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一週間経ち、二週間が過ぎてもルカはオリオン座に出勤してこなかった。坂井ちゃんなら、どういう状況なのか知っているだろうけど、宣言どおり絶交されているので訊けるはずもない。
俺はその日も、うつろな心を抱えたまま売店にいた。イスに座って見るでもなくマンガ本を開いていると、声をかけられる。顔を上げた先には二人の女子高生が立っていた。
渋々立ち上がり、口を開く。
「ルカがいつ出てくるかはわからないんだ。ごめんね、俺しかいなくて」
つい、ひがみっぽい口調になった。ルカが休んでからというもの、何人もの子にそういう質問をされてきたから、今回もそうだと決めつけていた。
「いえ。お兄さんもいてくれないと意味ないです」
一人の子が言い、友達に同意を求めた。
「そうですよ。ルカって、お兄さんと一緒の時じゃないと、あんまり笑ってくれないんです」
「えっ……」
意外なことを聞かされた俺は、アホみたいに口を半開きにした。
「私達、ルカとお兄さんって、いつも仲良さそうで羨ましいねって話してて。だから、最近お兄さん一人なの見て心配で……」
「お兄さんも、ルカといる時の方が楽しそうだし。もしかして、ケンカでもしちゃったのかなって。それで訊いてみようと思って」
そんなふうに見られていたことにうろたえ、そして、どう答えるべきか悩んでしまった。
「大丈夫よ。ルカくんは、ちょっと事情があって休んでるだけだから」
カウンターの高島さんが助けてくれる。
「ケンカなんてしてないから、安心してね」
「よかった」
女子高生達は顔を輝かせ、ぺこりと頭を下げると客席へ戻っていった。
「高島さん、ありがとうございます」
礼を言うと、高島さんは片手を振った。
「いいのよ。それより本条くん、よく知らないけど、もし本当にケンカしてるなら早いうちに仲直りした方がいいんじゃない? 時間が経てば経つほど難しくなるわよ」
「あ、はい……」
「あの子達もそうだけど、本条くんとルカくんの仲良しぶりは他人の目から見ても微笑ましいもの。見られないのは寂しいわ」
高島さんの言葉に、俺はただ頭を低くするしかできなかった。
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