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第1話

今、俺の目の前では、ガラスの扉を一枚隔てて、恋人が他の男に抱かれている。 その様子を、ただジッと見つめていた。 あなたの色白のキレイな肌が、真っ赤な薔薇のように染まっていくのを眺めるのが俺の快感…。 俺以外に抱かれるあなたの姿が、堪らなく美しいと感じてしまう…。 顔を歪め、苦しそうに何度も『ヤメテ』と泣き叫んでも、男たちは自分が満足するまで、あなたを犯し続ける。 毎日、毎日、違う男に抱かれているあなたは、その度に美しさを増し、俺のところへ帰ってくるんだ。 朝から晩まで、何人もの男に犯された身体は、精液にまみれ、力を失い、魂が抜けたようにズタズタに汚れているのに、俺はそんなあなたに興奮する。 『おかえり渉…』 『凌也…』 『今日も最高にキレイだったよ…』 そう言って、あなたの唇にキスをする。 『ねえ、凌也…俺はもう、こんなこと…』 『そう…。だったら、俺は渉を愛せない』 あなたが涙を浮かべながら訴えてきても、俺は顔色一つ変えずに言い放つ。 するとあなたは決まってこう答える。 『凌也が愛してくれるなら…』 『じゃあ、これからもたくさん愛してあげる…』 もう一度キスを落とすと、あなたは夢中で俺の腕の中にしがみついてくる。 どこにそんな体力が残ってるのかわからないくらい、力強く離すまいと必死でもがいている。 『俺が欲しい…?』 顎を持ち上げ問い掛けると、 『欲しい…凌也…俺を愛して…』 目はトロンと落ち、リップを塗っているように真っ赤な唇が、俺に抱いて欲しいと懇願する。 その顔には真っ白の液体が飛び散り、さっきまでのしなやかに身体を揺らしていたあなたが甦ってくる。 他の男に汚された跡が無数に残るあなたの身体にそっと指を這わすと、ピクンと跳ねて反応する。 自らの足で歩くことができないほどに弱っているあなたを抱き上げ、ベッドへと運ぶ。 真っ白のシーツの上へゆっくりと身体を寝かせた後、俺はそのままあなたから一番遠いベッドの端へ移動して、壁に凭れかかり、そこで回復するのをひたすら眺めるんだ。 俺のところまで自分の力で来ることができなければ、決して指一本触れることはしない。 ようやくあなたが少しずつ身体を引きずりながら、こちらへ向かって進んでくる。 そして、壁に凭れて腕を組み、足を真っ直ぐに伸ばして、かかとをクロスさせている俺の足の裏に、口づけをした。 これが俺に抱いて欲しい時の儀式ー あなたが口づけをしたと同時に、俺は自分の着ている全ての衣服を脱ぎ捨て、優しく身体を包み込む。 『愛してる…』 耳元で囁き、フゥっと息を吹き掛け、甘噛みすると、ゾクッと身体を震わせるあなた。 唇を耳から首へと舌先を滑らせながら移動させ、首筋にカリッと歯を食い込ませる。 『うっ、つぅっ…』 痛みが走り、あなたの眉間に皺が寄ったのを確認すると、歯を立てた場所をペロリと舐め上げる。 『んっ、はぁ…』 さっきとは違う甘い声を出すと、眉間の皺は無くなり、物欲しそうな表情で俺を見つめてくる。 だけど、どれだけ妖艶な姿を魅せられても、俺のペニスは反応しない…。 俺が反応するのは、キレイなあなたではなく、ボロボロに乱れているあなたの姿だから…。 『渉…俺に抱いて欲しいなら…』 『わかってる…そこで見てて』 俺の言葉に答えると、あなたはいつものように自分の身体を回転させ、四つん這いになり、アナルの中に自分の指を差し込んだ。 一本、二本、三本… 指の数が増える度に広がっていくあなたのそこからは、さっきまで抱かれていた男たちの生々しい欲望が溢れ出してくる。 