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第19話

 だが、この短い期間で俺はそんなファンの子達も知らない、水無月馨の本来の生態を熟知する事となった。それは俺がこの一年間で勝手に積み上げてきた彼のイメージをガラガラと突き崩すものだった。 「寒いー、寒い寒い寒い寒いっ!」  水無月馨は異様な寒がりだ。今も二人で深夜のオフィスに残って修正の終わったプログラムの実行確認をしているが、さっきから彼は寒い寒いと俺の横でうるさい。 「ここのビルは夜九時になると全館空調落とされちゃうんだね」  ガタガタ震えながら言う水無月とは対照的に、俺は上着を脱いでワイシャツの袖を捲り、ネクタイも緩めてキーボードを叩いていた。

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