1 / 7
第1話
俺には、恐れ多くも騎士団団長の友達、ランドルフがいる。
森の中で友人と遊んでいて魔物に襲われた時に、助けてくれたのだ。
ランドルフは、俺なんかに呼び捨てを許し、話すのが楽しいと、整理整頓が苦手だからいてくれて助かると言ってくれる。
ランドルフは幼い頃の病気が原因で、子種がないのだという。
ランドルフは強くて、格好良くて、俺のヒーローで、子供好きだ。
話もあって、竜の牧場とかレースの話で盛り上がった。
ランドルフは、本当にいい人。
報いてあげたいと思っていた。
「ランドルフ! 今日は内緒のお話があるんだ。いい?」
「おお、ルイ。何かな?」
部屋に呼ばれた俺は、ぐっと出されたジュースを飲み干し、言った。
「ランドルフ。実は俺は魔女なんだ。魔女として、助けられたお礼はしないといけない。ランドルフは、子を授かるに相応しい人物だ。だから、ランドルフの願いを叶えよう。ただし、俺の事は誰にも言ってはいけない」
「なるほど。わかった、誰にも言わないことにしよう」
真面目な顔で頷くランドルフ。俺は、小さな小袋を渡した。
「その中に入っている飴を一粒食べて一ヶ月したら、男の精を受け入れろ。更に一ヶ月後、腹痛と排泄感がしたら、トイレでしてはいけない。卵が生まれるから。卵は両親の魔石を側に置き、一日一回向きを変えて大切に育てるがいい。半年で孵るだろう。生まれは人と違えど、間違いなくランドルフの子が孵る。魔女の得意とする大魔法だ」
「それは凄いな」
「デタラメだったら殺していい。お前の渡した毒を飲むと約束する。ランドルフにもリスクが有るからな」
「……ふむ」
小袋に入った飴を一粒噛み砕く。まさか、得体のしれない薬をその場で食べるなんて!
「美味しいな。ありがとう」
「ランドルフ……君の信頼に応えたいと思う。君の初子には魔女の祝福を与えよう。この石を卵が生まれたら握ると良い」
「それはありがたい」
そのあと、騎士団のお片付けを頑張って帰った。
一週間後、ランドルフ率いる騎士団は仕事を終えて帰っていった。
ともだちにシェアしよう!