ドクドクと流れ出してくる白い液体が、真っ白なシーツを汚し、シミを作っていく。 『はぁ…はぁ…あっ…』 自分の中をグリグリとかき混ぜながら、一滴も残ることなく精液を掻き出すまで、この行為は続く…。 その間に、何度頂点へ到達しても、決して動きを止めることは許さない…。 その間も、俺はただジッとあなたの行為を見つめているだけ…。 目を逸らすことなく、あなたが他の男たちに放たれた奥深くに潜んでいる欲望の塊を、自分の指で目一杯に広げているアナルからドロドロと溢れさせている姿を傍観する。 その姿が俺を最高に興奮させて、力なく横たわっていた中心部をゆっくりと起き上がらせるんだ。 俺のペニスが完全に大きくなるのは、この後に始まる儀式が終わった後… 何時間も掛けて自分の中から汚れた液体を流し出すと、今度は身体中についた固まっている精液を俺の方を向いて手で拭き取らせる。 自分の指を舐めて固まった欲望に唾液を塗りつけ、その手についた液体を自分の口へと運ぶ。 こうして、身体中にかけられたものを全て飲み込むと、ようやく俺の肌に触れることを許される。 『凌也…』 疲れ果てた顔をして、俺の胸元へ頭を預けてくると、その身体をそっと包み込む。 『渉…愛してる…』 甘く囁けば、幸せそうに微笑むあなた。 やっとその時が来たと、全てを俺に捧げてくる。 抱き締めていた手をほどき、あなたが自分でキレイにした身体に優しく指を滑らせて、胸の突起を軽く摘まむ。 『ひぁっ…』 ピクッと全身を震わせると、みるみるうちにあなたの中心部分が力を増していく。 この部分だけは誰にも触れさせないようになっている。 俺だけが触れられる。 何人の男に犯されても、このペニスだけは俺のもの。 俺だけのもの…。 胸からゆっくりと指を移動させ、大きくなったあなたのペニスを手で被う。 『んあっ…』 触れただけで声を漏らす。 そのまま手を上下に動かし、刺激を与えていく。 『あっ…あっ…んっ…』 動かす度に甘い声で鳴く。 俺はそんなあなたの欲望を口の中へと含んだ。 そして、自らの肉棒を、あなたの口の中へと押し込む。 口の中で丁寧に根元から先端まで舐め上げ、裏筋に舌を這わせながら、くわえ込んだペニスを上下に動かす。 その度に、あなたの口の中にある欲望が同じように上下へ擦られる。 『んっ、はぁ…凌也…』 『くっ…渉…』 お互いに限界が近いことを感じると、一気に動きを速めていく。 太ももが痙攣し始め、俺たちは同時に口の中へと欲望を吐き出した。 『くはっ…』 仰向けになっているあなたが、勢いよく放たれた俺の精液で噎せている。 喉の奥へ突っ込んだペニスが、空気啌を塞ぎ、息も儘ならない様子。 それでも、決してそれを口から出すことは許さない。 射精した液体を全て飲み干し、丹念に根元から先端までに絡み付いている精液を舐めとらせる。 俺の力を失った中心が、再び起き上がるまで、あなたはひたすら舐め続ける。 その間に、俺は同時に果てたあなたのペニスにリングを嵌め、人差し指でツーッと下から上へとなぞるように何度も触れる。 すると、あっという間に硬くて長くて大きくなっていく…。 もう何度も頂点へ登り詰め、何度も射精しているはずのそこは、驚くほどに反り返り、お腹にくっつくほど大きくなっている。 それを今度は指先ではなく、手で被い、上下に擦ると、パンパンに膨れ上がっていく…。 『あぅっ…凌也…』 口の中からペニスを出し、俺の名前を呼ぶ。 『まだ途中だろ…?』 