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第7話
数日後、学校から帰宅した俺は部活も終え、夕飯前にベッドに寝転がり雑誌を読み、ダラダラと過ごしていた。
不意に玄関がノックされ、開けると....。
天使の笑顔がそこにあった。
「これ...カップケーキなんですが、良かったら....」
店名も入ってはいないシンプルな箱を受け取った。
「あ、その...お口に合わなかったら、す、すみません。ま、不味かったら捨てていいですから....」
おどおどしたハルの姿もまた可愛らしい。
だが、そのセリフに気がついた。
「もしかして、手作り?」
「は、はい...。嫌ですよね、男の僕からなんて....」
「そんな事ないよ、ありがとう、嬉しいよ」
ハルが満面の笑顔になった。
「柔道部、て聞いたものだから、糖分は疲労回復にいいかな、て」
心遣いもまた嬉しい。
「ありがとう。良かったら、上がって一緒に食べないか?」
ドキドキしながらの提案に、ハルは顔色を曇らせた。
「あ、そうしたいですけど、でも、その」
「なにか用事があるの?」
聞いた俺が馬鹿だった。
突然、何処からともなくスマホが鳴り出した。
しばらく鳴り続け、俺は、出ないの?とハルに促した。
ハルは俯き、スマホを取り出し、耳に当てた。
『早く来いよ!ハル!時間、過ぎてんじゃねーか!』
スマホから誰ともわからない男の怒声が漏れていた。
「す、すみません、すぐ向かいますから」
慌ててハルは電話を切ったが、かなり気まづい空気が漂った。
「あ、その、僕、友人から呼ばれていたものだから...これで」
「あ、うん...またな」
「失礼します」
深々と頭を下げ、玄関を締め切る前にハルが走っていくのが見えた。
きっと、やる相手だろう。
俺とのときのように抱かれ、艶めかしい姿を見せるのか、と思うと、胸が痛んだ。
思わず、ハルの持ってきてくれたケーキの箱を投げそうになったが、寸でのことでやめた。
「....ケーキに罪はないよな」
テーブルに置き、箱を開けると、カップケーキが4つ入っていた。
1つに被りつくと程よい甘さが、俺には何故かとてつもなく苦く感じた。
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