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蛇足

 フォロワーさんと、「本番なし」を書く企画をしました。  なので、お話としては完全に蛇足です。  それとは別に、彼らは麦茶セッが似合うと思っています。 *****  六月終わりの梅雨の明けた夜は、途端に蒸し暑くなった。奈津も海未も相変わらず一組しかない布団からはみ出て、畳の上に転がっていた。 「暑いね」  心なしぐったりとした海未が、ぽつりと零す。 「うん」  奈津は答えながら、ごろりと反転して、海未の方へからだを向けた。近くに海未の丸まった背中が見える。大きめのTシャツは汗で少し張りついていて、肩甲骨のラインが浮かび上がっていた。  奈津はそっと手を伸ばして、その背中に抱きつく。相変わらず肉の少ない、薄いからだだった。 「奈津さんっ」  驚いた海未が身動ぎするけれど、奈津は手を離さない。そのまま海未の肩にうずめた鼻先をすん、と鳴らした。 「海未くんのにおいがする」  ほんの少し、汗のにおいが混じっている。 「暑いよ、奈津さん」  呆れたふうの海未が、脱力して答えた。 「も少し、このまま」  暑いのに、海未の体温が心地よい。汗まじりの海未のにおいを嗅ぐ。ちょっと首を伸ばして、海未の首すじに舌を這わした。 「ひゃっ」  海未が吃驚して悲鳴を上げる。「奈津さんっ? 何?」 「うん。海未くんの味」  奈津の返答に、海未は「ううう」と呻く。恥ずかしいやら、幸福やらでどうしていいのかわからなくなっていた。 「海未くん、舐められるの、嫌?」  奈津が心配になって尋ねる。 「やじゃないけど、恥ずかしい」  海未が言うと、「じゃあ、いいよね」と少し強引に奈津が、今度は海未の耳の裏に舌を這わす。 「ふ……ぁ」  海未が艶っぽい声を上げる。奈津はおや、と思った。試したことはなかったけれど、「海未くん、耳弱いの?」  そう訊きながら、耳の裏にねっとりと舌を這わせて、キスもする。 「ひゃ……んっ」  からだを起こして、今度は耳介の凹凸に舌を埋めていく。耳孔に舌を捩じ込むと、「あ、それ、や……ぁ」と言われた。  どう聞いても「嫌」な声ではなかったけれど、「やだった?」と訊いてしまう。  海未は顔を真赤にして、蚊の鳴くような声で「やじゃない」と答えてくれた。 「でもっ、これ以上はしたくなっちゃうから、だめっ」  海未の細腕が奈津のからだを引き剥がした。  

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