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シンデレラは舞踏会から帰れませんでした
あるところにシンデレラと呼ばれる美しい少年がいた。
両親は既に他界しており、シンデレラは継母と二人の義姉と一緒に暮らしていた。ケチな継母は使用人を辞めさせてしまったので、シンデレラが家事を全てこなしていた。
シンデレラが着ている服は義姉達のお古で、男であるにも関わらずスカートを穿いている。与えられる食事の量は継母達と比べずっと少ない。
毎日掃除に洗濯に食事の用意と家事に追われる日々を送っていた。
そんなある日、シンデレラは上の義姉に言われた。
「ねえ、シンデレラ。今日お城で舞踏会があるんだけど、あたしの代わりにあんたが行ってきてくれる?」
「はい?」
意味がわからず、首を傾げる。
「だーかーらー、あたしの代わりに舞踏会に行ってきてって言ってんの」
「え、いや、無理ですよね? 僕、男だし」
「あんた女顔だから、ドレス着ればバレないわよ」
「いやいやいやいや!」
「なーんか、王子様の結婚相手を捜すとかで招待状貰ったら強制参加らしくてさー」
「王子様に見初められたら玉の輿じゃないですか! 義姉さん、行かないんですか?」
「だってあたし恋人いるし。王子様には興味ないなー」
「いいんですか、お義母様!?」
シンデレラは黙って聞いている継母に顔を向けた。
止めてくれると思ったのに、継母は前もって聞いていたようで、「別にいいわよ」とあっさり頷く。
「そんな……」
愕然とするシンデレラに、上の義姉は言う。
「舞踏会に行けば、美味しいものたくさん食べられるわよ」
「…………え?」
「今まで食べたことないようなご馳走が、お腹いっぱい食べられるのよ」
「お腹、いっぱい……」
「肉も魚もデザートも、好きなものなんでも食べ放題よ」
「食べ、放題……」
シンデレラはごくりと喉を鳴らした。
「行きます、舞踏会!」
そうしてシンデレラはあっさり食べ物に釣られた。
使用人のように家事を行うことにそれほど不満を感じていないシンデレラだが、食事の量が少なくていつもひもじい思いをしていたのだ。味にはそれほどこだわらないから、とにかくお腹いっぱい食べたいと、常々願っていた。こんな形でその願いが叶うとは。
「でも僕、ドレスなんて持ってないですよ」
男なのだから当然だが、舞踏会に着ていくようなドレスなど一枚も持ち合わせていない。普段着すら、全て義姉のお古なのだ。
「あたしの恋人が魔法使いだから、魔法で変えてもらうから大丈夫」
そして、家にやって来た魔法使いがシンデレラの着ていた薄汚れた服をきらびやかなドレスに変えてくれた。髪も長くなり、綺麗に纏まった状態になる。顔にはしっかりと化粧が施された。黒ずんだ靴は輝くガラスの靴へと変化した。
体は男のままだが元々小柄なシンデレラは、見た目は完全に貴族の可憐なお嬢様だった。
「この魔法は十二時になったら解けるから、その前にお城を出てね」
魔法使いはそう注意した。シンデレラはしっかりと胸に刻む。
時間になり、家を出るシンデレラに上の義姉は何度も念を押す。
「いい、シンデレラ。絶対に男だってバレないようにしなさいよ。もしバレたらあたし達家族はおしまいだからね。きっと全員死刑よ。そうなったらあんたのせいだからね」
それなら軽々しく代わりに行けなどと言わないでほしいのだが。しかしこのときのシンデレラは舞踏会で出されるご馳走のことしか頭になかったので、やっぱりやめますなどと怖じ気づくこともなく、義姉の忠告にしっかりと頷いた。
シンデレラは継母と下の義姉と三人で馬車に乗り、お城へ向かう。
馬車の中でも、継母に男だとバレないように細心の注意を払えとしつこく言われた。ご馳走に思いを馳せながら、シンデレラはそれを聞いていた。
お城に着き、招待状を見せて中へ入る。
豪華な会場にも着飾ったたくさんの令嬢にも目をくれず、シンデレラは料理の置かれたテーブルへ直行した。
