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第20話

そして、そんな俺を知ってか知らずか、 対照的にポンポン話題が出てくるのが佐々木だ。 それは通っている学校の話題であったり、癖の強い客ランキングであったりと、どれもこれも楽しそうなものばかりで俺との違いを見せつけられる。 俺の今日の出来事はこうだ。 雨のせいでマスクが出来ず、〇ーソンの店員に連絡先を渡され、部下に告白され、仕事終わりに下の名も知らない高校生を車に乗せている。 ……何が楽しい。 最後に至っては犯罪臭がプンプンする。 「あ、そーいえば竹内さん!」 「…ん?」 「今日何でマスクしてないんスか?それにメガネしてる竹内さんも見たこと無いから驚きました!」 あぁ、またこの質問か。 本日既に何度か問われたそれには、脊髄反射で流れるように答えが出せる。 「視界が悪い日はメガネをかける。 だがメガネをかけるとマスクが曇るんだ。」 「……ん?」 「……ん?あ、いや、逆か。」 言い慣れ過ぎてしまうと、逆に恥ずかしい言い間違いをしてしまうものだ。 車内に盛大な笑い声が響く。 隣を見た訳ではないが、佐々木がドツボにハマったという事で間違いないだろう。 腹を抱えるのは良いが足踏みはよせ。揺れる揺れる。 この野郎、大人を馬鹿にしやがって。 もう絶対に口をきいてやるもんか、とでも言わんばかりにへの字に曲げた唇を尖らせた。 「っはー、なんか竹内さんってもっと怖い人かと思ってました!」 怖い人? 何だそれは。 ひとしきり笑い終えた佐々木が言ったその言葉の意味がわからず、首がこてんと傾く。 「目キリってしてるし、あまり話してこなかったんで。だけど意外とタルトでほっこり顔になったり笑ったらムスってしたりで…ちょっと可愛いッスよね?」 何言ってんだ、こいつ。

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