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第36話

どれくらい経っただろうか。 スマホなんてもう何処に置いたのかすらわからない。 だから完全に俺の感覚でしかないのだが、恐らく…2時間くらいだろうか。 何やら違和感を覚えて目を覚ました。 まだ外は暗いが、雨風は少しずつ弱まっているように思える。 これなら明日には川も落ち着いて、佐々木を家に帰してやる事も出来るだろう。 あとは電気の復旧か。 熱くも寒くもない季節だからよかったが、それでも昼までには復旧してもらわないと色々不便だ。 この辺りは田舎だから、どうせ街の方から順番で、こっちは最後に回されるのだろうと容易に想像がつく。 まったく、親も面倒な場所に家を建ててくれたものだ…。 って、そうじゃない。 違うんだ、今はそこじゃなくて。 考え込んで忘れかけていたが、俺が目を覚ましたのには理由がある。 身体に感じた違和感。 腰の辺りを撫でられたかと思うと、その手は下に降りて尻をやわやわと揉みつける。 もう片方の手はスウェットの中に入り込み、臍の周りをまぁるく撫でまわしていた。 これは間違いなく 佐 々 木 の 手 。 え、なんで。 なんでこうなったんだ。 手は器用に俺の身体中を這いまわっているというのに、後ろから聞こえる寝息は規則正しく、首だけ振り返ってみても目を閉じたままだ。 …まあ、ただでさえ視力が悪い上にこの真っ暗闇の中なのだから、確証を持つ事は出来ないが。 時折首にかかる吐息は熱く、俺自身の意識が覚醒していくと同時に 尻や腹に回された佐々木の手の感触が更にリアルに伝わってくる。 一体どんな卑猥な夢を見ているというのだろう。 お前の淫夢に巻き込まれる俺の気持ちを少しは考えろ。 こんな触られ方をして、暫くそのような行為も全くだった20代の独り身の男が平気でいられるわけがないだろうが。 少しずつ熱を持つ中心部を自覚すれば、無意識に脚を擦り合わせて気を紛らせた。 しかし確実に存在を主張し始めるそこは欲求に対して正直で、慰めてやりたい気持ちがじわりじわりと押し寄せる。 ……いや、でもだめだ。 トラウマと直面し、ようやく眠りに付けた一回り下の高校生に晒せる姿ではない。 起こしたらどうする、というか起きた時どう弁解する。完全にヤバいド変態だろ。 学生相手、それも同性に興奮しましたってか??……言えるわけがない。 何とか身体を誤魔化して、眠ってしまう事は出来ないだろうか…。 早まる鼓動、もはや痛みを感じるほどに張り詰めている中心、浅くなる呼吸。 両手で力いっぱい口元を覆い、声だけは出さまいと意地を張っていた矢先の事だ。 「…っんぁ………!」 臍周りをぐるぐるとなぞっていた手が、ズボンの中に侵入し、俺の熱に触れた。

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