美味しそうな料理が、所狭しと並べられている。
シンデレラは早速皿とフォークを手に取った。
こんなチャンスは二度とないかもしれない。一週間分は食べるつもりでいた。時間は限られているのだ。一秒も無駄にはできない。
舞踏会などそっちのけで、シンデレラは食べ物を口に運んでいく。
さすがお城で出されるだけあって、料理は全て美味しかった。時間を気にしながらも、一品一品きちんと味わいながら胃に収めていく。
そろそろ二日分は食べられただろうか。
食事に夢中のシンデレラは、周囲の声など全く耳に入っていなかった。だから、自分に近づく人物がいることにも、全く気づいていなかった。
「こんばんは、お嬢さん」
すぐ近くで聞こえた声に、ビクッとして顔を上げる。
そこに立っていたのは、金髪碧眼の優しげな風貌の美しい男性だった。
にこやかに微笑む彼こそが、この舞踏会の主役の王子様だ。
シンデレラの顔からサッと血の気が引いていく。
顔を伏せてこそこそ料理を食べていれば恐らく声はかけられないだろうとアドバイスをもらって、その通りにただ黙々と食べつづけていたのに。
内心冷や汗をかきながら、シンデレラは引きつった笑みを浮かべる。
「こ、こんばんは。本日は、お招きありがとうございます」
震える足でどうにか体を支えている状態のシンデレラに、王子は追い討ちをかけるように言った。
「よろしければ、私と踊っていただけませんか?」
ひぃっ! と心の中で叫びながら、前もって教えられていた断りの言葉を口にする。
「す、すみません、実は、体調が悪くて……」
「え、それは大変だ。確かに、随分顔色が悪いね」
直前までばくばく料理を口にしていた人間の言うことではないが、血の気が引いていい感じに顔色が悪くなったようで、信じてもらえた。
まだ二日分しか食べられていないが、食い意地を張ってへまをすれば取り返しのつかないことになってしまう。体調不良を理由に帰らせてもらうのが最善だろう。
シンデレラはそう考えたのだが。
「少し部屋で休もう。私が連れていってあげるよ」
体を支えてこようとする王子に、ぶんぶんと首を振る。
「と、とんでもないです! ぼ、わ、私のことなどお気になさらずっ」
「この舞踏会の主催は私だ。招待客になにかあった場合、私が責任を取るのが当然だろう。遠慮することはないよ、さあ行こう」
ここで治りましたと言えば、じゃあ踊ろうと言われてしまうかもしれない。それならば下手に逆らわず、部屋で休んだ方がいいだろう。
「わ、わかりました、お願いします……」
シンデレラは王子にエスコートされながら出入り口に向かって歩いた。きっと継母と義姉が殺意を孕んだ視線をシンデレラに送っているだろうと考えると、顔を上げることができなかった。
会場を抜け、休憩用の一室に連れてこられた。王子に促され、シンデレラはベッドに座る。寄り添うように、王子も隣に座った。
「あ、あ、あの、ぼ、私、一人で大丈夫なので、どうぞ戻ってください。せっかくの舞踏会ですから……」
「気にしないで。戻っても、君のことが心配で落ち着かないよ。急に体調が悪化するかもしれないだろう? 私が傍について見ているよ」
「あ、ありがとうございます……」
寧ろ王子に傍にいられた方が心臓に悪いのだが、キラキラの笑顔で言われると無下にはできない。心配してくれているのに突っぱねるのは申し訳ないし、無礼にあたるだろう。
かといって、このままここにとどまるわけにもいかない。魔法が解ける前にお城を出なくてはいけないのだ。
せっかく一週間分のご飯が食べられると思ったのに。こうなってしまっては、もう食事に戻ることもできない。
シンデレラはしょんぼりと肩を落とした。
悲しむシンデレラに、王子は優しく声をかける。
「どうしたの? 具合が悪い? ベッドに横になった方がいいかな?」
「いいえ、大丈夫ですっ。座っていたら、大分落ち着きました」
「そう? 無理はしないでね。お水を飲む?」
「あ、そんな、ぼ、私、自分で……!」