『うん…はぁ…でも…』 『でもじゃない…続けて…』 涙目で俺に視線を向けてくるあなたに、冷たく言い放つと、もう一度ペニスを口の中へと戻し、舐め始めた。 そう…あなたは俺の言いなり。 そうでないと、俺に愛されないとわかっているから…。 俺の愛が欲しいなら、自らの身体を差し出して、ボロボロに乱れ狂うことさえ耐えるんだ。 それが俺の愛を繋ぎ止める唯一の手段だから…。 どれだけ苦しくても、あなたは他の男に抱かれることを選ぶ。 ーチュッー 俺の先端にキスをしてくる。 これが、全ての儀式が終わったことを意味する。 そして、ようやく俺はあなたを抱く。 まず、自分の身体を起こして、仰向けになったままのあなたをそっと抱き締める。 今にも壊れてしまいそうなほどに、力なく身を預けてくるあなたが、愛しくてたまらない。 俺のために、あなたはこんなにも自分を犠牲にできる。 それだけで、ゾクゾクする身体… 愛しい… 俺はこの目の前にいる恋人が愛しくてたまらない。 『愛してる…』 俺の言葉に、嬉しそうに微笑むと、 『凌也…抱いて…』 真っ直ぐに俺を見つめたまま、涙目であなたが言う。 そんなあなたの頬に両手で触れ、力強く唇を重ねる。 『ふっ…んっ…』 唇から漏れる声を塞ぐように舌を絡ませると、必死にその舌が放れないように絡み付いてくる。 その度に、部屋中に鳴り響く絡み合う音… 『んはぁっ…』 唇が解放された瞬間、一気に空気を吸い込むあなた。 そして、俺はそんなあなたの身体をそのまま四つん這いにすると、グッと両足を広げ、その間に自分の身体を潜り込ませ、大きくなった欲望を宛がう…。 何人もの男のペニスをくわえ込んでいるそこは、物欲しそうにピクピクと開閉し、俺のモノを今にも吸い込んでしまいそうなほどに動いている。 形のいいおしりを左右にグウッと開き、口を開けた入り口から、ゆっくりと俺のペニスを挿入していく…。 『はぁぁっ…んっ、あぁっ…』 あなたの入り口は、口を開くにも関わらず、中はグッと締まっていて、俺のモノをギュッと締め付けてくる。 その中をどんどんと奥深くへ進んでいく。 締め付けられる度に、押し戻されそうになる自身を、腰を突き上げて捩じ込む。 『んっ、あぁっ…あっ…んぁっ…』 奥へ進むのと同時に、あなたからは甘い声が漏れている。 リングを嵌めた肉棒は、破裂しそうなほどに大きくなっていて、真っ赤に染まっていた。 『動くぞ…』 『うん…来て…』 根元まですっぽりとハマったペニスを、ゆっくりと律動させていく…。 『んっ、はぁ…あっ…あぁっ…あっ…』 俺の動きに合わせて、自分の感じるポイントへと自ら腰を動かし導きながら喘ぐあなた。 その姿は、近くで見ると本当にキレイだ。 俺の腕の中で乱れる姿は、何にも変えられないほど美しくて堪らない。 そんなあなたを壊したい…。 もっと、もっと、ボロボロにしたい…。 俺の手で滅茶苦茶にしてやりたい…。 そう思ってしまう俺は、異常なのかもしれない…。 『んぁっ…あぁっ…凌也…もっと、もっと激しく…もっと深く来て…』 あなたが腰を突き上げながら、俺に視線を向けてくる。 俺は、望み通り一気に自身を一番奥深くへと進め、そこを激しく突き上げる。 『あぁっ…あっ…あっ…んっ…はぁ…』 あなたの中は生暖かくて、全身にゾクッと鳥肌が立つほど締め付けてくる。 俺の身体が反応しないわけがない…。 あなたを犯したいと身体が勝手に反応するんだ。 『渉…あなたを壊したい…』 『俺…、凌也になら…壊されてもいい…』 『このまま二人で地獄の底まで落ちれたら、きっと楽になれるのに…』 『凌也…?』 『あなたを解放してあげられるのに…』 そう思っても、俺にはできない…。 