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ビデオ撮影

「逃げないって、保証が欲しい」 そう言うと男は、俺を繋いでる頑丈な鎖を外し、己の所有物だという証の首輪を外した。 「ついてこい」と促され、監禁されてる部屋を後にする。 言われるがまま、マンションの地下駐車場に停めてある、男の高級な黒いミニバンへ乗り込む。 地方都市の、栄えてるとも寂れてるとも言える街道を暫く走ると、とある閑静な住宅街の一軒家へ車はするりと入った。 「シャワー浴びて、これに着替えて」 部屋に案内されると、ワイシャツを渡され、シャワーに入るよう指示される。 渡された衣類は白いワイシャツだけで、下着すらない。 「柊……服、これだけなの?」 手でクシュッとシャツを持ちながら、男に……柊に尋ねた。 男の名前は、樋浦柊(ひうら しゅう)。 二十歳で大学生。 半グレ集団、SHGのリーダーをしている。 左上腕にタトゥーが入ってるけど、普段は隠していて、人に晒すことは滅多にない。 見た目でも、アウトロー関係の人間には見えなかった。 それどころか…… 見目麗しく、賢そうで、品があって。 その上、人を従え惹き付ける、カリスマ性もあって…… 建築会社の社長令息といった、印象の方が強い。 ただ、裏の顔……SHGのリーダーの時は、冷酷で、目付きが鋭くて、口調も乱暴で荒々しかった。 「それだけだよ。これからヤんのに、いらねーだろ。ベッドで待ってろよ」 俺が部屋の隅にあるシャワールームへ入ったのを見ると、柊は安心したように部屋を出ていった。 ーーやっぱり、ヤルんだ…… 昨日の夜も、今朝も、散々抱いたというのに…… この男の性欲は底無しだ。 そんな、絶倫暴力ヤンデレ男に、俺、内海柚希(うつみ ゆずき)は、色々あって監禁されている。 中学三年生の俺が、なぜこんな男に捕まったかは……長くなるので割愛する。 「彼シャツかよ……」 ワイシャツは大きくて、袖から指先しか出ない。丈も長くて、ミニのワンピースを着てるみたいだ。 部屋の中央にあるキングサイズの大きいベッドへ、ちょこんと腰を掛ける。 暫く待ってるとドアが開き、柊が何かを手に持ってベッドへやって来た。 「なんで……、カメラ…………」 これからセックスするのに、デジタルビデオカメラを俺に向けてる。 不審がりながら、録画中の赤いランプが付いている、カメラの向こうにいる柊を凝視した。 「おまえが俺から逃げない保証がほしいんだよ。ビデオ(これ)は保険みてーなの」 “保険”なんて言ってるけれど…… 俺が逃げ出さない為の、脅しの材料だ。 レンズを向けたまま、片手でシャツのボタンを外し始めた。 「逃げ…ない……約束するから……こんな事、やめろよ……」 「……柚希の事、信じてない訳じゃねーけど。裏切んだよ、人は……俺の事、怖ぇーんだろ?今は、それで従ってるけどさ……これから先、わからねぇじゃん?」 「絶対、柊を裏切らない……ずっと、そばにいるから……!」 「“絶対”なんて言葉は、絶対にないんだよ」 目を見開き、威嚇するように俺を睨み付けると、ボタンを外していた手を止めた。 ーー怖いっ…… 「…………何でも……言う事、聞くから……カメラ……止めて……」 「止めねぇよ。何でも言う事聞くなら、黙って従えよ。それとも、痛くされないとわからない?」 その言葉が意味する事を理解すると、身体が震え始めた。 この男に、躊躇なんてない。 息を吸うみたいに、淡々と人へ暴力を振るう。 今までだって、怒らせては何度も殴られた。 怯えながら「わかった」と答えれば、優しい声で「わかればいいよ」って耳へ口付けてきた。 「それじゃあ、自分でボタン外してシャツ脱いで」 柊の言う通りに、ボタンを一つ一つ外す。 指先が震えて力が入らず、上手く外せない。 その様子をレンズ越しで見ながら、柊は冷たく微笑んだ。 「やっぱり、何度見てもいいな……小振りでピンク色で。マジで乳首、綺麗……」 柊の熱い視線が、無機質なレンズからでも伝わってくる。 「あんま……見るなよ……」 「ははっ……柚希、恥ずかしがり屋だもんな……見てるだけなのに、乳首勃ってるきてるし」 「違っ……!」 「嘘つくなよ……硬くなって、大きくなってるぜ……」 柊のねっとりとした視線と、厭らしく責める言葉に、身体がゾクゾクとして…… 主張するように、尖りがピンと勃つ。 自分でも興奮してるのは、わかっていた。 ーーやだ……こんなの、嫌なのに……中が、疼いて……乳首がジンジンする…… 身体はどこも、触れられてない。 