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第24話

まだひ弱なチビだった俺は、その日も友達と称して俺に好き放題してくるあいつらに 虐められていた。 それにしても、これは…酷い。 そいつの兄貴は大きかった。 力で敵うわけがなかった。 だから、襲われかけた──。 無理やり脱がされたズボンは留具がはち切れて、立ち上がるだけでずり落ちる。 最初は悪ふざけだった筈なのに、いつの間にか興奮したそいつのモノは大きくて、それをケツに押しつけられて…。 思い出すだけで胃液の酸っぱさが口の中に広がる。 ギリギリのところで何とか手を振り解いて逃げた俺は、もう何処まで来たのかわからないくらい、ひたすらに走った。 あいつらに見つかったら掴まる。 今度こそ、もう離してもらえない。死んじゃうかもしれない。 気付けば見たこともない公園の前にいて 遊んでいる人の声が聞こえた瞬間、ふっと腰が抜けてその場に座り込んだ。 ここなら、もし見つかっても誰かが見ている。 そう思ったからかもしれない。 暫く頭が回らずボーっとしていると、高校生らしき2人の男が歩いてきたのだ。 そのうちの片方が俺を見つけ、こちらへ歩いてくる。 さっきの奴とは違う。 そう思っても、どうしても全身が強張った。 「何だ。…いじめられてるのか。」 「…か、関係、ないです……。」 「なー、~~?ほっとこうぜこんなガキ。」 なんて呼ばれていたのかは、もう覚えていないけど、一緒にいた人に呼ばれて、あぁと適当な返事をしていた。優しくて少し低めの声だった。 そして彼は、あるものを取り出す。 「ガキなんだから大人に甘えろよ。 ……どうしても嫌なら、これを見せろ。」 そう言って渡されたのは、今まで見たことも触れたこともない、折り畳み式のナイフ。 おもちゃじゃなくて本物の。 「そんなもんガキに渡してどうすんだよ!」 「いいかガキ。これは身勝手に人を傷つけるもんじゃない。自分や誰かを守るために使え。いいか?」 その言葉は、10年近くたった今も一言一句鮮明に覚えていて その時の俺は訳も分からず、ただ必死に頷いた。 その日から、俺の生活は変わった。 襲ってくる奴らに貰ったナイフを見せると、すぐに大人しくなった。 卑怯だとか、汚いとか、色んな言葉を浴びせられた気がする。自分たちの方が、1人を大勢で囲んでよっぽど最低な癖に。 だけど。 こんなものは飾りに過ぎない。 人を傷つけるためではない道具。 ただの脅し。 だから強くなろうと思った。 ナイフなんか見せなくたって 誰にも負けないくらい、強くなるんだと。 あの時、気まぐれかもしれないけれど 俺の心も全部助けてくれた、格好良いお兄さんとまた出会うその日までに。 次はお兄さんが困っていた時、助けられるように。

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