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第60話

インタビューが終わり、職員室で園長先生が黄嶋さんに花束を渡し、職員全員で記念撮影をする事になった。 「春楓!あんた少し太ったんじゃない?男のデブは嫌われるわよ」 「う、うっせーな!!大学ん時から体重変わってねーっつーの!!」 黄嶋さんから声をかけられ、はるか先生は一瞬引き攣った顔をしたけど、いつもの明るい姿を見せた。 「春希くんと春翔くんは逆に痩せたんじゃない?ご飯、ちゃんと食べてるの?」 「僕らも大学時代から変わってませんよ。ね?春希」 「あ、あぁ。ちゃんと自炊して食べてます……」 はると先生もはるき先生もどこかぎこちなく応えていた。 「あら?可愛いお子さん。年少さん?」 「あ、はい、ぼくの息子です……」 黄嶋さんがぼくの後ろに隠れている悠太郎に気づき、声をかけて下さる。 「まぁ、あなたお子さん連れで働いてるの?」 「は、はい、そうなんです……」 「良いわねぇ、うちの主人が聞いたら羨ましがるわぁ……」 そんな話をした後で写真撮影をし、ぼくはお腹が空いたという悠太郎を連れて年少さんの教室で一緒にお弁当を食べる事にした。 しばらくすると、お弁当箱を持った浩が教室に入ってくる。 「どうしたの?」 「オレもここでメシ食うわ。春楓のお母さんが春楓たちと話したいって言って締め出しくらったから」 「そうなんだ……」 「……スマホ置いてきて録音してるから後で聴く?」 「えっ、それ盗聴と同じじゃない」 「あー、そう言われればそうか。でも、お前も気になるだろ?」 お弁当を広げながら話す浩。 びっくりしたけど、確かに気にはなる。 「じゃ、今日の夜な。悠太郎、晩メシ何がいい?」 「カレー!!」 「りょーかい!任せとけ!!」 そう言って、浩は悠太郎の頭を撫でていた。

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