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まさかのタチ同士
付き合って二か月。ゲイ歴28年。男を抱いて大体12、3年。俺は今、初めてパートナーとのタチネコ確認の大切さを知りました……。
「ま、まって。蓮ってタチだったの!?」
「あ、ああ」
気まずそうにそう答えるのは、今の今まで俺が抱く事しか考えていなかった俺の恋人の蓮だ。だが、そんな連は今抱かれる側でなく抱く側だという事が判明した。
「マジか…。キスの反応的に完全にネコだと思った…。」
「それは、こっちのセリフ。涼もタチだったとは…。」
そう顔をゆがませながら言った。多分、蓮も俺も考えていることは同じなんだろうな。
「俺が入れるからな…」
「は?」
「…は?」
喧嘩した。つっこむかつっこまれるかで…。
あ、今。くだらねぇって思っただろ?ったくこれだからノンケは…。
そう悪態をついていると突然、電話が掛かってきた。元セフレの春だった。
「あ~何?」
「うわっ。何どうしたの機嫌悪そうだね?」
「別に…。」
俺は何も悪くない春に思わず当たってしまう。けれど、春は気にする事無く軽く流して本題を伝えてきた。
「まぁまぁ。そんな貴方に飲み会のお知らせでーす。」
「は?誰と誰の?」
「俺とお前の。」
「別に飲み会じゃないじゃねーか。」
そう言いながらも、俺は飲み会に参加してしまうのだが…。
「じゃあ今、争奪戦してるんだ?
俺は、飲みに来て早々に春に喧嘩の事を相談していた。春は呆れる様に「あの時バックヴァージン俺に捧げとけば良かったのに〜」と言っている。
「るっせ。…抱かれることなんか考えた事もねーよ。ましてや好きな奴になんか……。」
そう言って蓮の顔を思い浮かべる。
赤く染まった頬に涙の溜まった目を潤ませ、唇からは甘い喘ぎ声が聞こえてくる。
こんなに可愛い蓮が俺を抱くのか?そんなの信じられないし、俺が許せない……。
「おーい。自分の世界に入るなー。」
「うおっ。ってお前か…。」
「そうです。俺です。てか抱かれるも何もどっちでも良くね?気持ちは同じだろ?」
俺が悶々と悩んでいると春は痛い所を突いてきた。
それはそうだが。それはそれはで、これはこれなのだ。
「あーあ。また悩んじゃった。」
「お前はどうなんだよ。どっちもイけるだろ?」
「あー。まぁ。俺も元はタチだったけど、セフレ沢山作る度に相手に合わせるようになって後も使うようになった。別に深い意味は無いよ?」
春はそう言うけど実際コイツは本命としか後ろは使わせない。俺とヤってた頃は後ろを使っていた。つまりはそういう事だろう。
「……可愛くないやつだなお前。」
「それはお前もだろ?」
「ふん。うるせーよ。」
本命にしか後ろを許さない…そんな春の健気さに俺は少し申し訳なさと可愛さを覚えた。アイツもそんな健気な一面があったのかと関心するが……。
それでも、その事は俺にとって印象的だった。
その日俺は酔っ払って家に帰ると心配した蓮が俺を待っていた。
「やっと帰ってきた。涼…遅くなるなら連絡はして?」
「うん…。ごめん。」
色々考え事をしていて纏まらない頭で俺は蓮に謝った。蓮は素直に謝る俺に何処かびっくりしたようだったが、それ以上は何も言ってこなかった。
「本命にしか許さないねぇ…。」
「何?何の話?」
「あ、いや!何でもない!」
聞かれてるとは思わず急いで無かったことにしたが、大丈夫だよな?
