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第88話
つまり、水無月は佐竹さんを恋人と想っていたのに、佐竹さんは学生時代からの仲の良い親友の一人として水無月を見ていて、例えセックスをしていても、それは過剰なスキンシップの一つに過ぎなかったって事か?
「それでも水無月は佐竹に頼まれて結婚式では友人代表のスピーチをしていたよ」
それはあまりに酷すぎる……。
一体、水無月はどんな気持ちで高砂に座る新郎新婦を見つめたのだろう。きっと、ここでの生活を全て捨ててしまえるほどに彼の心は深く傷ついたのだ。
「じゃあ、今、水無月さんがここに居るのはかなり辛い事かもしれないですね……」
ぽつりと呟いた俺の言葉に大杉さんからの返事は無かった。代わりに妙な視線を感じて、俺は「何ですか?」と彼に問いかけた。
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