52 / 96

悲恋。(8)

「あっ、っひぅ……」  奥を暴かれる痛みと、陰茎を扱かれる甘い疼き。それらが交互にやって来る。  けれども好きな人に抱かれるのだ。宝は本能的に、痛みよりも官能の方を選び取る。 「あっ、あっ!!」  華奢な腰がふたたびベッドの上で揺れる。  丞はすっかり緩まった内壁を頃合いだと思ったらしい。自らの陰茎を取り出し、ひと息に穿つ。 「っひ、あああっ!!」  強烈な熱を帯びた丞の雄が宝の最奥を貫く。  丞は腰を揺らし、深くそして浅い抽挿を幾度となく繰り返す。 「っひ、あっ!」  宝は、この光景が信じられなかった。  しかしけっして自分が丞に抱かれる夢を見なかったわけではない。けれどもこういう時が来るとは思わなかったのだ。 「椎名さん……椎名さん……」  宝が愛おしい彼の名を呼ぶ。  しかし、丞はただただ機械的に欲望を打ち付けるばかりで、宝の名を呼ぼうともしない。

ともだちにシェアしよう!