「んー?俺に言えない事?」
「あー。いや。えっと。」
「どうしたの?」
「あ、言います。」
蓮の圧力に押され俺は口を開いてしまった。
と、言っても別に内緒にしておく程のことではないだろう。
「タチネコの事に関してさ、俺ずっと考えてたんだよ。それで本命のお前だけになら抱かれてもいいかな…って?」
俺はふと蓮の顔を見ると嬉しそうに笑っており、勝ち誇った表情をしていた。
「で、でもっ!?お、おお俺も蓮の事は抱きたいし?そこは交代でいいんじゃないですか!?」
「ふふっ。涼…可愛い。」
「ばっ…か!」
完全に1本取られた。なんか負けた気がする…。でもまぁ、もう諦めはついたし、抱かれる覚悟も何となく出来た。初ネコは本命で何の文句も無い。上出来じゃねーか。
「涼。キスしていい?」
「ん、…っ。」
「っ…ん。っ…!」
あぁ。ほら。キスの反応はネコみたいだ。コレでタチとか信じらんねぇ。もっと蓮の可愛いとこ見てみたい。俺は蓮の舌を吸いながら蓮の着ているシャツを脱がせていく。
すると、蓮も負けじと俺のシャツを脱がしてくる。
お互いにキスで息があがる頃、上半身裸で肩で息をする。蓮はズボンの上から立ち上がった俺の物を優しく触る。俺もその触り方を真似るように連の物を触る。互いに互いの身体を確かめるように触り合うこの状況にも何処か興奮して、まだキスだけしかしてないと言うのにもう自身の物は雄々しく立ち上がっていた。
蓮が意を決して俺のズボンを脱がし下着も脱がせていく。
あらわになったソレをゆっくりと扱いていく。ゆるゆると生ぬるい刺激に腰が蕩けそうになる。
「んっ…ぁっ…ん!」
蓮は俺の声を聞いて安心したのかゆるゆるとした動きから、もっとしっかり扱きはじめた。俺はその動きに声が抑えきれず思わず声をあげてしまう。
「あっ…んん…まっ…はやっ…ん…あぁ…。ぃ…く
──!」
蓮の愛撫にあっという間に果ててしまった俺は蓮にしがみつくようにして固まってしまった。
「……れ、ん。はやい。」
「涼…可愛い。大丈夫だから力抜いて。」
そう言うと蓮は後ろの硬い蕾にたっぷりのローションを掛けてきた。
そして蓮が少し力を入れると固く閉ざされたそこもツプリと蓮の指を受け入れた。
俺は案外簡単に入ったそこに驚いてパニックになっていた。
「へ、な。何?」
「大丈夫…指が一本入ってるだけ。涼…力抜いて?」
そう言って蓮は口付けてくる。
「んッ…はっ。」
「ちゅ…んっ…は」
二本目が入ろうとする時、慣れない箇所が押し広げられる感覚に息が詰まる感覚に囚われる。
「大丈夫…だよ。息吐いて。」
「は…っ、はっ…。」
「そう。上手。」
どのくらい広げられ、ぐちゃぐちゃに掻き回されたのだろう、もうそこは訳の分からない程にトロトロに蕩けている。
「あ…っ、んん…蓮…もう…嫌、は、やく…。」
「ふふっ。俺を抱きたいって言ってた涼は何処に行ったんだろうね…。」
「もう、知らないっ…はやくっ…んっ!」
ぐちゃぐちゃに引っ掻き回されたそこに燃えるような灼熱が、圧倒的な質量で押し入ってきた。
その感覚に俺は息を飲んだ。
「はっ…ん、っ…く」
「く…っ…。息、止めないでっ。」
一番質量が大きい所が入り俺の一番奥を突く…。
――――ここからの記憶はもう曖昧で殆ど覚えていない。
ただ覚えているのは、俺は組み敷かれて何も忘れさせられる位の快楽を蓮に与えられたことだけだね。
ネコって怖いね。
「涼…。怒ってるの?」
「別に?」
「怒ってるんだね…ごめんなさい?」
「…。」
俺が怒ってる理由は別に組み敷かれてバックヴァージン喪失したからでも、手加減されなかったからでもない。
蓮が言った『良くこんなに感じる体で今までタチやってたね。』って言う言葉に腹を立ててるんだよ。なんだ?あの言い方?嫌味か?
「…どうしたら許してもらえる?」
「んー。あ!」
「ん?」
俺は今世紀最大のいい事を思いついてしまった。蓮はキョトンとした顔でこっちを見ている。
「次は俺が蓮を抱くから。それで許してあげる。」
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