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第13話 キミと『泣かす』達人。 3

「杉原さん2週間入院です」 「はぁーい」 俺は情けなく運ばれた病院で医者に診察を受けて痛みに軋む体を引きずりながら、看護師と病室に向かった。 「看護師さん、今何時?」 「9時43分です」 「………はぁ…、アリガトーゴザイマース」 叶、今頃ガッコであたふたしてそう……さてなんて誤魔化すか。 「杉原さん、安静なんだから車椅子使いませんか?」 「…そこまで大袈裟じゃないデス…」 俺の病室は個室らしい、言われた病室の前で嫌な組み合わせの二人を俺は見た。 「お兄ちゃん…何で喧嘩に巻き込まれて!!」 「……俊さん」 義母さんに小雪さんのダブル母親……ああああ死にたいマジ死ね親父!! 「かっ看護師さん……」 「連絡先が二つあったから連絡してみたら、お二人が母親だというので」 ぎゃああああああっっ!! 助けて怪我より痛い俺はどうしたら……。 この状況助けてぇぇぇぇぇ!! 「……すぎはらせんぱぃっ!!」 向こうから走ってくる金髪美少年、愛しの笹倉 叶ちゃんが見えた。 え?! 何で叶までくるワケ……? しかも面会時間とか決まってるはずなのに何で?! とりあえず俺はイチバン大切な叶に向かった。 「叶、…なんでここにいるの?!ガッコは」 「っ杉原先輩が迎えに来てくれなかったので、学校に行ったら喧嘩に巻き込まれて病院に運ばれたと話題になっていて……心配になってしまって」 「どしてそれで病院に入れるの?!」 「え?……この病院が私の家の支援を受けているからです」 ……おのれ『笹倉グループ』!! 「…あ!!」 叶もどうやらこのダブル母親のいるこの気まずい状況に気が付いたらしい……。 「どうして面会時間でもないのにキミは会いに来てるの?」 看護師さんまで叶の出没に突っ込みをいれてきた。 これ……まさかトリプルで俺は危うい状況デショ、叶があの『笹倉』だと公に出ても困るはず!! 「……叶さん、私達はおいとましましょう」 流石『空気読める茶人』、小雪さんありがとー!! こうして俺は義母さんと二人きりになった。

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