「いいんだよ、じっとしていて」
王子自らコップに水を注いでくれた。
コップを受け取り、シンデレラはおずおずと口をつける。
王子にここまでさせて、もし男だとバレたら、本当に家族全員処刑されてしまうかもしれない。
シンデレラは怯え、早々にここを立ち去らなければと焦燥した。
ぐびっと一気に水を飲み干し、コップを置く。
そして王子に向き直った。
「あの、お水を飲んだらなんだか体がスッキリしました。もうすっかりよくなったみたいです」
「本当に? 無理をしてない?」
「はい!」
「じゃあ、私と踊ってくれる?」
「え、」
「ここで。軽く、少しだけでも」
シンデレラは硬直した。ダンスに誘われていたことを完全に忘れていた。
そもそも、シンデレラはダンスを踊れないのだ。習っていないから。習っていたとしても、シンデレラが踊るのは男性パートだ。
舞踏会に招待されるような令嬢が、ダンスを習っていないわけがない。踊れないと言えば、怪しまれる。怪しまれ、探られ、男だとバレてしまう。
シンデレラは必死に言い訳を考えた。
「あああの、ぼ、私、ダンスが壊滅的に下手なんです!」
「そんなの、気にすることないよ。ここには私以外誰もいないから」
「でででも、本当に、酷いんです、リズム感もセンスも才能もなにもなくて、私と踊ったら大怪我を負う可能性があります! 危険なんです!」
「うーん、そこまで言われると、逆に興味が湧いてくるなぁ」
「だ、だめです! 本当に危ないんです!」
力説するシンデレラに、王子は楽しそうに笑う。
「試しに少しだけ踊ってみよう。本当に駄目そうだったら諦めるから」
王子はシンデレラの手を引いて立ち上がる。
あまり強く断れば、不敬となるだろう。男だとバレなくても、罪に問われるかもしれない。
シンデレラはそれ以上なにも言えなかった。
引き寄せられ、シンデレラの腰に王子の腕が回される。こんなに密着しては、体格で男だとバレるのではないかとひやひやした。
「難しく考えないで、私に合わせて足を動かしてみて」
「は、はいぃっ」
王子がゆっくりと足を動かした。
シンデレラは彼の足を踏んではいけないと、それだけに意識を集中していた。視線はずっと足元に向けられている。
ガチガチに強張るシンデレラの耳元に、王子の囁くような笑い声が響く。
「そんなに緊張しないで。失敗してもいいんだから」
「で、でも……」
「ほら、体の力を抜いてごらん」
「わっ……!?」
王子はシンデレラの体をひょいと持ち上げ、くるりと回る。ドレスの裾がひらりと舞った。
驚きに目を丸くするシンデレラを、王子は輝くような笑顔で見つめる。
至近距離で微笑まれ、シンデレラの胸はドキドキと高鳴った。それが驚きのせいなのかときめきのせいなのかわからない。
王子はシンデレラの体を下ろし、またゆったりと踊りだす。
シンデレラは王子から目を離せなくなって、もう足元を気にしてはいなかった。
少しだけ足の動きが速くなり、それでもシンデレラは戸惑うことなく彼に身を委ねてステップを踏む。
王子はとても楽しそうで、彼の笑顔を見てるとシンデレラも嬉しくなる。
ダンスが終わってしまうことが名残惜しく感じるほど、シンデレラにとって幸せな時間だった。
でも、忘れてはいけない。本来なら自分はここにいてはいけない人間なのだ。
ダンスを終えても、王子はシンデレラの体を離さない。
「楽しかった?」
「はい、とても」
七日分の食事はできなかったが、それでも一生分の思い出ができた。それだけで充分だ。
「あの、ぼ、私、そろそろ……」
「ところで、一つ気になることがあるんだけど」
「は、はい……?」
「男の子の君が、どうして舞踏会に参加しているのかな?」
爽やかな笑顔で告げられた言葉に、シンデレラはぴしりと固まった。
パニックに陥りそうになりながら、必死に頭を働かせる。
これは鎌をかけられているのか、それとも確信を持って言ったのか。鎌をかけられているのならすぐに誤魔化すべきだ。でも確信を持っているのだとしたら、嘘を重ねても罪が重くなるだけだ。
