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3度めのLIVE(2)

全員がハルトの手を借りて、 無事に支度を終えて… 僕らの出番がやってきた。 「じゃあ今日も、楽しんでいきましょー」 セッティングを終え、 スタッフもいなくなったステージの上で、 僕らは4人で手を合わせた。 「今日はなるべく勃たせないでね…」 「そんな難しいこと、できるかなー」 「…」 そして、幕が上がった。 ふと目を上げると…客席の真ん中ら辺に、 さっきのアヤメさんって人が居るのが見えた。 あ…あの人が見てくれてる… なんて、ちょっと考えた所へ、 カイのドカドカなドラムが始まった。 その瞬間…僕は、そんな事はどうでもよくなった。 いつものように、彼らの演奏に突き上げられて… 僕はその曲の世界へすっ飛んでいった。 そしてやっぱり… いつものように愛撫されてしまうのだった。 「TALKING DOLL…通称トキドルでーす」 拍手と声援が湧き起こった。 「今日は新曲いっぱいあるからねー」 「そーね」 「レアーなシルくんの曲からやるよー」 「その次はサエ様の曲ね」 「あとはカオルの曲いくからねー」 「まー楽しんでいってください」 「カイー」 「サエー」 「シルクー」 「カオルー」 今日も呼んでもらえた… まー僕はまた、いつものように、 ハアハアしながら、やっと立ってる感じだったが… そんな感じで、楽しいMCのあとは、 怒涛の新曲コーナーに突入した。 シルクのDead Ending… サエゾウの宵待ち… 僕は、リハのとき以上に… 彼らの曲の世界にのめり込んだ。 もうひとりの僕も、宵待ちの月の彼も… 今までにないくらい、激しく僕を犯した。 曲が終わって… 僕はまた、その場に膝をついた。 ふと、客席を見ると… 最前列にいる女子が、涙を流して僕を見つめていた。 えっ…? 僕は一瞬…我に還った。 伝わった…のかな… と、間髪を入れずに、時計のドラムが始まった。 そしてまた僕の目の前は、 客席ではなく時計の絵になってしまった。 何とか立ち上がるも… 再び真夜中の庭で彼らの演奏に玩ばれた僕は… その曲のエンディングの間も、 バスドラの前にへたり込んでしまった。 「カオルー」 「カオル最高ー」 拍手と声援に包まれて、 サエゾウとシルクが、最後のMCを喋った。 「あと2曲あるんだけどねー」 「カオルちゃん、大丈夫かな」 さすがに見兼ねたシルクが、 僕の腕を掴んで立ち上がらせた。 僕は…うっかり、縋るようにシルクの目を見た。 「キャー」 「やばっ…」 またも歓喜の悲鳴が沸き起こった。 「あー、そーいうのは終わってからにしてくれる?」 サエゾウが上手い具合にフォローしてくれた。 客席は更にざわついた。 「あーごめん…カオル、後で可愛がってやるから…」 シルクも冗談めいて、そんな事言ったもんだから、 客席の悲鳴は、なかなか収まらなかった… 「じゃあ、あと2曲飛ばして、今日はお別れねー」 「最後までついてきて…」 そして…神様のイントロが始まった。 立っているのがやっとではあったが… この人達の演奏に合わせて、ステージで歌う快感は、 僕のテンションを、この上なく持ち上げた。 最後のサビで、あなたの手を取るとき… ふと、また僕の目に、客席の真ん中ら辺にいる アヤメさんの姿が目に映ってしまった。 僕は思わず…アヤメさんの手を取った。 もちろん、妄想の中で…だが。 そして最後は、いつものサエゾウの曲で終わった。 エンディングで僕は… 敢えてサエゾウではなく… 正面の…アヤメさんの方向を向いて跪いた。 そして幕が下りると同時に、バタっと倒れた。 またすぐ、いつものように… ハルトとショウヤに抱えられて、 僕は楽屋に撤収された。 「あーすいません、ちょっと転がしといてください」 楽屋にいる面々にそう言って、 2人は僕を、端っこの床に寝かせた。 「…自分でなんとか…出来そう?」 ハルトが僕に訊いた。 「…たぶ…ん…」 僕は、息も絶え絶えに…答えた。 「とりあえず置いていくね」 そう言って2人は、他の撤収を手伝うべく、 ステージに戻って行った。 そこへ… さっきまで客席にいたアヤメが、楽屋に入ってきた。 「…」 床に転がされた僕を見て、彼は僕に駆け寄った。 「何、お前…大丈夫?」 「…」 「具合悪くなっちゃった?」 「…いえ…いつもの…ことなんで…」 「こんな所で寝てちゃダメじゃん、上に休める場所があるから…」 「…」 そう言われても、僕は起き上がれなかった。 「しょうがないなー」 そう言ってアヤメは、僕の身体を抱き上げた。 「…んんっ…」 僕はビクビクと震えた。 「ちょっと、こいつ上に運んでくるわ」 彼はその場にいるメンバーに言った。 「わかった」 メンバーの1人が、両手が塞がったアヤメの代わりに 楽屋のドアを開けた。 「サンキュー」 そしてアヤメは、階段を上って行った。 上の階の、事務所になっている部屋の… ソファーの上に、彼は僕を寝かせて、言った。 「どこが具合悪い?」 「…」 僕は、ただただ…ビクビクと震えていた。 アヤメは、具合の悪い箇所を探るように、 僕の身体を撫でた。 「…はっ…ああっ…」 それに反応して、うっかり声が出てしまった。 「えっ…何…もしかして…」 アヤメの手が…そっと僕の股間に触れた。 「ああっ…あっ…」 僕はビクッと、大きく身体を震わせた。 「なんだ…発情しちゃってるだけか…」

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