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第1話

 俺には、恐れ多くも騎士団団長の友達、ランドルフがいる。  森の中で友人と遊んでいて魔物に襲われた時に、助けてくれたのだ。  ランドルフは、俺なんかに呼び捨てを許し、話すのが楽しいと、整理整頓が苦手だからいてくれて助かると言ってくれる。  ランドルフは幼い頃の病気が原因で、子種がないのだという。  ランドルフは強くて、格好良くて、俺のヒーローで、子供好きだ。  話もあって、竜の牧場とかレースの話で盛り上がった。  ランドルフは、本当にいい人。  報いてあげたいと思っていた。 「ランドルフ! 今日は内緒のお話があるんだ。いい?」 「おお、ルイ。何かな?」  部屋に呼ばれた俺は、ぐっと出されたジュースを飲み干し、言った。   「ランドルフ。実は俺は魔女なんだ。魔女として、助けられたお礼はしないといけない。ランドルフは、子を授かるに相応しい人物だ。だから、ランドルフの願いを叶えよう。ただし、俺の事は誰にも言ってはいけない」 「なるほど。わかった、誰にも言わないことにしよう」  真面目な顔で頷くランドルフ。俺は、小さな小袋を渡した。 「その中に入っている飴を一粒食べて一ヶ月したら、男の精を受け入れろ。更に一ヶ月後、腹痛と排泄感がしたら、トイレでしてはいけない。卵が生まれるから。卵は両親の魔石を側に置き、一日一回向きを変えて大切に育てるがいい。半年で孵るだろう。生まれは人と違えど、間違いなくランドルフの子が孵る。魔女の得意とする大魔法だ」 「それは凄いな」 「デタラメだったら殺していい。お前の渡した毒を飲むと約束する。ランドルフにもリスクが有るからな」 「……ふむ」  小袋に入った飴を一粒噛み砕く。まさか、得体のしれない薬をその場で食べるなんて! 「美味しいな。ありがとう」 「ランドルフ……君の信頼に応えたいと思う。君の初子には魔女の祝福を与えよう。この石を卵が生まれたら握ると良い」 「それはありがたい」  そのあと、騎士団のお片付けを頑張って帰った。  一週間後、ランドルフ率いる騎士団は仕事を終えて帰っていった。

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