だって、あなたを愛してるから…。 愛してるから壊れていく姿を見たいんだ。 他の男に抱かれて美しくなっていくあなたを見続けていたいんだ。 俺の愛は歪んでる… でも、これが俺の愛し方… こうすることでしか、人を愛せない… 『うぁぁっ…あっ…あっ…あぁっ…』 さっきよりも激しく、あなたの腰をグッと持ち上げて、自分の腰を打ち付ける。 パンパンと肌のぶつかり合う音が部屋中に響く。 『んぁっ…あぁっ…あっ…凌也…俺…もう…』 『まだだ…まだこれから…』 そう言って、俺は、リングを嵌めたペニスを掴み、上下に擦る。 『あぁっ…あっ…ぁんっ…はぁぁっ…あぁっ…』 大きく背中を反らすあなた。 前は俺の手で擦られ、後ろは俺のペニスで突き上げられている。 もっと、もっと感じろ…。 更に腰の動きを速めていく…。 『あぁっ…ダメッ…はぁぁっ…お願い…もう…』 あなたが限界を訴えてくる。 それでも、どちらの動きも弱まることはない。 『んっ…あぁっ…あっ…んぁっ…』 止まらない甘い声が、俺の脳裏に刻み込まれていく。 いつか、普通にあなたを愛することはできるんだろうか? そのままのキレイなあなたを…。 『あっ…んぁっ…あぁっ…あっ…お願い…イかせて…凌也…』 苦しそうに顔を歪めながら、涙目で告げてくるあなただけど、腰の動きは止まっていない。 苦しくても、自ら感じるところへ向かいながら、喘いでいる。 あなたの白い肌が、全身熱で真っ赤に染まっていた。 『はぁ…くっ…』 俺の身体が身震いした。 限界が近いことを感じる… 嵌めているリングを取り、そこにあなた自身の手を誘導し、握らせると、自然と上下に動かし始めた。 そして、俺は、あなたを仰向けに回転させ、おしりをグゥッと開き、腰を持ち上げると、一気に奥まで突き上げて、勢いよく腰を振る。 『んはぁっ…あぁっ…あっ…んぁっ…』 奥深くであなたの中を掻き回す。 愛してる… こんなにもあなたが愛しい… そう感じる… 『あぁっ…凌也…気持ちっ…んぁっ…』 『俺もだ…渉…』 『一緒にっ…凌也…一緒にっ…』 『ああ…』 更に動きを加速させていく…。 全身に伝わる絶頂への感覚… 『あっ…あぁぁぁ…はぁぁっ…凌也…イクッ、イッちゃう…』 『もう我慢しなくていい…』 『うん…りょう…あぁっ…はぁぁっ…あぁぁぁっ…んぁっ…』 『うっ…くぁっ…』 あなたの身体がピクンと跳ねたと同時に、握っていた先端から液体が飛び出した。 俺も、あなたの最奥に欲望を放つ…。 ドロドロと溢れる先端からの熱いもの… 俺が愛した証… 目の前には、完全に力を失ったあなたが意識を失って横たわっている。 その身体を、そっと抱き上げ、浴室へと向かい、丁寧に隅々まで丹念にあなたの身体を洗い流す。 キレイな真っ白のあなたになるように… キレイになったあなたを、寝室へ運ぶと、朝まで優しく包み込んだまま寄り添って眠る。 あなたの匂いに包まれながら…。 普通にあなたを愛することができたら、きっと楽になれるのに…。 あなたを苦しめることも、自分が罪悪感に押し潰されそうになることもなくなるのに…。 それでも俺には普通の愛がわからない…。 だから、今日もあなたはガラスの扉の向こうへと向かうんだ。 そして、俺はまた、他の男に抱かれるあなたをガラス扉のこっち側で傍観する。 そうしなければ、俺はあなたを愛せない… 歪んだ愛でしかあなたを抱けない… “凌也…愛してる…” ガラスの向こうであなたがそう呟いた。

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