誤魔化すか、認めるか。
逡巡してしまった時点で、王子の言葉を認めていた。
なにも言えずに蒼白になるシンデレラを見て、王子は笑みを深める。
彼は確信しているのだ。
でも、どうして。継母も義姉達も魔法使いも、魔法をかけられたシンデレラを見て男だとバレることはないだろうと太鼓判を押してくれたのに。ダンスを踊って体が密着したときに気づかれてしまったのだろうか。
シンデレラの思考を読んだかのように王子は言った。
「一目見たときから、気づいていたよ。体に触れて確信した」
「えっ」
「他の人は騙されていただろうけどね」
つまり、王子はシンデレラの罪を暴くために声をかけてきたのだ。体調が悪いというシンデレラの嘘にも気づいていたのだろう。
十二時になる前に、王子の前では既に魔法は解けていた。
そうとは知らず、ダンスを楽しんでいた自分が恥ずかしい。夢のような一時を過ごせたと、一人で舞い上がっていた。
泣きそうになり、でも今は泣いている場合ではない。
シンデレラはその場で土下座した。
「申し訳ありませんでした!」
お腹いっぱい食べられるという誘惑に負け、安易に義姉の頼みを聞き入れてしまった。一週間分も腹に詰め込もうとした。そんないやしい考えを抱くから、こんなことになるのだ。
「お城のご馳走が食べたくて、無理やり義姉に代わってもらったんです! 継母も義姉も、僕のわがままを聞いてくれただけで、悪いのは僕一人です! どんな罰も受けます!」
「なるほど、どんな罰も受ける覚悟があるんだね」
「はいっ」
「では、ドレスを脱いで。裸になりなさい」
「は、はい……」
シンデレラは立ち上がりドレスに手をかけようとして、王子の前で脱ぐのは失礼だと部屋の隅に移動しようとするが、それを止められる。
「駄目だよ。私の前で脱ぐんだ」
「わ、わかりました……」
慣れない手つきでドレスを脱いだ。裸になれと言われたので、下着も靴も脱ぐ。
王子の視線はずっとシンデレラに注がれていた。
貧相な体を彼のような高貴な人物の目に映すことが申し訳なく、シンデレラは身を縮める。
これから、どんな罰を受けることになるのか。ムチ打ちだろうか。それとも、もっと重い罰が待っているのか。
怯えるシンデレラに、王子が指示を出す。
「ベッドに上がって。仰向けに寝そべるんだ」
「は、はい」
素直に指示に従うシンデレラに、王子は優しく微笑む。
こんなときなのに、うっかり見惚れてしまうくらい綺麗な笑顔だった。
「いい子だね」
甘く囁き、王子が覆い被さってくる。
そのまま顔が近づき、唇を重ねられても、シンデレラは動けなかった。
自分の身になにが起きたのか、よくわかっていなかった。
呆然と、目の前にある王子の顔を見据える。
ちゅ、ちゅ、と啄むようなキスをして、王子は顔を離す。
ぽかんとするシンデレラを見て、彼は笑った。
「キスをしたのははじめて?」
「は、い……」
キス?
言われて漸く、自分がキスをされたのだと気づいた。
なぜ?
全く理由がわからないが、シンデレラに拒む権利はない。
目を白黒させるシンデレラに、王子は妖艶に微笑む。
「口を開けて、舌を出してごらん」
「は、はい……」
言われた通り口を開けて舌を出せば、ぬるぬると舌を舐められた。
「んん……!?」
びっくりして思わず舌を引っ込めそうになるが、舌を王子の口に迎え入れられてしまう。
そのまま表面も裏側も余すところなく舐めしゃぶられ、吸われ、柔らかく歯を立てられた。それからシンデレラの口の中に王子の舌が差し込まれ、口内も散々に舐め回される。
粘膜が触れ合う感触は心地よく、はじめて味わう快感にシンデレラの思考はどろどろに溶かされていった。頭がぼうっとして、自分の置かれている状況も忘れキスに耽溺した。
飲みきれず、混ざり合った唾液が口から溢れる。それが王子の口元を汚してしまい、シンデレラはペロペロと舐めて綺麗にした。
擽ったそうに王子が笑う。
「可愛いね、舐めてくれるの?」
