと同時に明るく弾んだ声で話かけてきたのを覚えている。
第一印象は男らしい大柄な背格好のわりに、可愛らしい顔付きをしている奴。
人懐っこく笑うその姿は、例えるなら大型犬というところだろうか。
「放課後もし時間あったらさ、学校の中を案内してくれない?」
「別に良いよ。 予定もないし。」
「やった、ありがとう!」
内心は少し面倒だと感じつつも、特に断る理由もなく頼みを引き受けた。
悪い奴でもなさそうだし、ちょっとした暇潰しになればと考えたのだ。
あんまりキラキラした表情で此方を見るから、断りにくかったというのもあるのだけれど。
「へえ、それ俺も好き。」
「お!俺ら仲良くなれそうだな!」
放課後になり校舎の案内をしながら雑談をしているうちに、音楽や本などの好みが似ていることが分かり、それをキッカケにぐっと距離は縮まった。
昔から友人は多い方で、恋人が途切れたこともないけれど、誰一人として心を開けた人はいなかったのに、何故か直哉にはすぐに心を開いて
いた。
好きな物が同じ奴なんて、今までいくらでも居たのに。
不思議に思いはしたものの、珍しいこともあるものだ、とその時は特に深くは考えなかった。
今になって思えば、この時にはもう既に惹かれていたのかもしれない。
愛嬌があり誰にでも分け隔てなく接する直哉は、学校に馴染むのも早く、あっという間に彼女まで出来ていた。
けれど彼女との関係は、たいして長くは続かなかった。
ほとんどの時間を俺や他の友人達と過ごしていたことで、寂しいというのを理由に振られてしまったらしい。
落ち込んでいるのではないかと励まそうとしたけれど、皆と居る方が楽しいし、なんて直哉はあっけらかんと言う。
それから二年生のうちにもう一人、三年生になってからも数人と付き合っていたけれど、どの子にも同じ理由ですぐに振られていた。
来るもの拒まず去るもの追わずの俺も同様、好かれているのか分からない、と毎度お決まりの別れ文句を吐かれては泣かれていた為、俺達に恋愛は向いてないな、とよく二人で言い合っていた。
言い合っていたはずなのに。
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