ただ、見られているだけ。 それだけなのに身体は昂り、ジュクジュクと奥が熱を帯びてくる。 「それに……」 「あっ……」 「こっちも勃ってるし……」 緩く勃ち上がったペニスの鈴口に出来た、玉のようなぷっくりとしたカウパーを指で掬われる。 僅かに触れた指先の刺激に、ペニスは硬度を増し、淫汁が溢れた。 「すぐ濡れちゃって。本当、おまえって淫乱」 こんな風な身体にしたのは、柊なのに…… 悔しくて、真っ赤になった顔を伏せる。 「拗ねたか?」 柊を怒らせると怖いけど、淫乱という言葉に腹が立ち、黙ったまま口を噤む。 「悪かったって……それよりさぁ、今気付いたんだけど、柚希っておへそも可愛いのな」 「ひゃん……」 突然、臍を触られ、変な声が出る。 「うそ……へそでも感じるの?そういう奴、初めてなんだけど」 「違う……やっ……」 スルスルと指で臍をなぞられる。 擽ったくて、逃げるように身を捩る。 「可愛いな……もっと弄ってやるよ……」 ベッドへ上半身を押し倒され、仰向けに寝させられる。 「ひっ、冷たっ……!」 柊はローションのボトルを取り出すと臍に垂らし、チュクチュと指を深く挿れたり、縁をなぞったりしてきた。 「あっ、あ……しゅう、くすぐったい……やめてぇ……」 「気持ちイイんだろ?柚希のちんこ、バキバキになってるぜ」 下腹部に付くくらい、反応してる自身が恥ずかしくて堪らない。 「おまえ、ここでもイけるんじゃない?」 「なっ……!?」 カメラを三脚にセットすると、柊は自分のペニスへローションを塗り付け、更に臍へたっぷりと垂らした。 「可愛いおへそ、犯してやるよ……」 上から覆うように乗られ、臍にペニスを宛がわられる。 未知の性行為に恐怖を覚え、涙が込み上げてくる。 首を小さく左右に振って拒否すると、涙が零れ落ちこめかみを濡らす。 「泣いちゃって……可愛いな」と呟き、柊の唇が弧を描いた。 グチュっと音を立てながら、臍穴にペニスを擦り付け始めた。 「アァ……、んっ……こすんないで……」 「身体、ビクビクしてるじゃん……素直に感じろよ……」 ペニスで擦られると、臍から直接腸の奥へ挿れられてるみたいで、ダイレクトに甘い刺激が伝わってくる。 「ァン……あっ……」 「腰反らせて欲しがってんの、可愛いな……気持ちイイ?」 「よくな……い……」 「アナル、ヒクついてるぜ……こっちも欲しいんだろ?」 「んなこと、ないっ…………アァッ……!」 潤滑剤をたっぷり纏った指が、窄まりから侵入してくる。 身体は正直だ。 欲しかった刺激に腰を揺らして、快楽に溺れる。 指が二本、三本と増やされ、蕾が吸い付くように呑み込んでいく。 「スゲー、指締め付けてくるな。へそでイキそうなんだろ?」 臍ですら感じ、イキそうな自分が嫌で…… プライドを守りたくて、首を横に振って否定する。 「なぁ……素直になれよ……」 「んんっ……」 臍はペニスで擦られ続け、アナルは指で抽挿され…… 過ぎる快楽に、身体は熱くなり、頭が痺れてくる。 「イケよ……」 「あぁっ!そこ、やだぁっ……!」 前立腺をゴリュっと擦られ、あまりの気持ち良さに頭が真っ白になる。 意地悪するみたいに柊は、集中的にそこばかり狙って弄りまわす。 射精感が高まり、自身が脈を打ってビクビクとし始めた。 「あん……あぅ……やら……イッちゃ…、イッちゃうって……アァッーーー!」 仰け反り、ガクガクと身体を揺らして吐精した。今朝方まで抱き潰され散々吐き出した精は、色が薄く勢いもない。 「はっ、やっぱ可愛いな、おまえ……」 満足気に笑った柊は、食らい付くようにキスをしてきた。 掻き混ぜるように舌が絡んできて、吸われたりなぞられたりされるがままだ。 「こっちにも、ちんこ欲しいんだろ?」 アナルの入り口を、先程まで挿れていた指先でなぞられる。 「やぁ、んっ……」 「柚希の可愛い姿、たっぷりと録画しておくからな……好きなだけ、イけよ……」 「アァッ…………」 臍を追いつめた硬いそれが、達して敏感になった身体を割り入り、無理矢理侵入してきた。 もう、そこからの記憶なんて殆どない。 目覚めると、自分の部屋の、寝慣れたベッドの上にいた。 意識を失った俺を、柊があの一軒家からここまで、運んで来たのだろう。 時間はわからないけれど、カーテンが開けられ、明るい日差しが差し、柊がいないから多分平日の日中だ。 いつものように 首輪を嵌められ、 冷たい鎖で繋がれ…… 不自由な日々が、 再び、始まる。

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