「ん……」
「キス、気持ちよかった?」
「はい、気持ちよかった……」
素直に答えると、王子は嬉しそうに囁く。
「もっともっと気持ちよくしてあげるよ」
王子の綺麗な指が、胸の突起に触れた。
少し触れられただけで、シンデレラはびくんと反応してしまう。指で挟まれくりくりと捏ねられ、背を反らせながら喘いだ。
「んああっ、ふぅっ、んんっ」
「気持ちよさそうだね? 声は我慢しちゃダメだよ。気持ちよかったらちゃんとそう言ってね。どこをどうされるのが好きなのか、ちゃんと私に教えるんだよ」
「ふぁいっ、あっ、気持ちいい、ちくびいいっ、くりくりされるの好きですぅっ」
「これはどう?」
「ひあっ、それも好きっ、潰されるの気持ちいいっ」
「ふふ、全部気持ちよくなっちゃうんだね。じゃあ、舐めたらもっと気持ちよくなれるかな?」
「あぁんっ」
唾液を塗り込めるように丹念に舐められ、口に含まれ、じゅるじゅると吸い上げられる。
シンデレラはよがり声を上げ、快感に涙を流した。
「はひっ、あっ、あっ、気持ちいいれす、ちくび好きぃっ」
「可愛いなぁ。乳首だけでこんなに乱れて。こっちも、まだ触ってないのにもうとろとろだね」
「ひんっ」
既に勃起しているぺニスをやんわりと握られる。
軽く擦られただけで先走りの蜜がとぷっと溢れ、すぐにイきそうになった。
「ああっ、だめ、だめですっ」
「だめ? じゃあやめようか? このままずっと触らないで、他のところだけで気持ちよくなる?」
「あっ、いや、ごめんなさい、やめないでっ、おちんちん触るの気持ちいいです、擦られるの好きですぅっ」
ぺニスから手を離され、シンデレラは泣いて縋って愛撫を求めた。
哀願するシンデレラを、王子はうっとりと見下ろす。
「いい子。うんと可愛がってあげたいから、嘘はダメだよ」
「はいぃ……あっ、気持ちいい、いく、いっちゃいますっ」
掌に包まれ扱かれると、すぐに限界がやってくる。
「いいよ、出してごらん」
「あっ、いく、んあっ、ああぁっ」
ぴゅっと噴き出した精液が、王子の手と自分の下腹を汚す。射精の快感と罪悪感に涙が零れた。
「自分で脚を抱えられる?」
「は、い……」
促され、シンデレラは自分で両脚を抱えた。まるで陰部を差し出すような体勢だ。
王子の指が、アナルをぬるぬると撫でる。
そんなところを王子に触られるなんて、羞恥よりも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。でもこれは罰だから、シンデレラに彼のすることは止められない。
つぷりと指を差し込まれても、シンデレラは健気にそれを受け入れた。
「大丈夫? 痛くない?」
「はい、ん、あっ……」
解すように指を抜き差しされる。ぐるりと回された指が敏感な箇所を擦り、気持ちいいと口にすれば重点的にそこを攻められた。本数を増やされ、根本まで埋め込まれた指が何度も出し入れされる。ぐずぐずに蕩け、腸壁が物欲しげに指に絡みつくまでつづけられた。
後孔から指が抜かれる頃には、脚を抱えるシンデレラの手はふるふると震えていた。王子は震える手を外し、自らシンデレラの脚を抱え直した。
そのとき、鐘の音が城内に鳴り響いた。十二時の鐘だ。
鐘が鳴り終わると、シンデレラにかけられた魔法が解ける。髪は短くなり、顔に施されていた化粧も落ちた。床に脱ぎ捨てられているドレスとガラスの靴も元の薄汚れたものに戻ったが、それに気づく者はここにはいない。
王子は数度目を瞬き、それから愛おしげに微笑んだ。
「ああ、それが本当の君なんだね」
「はい……」
「可愛い。君のその顔が、快楽に歪むのを見たい……」
瞳に情欲を宿らせ、王子はひくつくアナルに猛った男根を押し付けた。ぐりっと先端を押し込み、一気に貫く。
「ひああぁっ」
シンデレラを襲ったのは痛みではなく強烈な快感だった。
容赦なく内奥を突かれ、触れられもしないぺニスからびゅくびゅくと精液を噴き出す。
「そんなに気持ちいい? おちんちんもお尻の中もびくびく震えて止まらないね」
