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第5話

「ご馳走さまでした」 食べ終えたハルはまたきちんと手を合わせた。 「とても美味しかったです。ありがとうございました」 「簡単なもんだけど、美味かったなら良かったよ」 ハルの笑顔に俺も笑顔になった。 「僕、お皿、洗います」 ハルが食べ終えた皿を重ね始めた。 「いいよ、食べ終えたばかりだし、後で俺が洗うから」 俺の制止も聞かず、ハルはキッチンで皿洗いを始めた。 隣に並ぶと本当に小柄だなあ、と実感する。 「....先輩、て大きいですよね、その、幾つあるんですか....?」 「大きい、て身長?180だよ」 そう言うなり、ハルは手を止め、俺を見上げた。 「180!凄い!大きいなあ、とは思ってたけど....」 「....思ってた、て俺を知ってたの?」 「あ、いえ、さっき、玄関で会ったとき、大きいなあ、て」 ハルは改めて皿を洗い始め、俺は拭く作業。 「倉田...いや、ハルは小さいな、幾つ?」 「....恥ずかしくて言えません」 「小柄なことくらいわかってるから大丈夫だよ」 「....160です」 「へえ」 「....僕も先輩くらい大きかったらな」 ポツリ、呟くハルに釘付けになった。 「えー、あー、今日はありがとう」 改めて、ハルが寮の自室に戻る前に礼を言った。 「こ、こちらこそ、ご馳走さまでした」 ぺこり、ハルは勢いよく頭を下げ、 「じゃ、先輩、ゆっくり休んでくださいね」 そうして笑顔で別れた。 ハルが居なくなった部屋は何となくいつにも増して、味気なく感じた。

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