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手元にあったお茶を飲みながらも向かいの律仁さんは本当に楽しそうな表情で、律仁さんの本気に自分はどう答えればいいのだろうかと悩ましかった。 今まで、誰かに好意を寄せたことはあっても誰かに寄せられたことなんてなかった。 むしろ、一生ないだろうと思っていたから尚更。 「おいおい、大丈夫なのか?」 妙に何かを気にかけているのか心配げな雰囲気で話かけている大樹先輩。 「大丈夫。その日は確か朝から夕方まで雑誌のしゅ.......」 「·····ごほん」 「ああ·····仕事だからもしかしたらまた途中参加になるかもだけど」 律仁さんが何かを言いかけて先輩が咳払いをしては律仁さんは言葉を言い直す。渉太は偶に感じる時折二人の間にしか分からないような不思議な雰囲気を会話で感じていた。 年齢も律仁さんの方が3つ上だと言っていたし、律仁さんは通信だし、どうゆう繋がりで仲良くなったのか。こう、目の前で繰り広げられると益々気になった。 「そう、あんまり羽の伸ばしすぎは気をつけろよ」 「はい、はい」 大樹先輩は強い口調で忠告をすると、それに対して律仁さんは半ば気怠げに返事をする。 視線が自分の方に向けられると、「渉太も、楽しみにしてるからな?」と言っては彼女さんとその場から離れてしまった。 「楽しみだね」 大樹先輩が去っていったのを無意識に視線で追う。彼女さんが先輩の腕に抱きつくように組んでは歩いている姿は渉太には苦しいものだった。二人の姿をじっと見つめていると向かいの律仁さんが話かけてくる。 勢いで言ったものの正直、楽しみな程行きたいと言えるものではなかった。 「あの、なんで勝手に行くなんて言ったんですか」 「だって、渉太行きたそうだったから」 「それは·····」 あながち間違っていないだけに反論ができない·····。 「それに渉太とデートできるじゃん?」 「で·····デート!?」 「こうゆうきっかけないとなかなか渉太と会えないからさ」 どこか、律仁さんは遠い目をしていた。 俺が大樹先輩のことを気にしていること、律仁さんはどう思っているんだろうか。

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