「ふあっ、いい、きもちぃれすっ、お尻、あっ、あっ」
「ここ、指で擦られるのとどっちが気持ちいい?」
「ああっ、おちんちん、おちんちんで擦られるのきもちいいっ」
「じゃあ奧は? 奧、こうやって突かれるの好き?」
「ひうっ、しゅき、奥しゅき、きもちいい、ずっときもちぃの止まらないぃっ」
「ならもっと奥まで入れてあげるね」
「っ~~!!」
ずぷんっと、狭い入り口を抉じ開けるように亀頭が最奥へと突き入れられた。
「どう? ここ、ずんずんされるの気持ちいい?」
「あっ、あっ……~~~~ッ」
「気持ちよすぎて答えられない? もうイきっぱなしだね。精液も出さないで、女の子みたいにずっとイッてる」
「はひっ、ひっ、は、あっ、あ──っ」
絶え間なく絶頂へ押し上げられ、シンデレラはぶるぶると全身を痙攣させる。
「こんなにおちんぽ大好きなら、きっと中に出されるのも大好きだね」
「んんっ、あっ、あっ、んひっ」
「たっぷり中に出すからね。全部お腹で飲むんだよ」
「はぃ、あっ、ひっ」
押し潰される勢いで腰を押し付けられ、どぷっと体液が注がれる。
「ああぁっ、あちゅいの、出てるぅ……っ」
「中に出されてまたイッちゃったね。中出し好きになった?」
「あ、しゅき、しゅきぃっ」
なにも考えられなくなっているシンデレラは、腕を伸ばして王子に抱きついた。正気であれば、恐れ多くてとてもこんなことはできなかった。
王子は艶然と微笑んで、シンデレラに深く口付ける。
糸を引きながら離れていく唇を、シンデレラは切なげに見つめた。
「や、もっと……」
「可愛いね。いいよ、いくらでもしてあげる」
シンデレラの頬を優しく撫でながら、王子はまた唇を重ねる。
キスをしながら、反り返った陰茎が再び胎内で動き出した。
ねっとりと舌を絡め合い、肉筒をぐちゅぐちゅと掻き混ぜられる快楽にシンデレラはうっとりと目を閉じた。
何度も抱かれ、シンデレラが気絶するように眠りに落ちたのは朝方だった。次に目を覚ますと昼を過ぎていて、場所も客室から王子の寝室のベッドへと移動させられていた。
呆然とするシンデレラの隣で、全裸の王子がキラキラと輝くような笑顔を浮かべている。
「おはよう。体は大丈夫?」
「は、は、はい……」
「昨晩のことはもちろん覚えてるよね?」
「…………はい」
艶々している王子とは反対に、シンデレラは完全に血の気が失せていた。
自分の失態を思えば、極刑は確実だろう。シンデレラは死を覚悟した。
「私達は出会い、恋に落ち、結ばれ、何度も愛し合った」
「……は? え、は……?」
「私と結婚してくれるよね?」
「え? な、は、え……?」
混乱しまともに言葉を紡げないシンデレラに、王子はにっこりと微笑む。
「まさか、遊びだったなんて言わないよね?」
「そ、そんなわけ……っ」
「じゃあ、結婚してくれるね?」
「いえ、あの、僕は、男で……」
「大丈夫。私達の愛に性別なんて関係ないから」
「いやいや、子供とか、色々問題が……」
「問題はないよ。私は第一王子ではないし」
「で、で、でも……」
「私の求婚を断るの?」
「めめめ滅相もございません!」
「よかった。ありがとう、幸せにするよ」
「へ……?」
「舞踏会なんてつまらないもの本当は参加したくなかったんだけど、こんな可愛いお嫁さんが見つかるなんて夢みたいだ」
「はあ……」
ぎゅうぎゅうに抱き締められながら、シンデレラは展開についていけずにぽかんとしていた。
なにが起きているのだろう。女と偽り義姉の代わりに舞踏会に参加した罰を受けるのではなかったのか。自分は夢を見ているのかもしれない。
夢から醒めるべく、シンデレラはきつく目を閉じて再び眠りに就いた。
しかし再度目を覚ましても状況は変わらず、夢見心地のまま王子と結婚式を挙げ、なんだかんだで王子と幸せに暮らすこととなった。
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