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悲恋。(8)
「あっ、っひぅ……」
奥を暴かれる痛みと、陰茎を扱かれる甘い疼き。それらが交互にやって来る。
けれども好きな人に抱かれるのだ。宝は本能的に、痛みよりも官能の方を選び取る。
「あっ、あっ!!」
華奢な腰がふたたびベッドの上で揺れる。
丞はすっかり緩まった内壁を頃合いだと思ったらしい。自らの陰茎を取り出し、ひと息に穿つ。
「っひ、あああっ!!」
強烈な熱を帯びた丞の雄が宝の最奥を貫く。
丞は腰を揺らし、深くそして浅い抽挿を幾度となく繰り返す。
「っひ、あっ!」
宝は、この光景が信じられなかった。
しかしけっして自分が丞に抱かれる夢を見なかったわけではない。けれどもこういう時が来るとは思わなかったのだ。
「椎名さん……椎名さん……」
宝が愛おしい彼の名を呼ぶ。
しかし、丞はただただ機械的に欲望を打ち付けるばかりで、宝の名を呼ぼうともしない。
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