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所有の証  ベニヒコ視点

真夜中に差し掛かる頃、やっと拠点にしているビジネスホテルに帰ってこられた。別の依頼で動いていたクロは先に帰ってきていて、ベッドの上で大の字になっていた。眼鏡を外して規則正しく寝息を立てている。俺がいないからって好き勝手してやがって。 シャワーを浴びてから 「おい、起きろ」 とベッドを蹴る。部屋に誰かが入ってきても目が覚めないほど鈍感じゃねえはずだ。クロは狸寝入りなのかマジで寝てんのか分からねえが、寝返りをして背を向けただけだった。 蹴り出してやろうかと思ったが、クロの首元に痣のようなものを見つけた。明らかにキスマークだ。 コイツが受けたのは、確か木里んとこの依頼だったな。 この野郎最近弛んでないか?木里も木里だ。オレのイヌだっつってんだろ。セックスするなら別料金を取るぞ。 ベッドを軋ませ乗り上げる。クロににじり寄るがピクリともしない。いい度胸じゃねえか。 一思いに首元に噛み付いてやった。クロは流石に肩を跳ね上げる。 「っ・・・何するんですか」 口を離せば、クロは切れ長の目を開け睨んでくる。 「弛んでっからだ。そろそろ躾が必要か?あ゛?」 「勘弁してください。ここは空けるので放っておいてくださいよ」 クロはベッドから下りる。が、腕を引いて組み敷いてやった。 「ハッ、だいたいお前、女に勃つのか?」 「セックスなんてしてませんよ。仕事なので」 「じゃあ隙を見せすぎだ。ナメられてんだよ」 「気に入られるように言ったのはアンタでしょう」 「言いなりになってるだけじゃねえか。ただのイヌだ」 クロは眉間の皺を深くする。反抗心だけは一丁前だな。 「どうしろっていうんですか?」 「ちったあ自分の頭使って考えろ。そのうち食われるぞ」 さっきと同じところに噛みついた。そら見ろ、簡単にヤられてんじゃねえか。 咀嚼するように何度も噛んでやれば、ビクッと背中を浮かせる。 身体を捻ってかわそうとしているが、俺が体重をかけながら肩を押さえている。ますます顎に力を入れれば、クロはシーツを握り込みビクリと身悶えた。だが皮膚を食い破っても呻き声一つあげやしない。 オレが身体を起こせば、クロは解放感に大きく息を吐いた。ジロリと反抗的な視線を送ってくる。 「んだよ、犯すぞ」 クロは今度は溜息を吐いてベッドから降りた。ちったあ使えるようになってきたと思ったらコレだ。生意気な態度にムカついたが、キスマークは噛み跡で消えていた。多少気は済んだから今日のところはこれで勘弁しておいてやる。 どうやって躾直してやろうかと考えながらベッドに潜り込んだ。 end

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