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~淫らなゲームは終わらない・04=少年調教=~

--------カードを受け取った笠井は、無言で野島の部屋を後にした。 エレベーター前の男2人が笠井に注視し、1人が一歩歩み寄り、話かける。 「お部屋の用意は済んでおりますが、今は眠っておられます」 まだ少し火照った顔色をしているのが自分でも分かっていた笠井は、男たちと目を合わせず少し俯いて無言でそれを聞く。 男からの声掛けも、野島の「後処理」が始まる前からいつも同じだった。 「部屋」とは調教室のことであり、同じ15階の部屋が使われる。15階はこの部屋と野島の部屋しかなく、豪華な絨毯が敷かれた窓がない廊下で繋がっている。 調教部屋は内部が3室に分かれており、どの部屋も12畳ほどの大きさだった。そのうち2室は、キングサイズの固いベッドしかない部屋と、産婦人科などで使われそうな足が大きく開く椅子しかない部屋となっていて、それぞれ調教に使う部屋である。 ベッド部屋と椅子部屋はカーテンだけで繋がっていて行き来できる。椅子部屋の隅に少年を洗うためのガラス張りのシャワールームが取り付けられているのだが、部屋自体は病院のような雰囲気の作りになっており、無機質そのものだった。 この調教室のベッドに、少年は今薬で眠らされた状態にあるということだ。 残りの1室が笠井の部屋となっているが、大きなバスタブ付きのバスルームがあった。この1室だけは調教が行われる部屋とは違い、笠井が好むインテリアで統一され、柔らかなベッドが置かれ間接照明の光が揺れる。 笠井の部屋に行くには、椅子部屋の椅子の背面にある重いドアを鍵を使って開け、一旦細く短い調教部屋内部の廊下に出てからしか行く事が出来ないようになっていた。このドアの鍵は普通の鍵であり、鍵は笠井に託されているが野島がマスターキーを所持しており、男たちは合い鍵を持っている。出られないのは鍵を持たない少年だけという仕組みだ。 笠井は知らないが、この部屋のどれにも隠しカメラが無数に設置されており、野島は24時間その映像が見られるようになっているのだ。 無言のままの笠井に更に男が続ける。 「事前準備も終了しております」 これもいつも繰り返される言葉で、少年が身を綺麗に洗われて浣腸が済んでいる事を意味している。少年は笠井が呼ばれる5日前から準備の為に空腹を感じないように作られた高栄養のゼリーだけを摂取しており、排泄がほぼないように事前準備される。 「何かございましたら6(シックス)ノックでお呼び下さい」 これもいつも繰り返される言葉だ。 調教部屋は電子ロックで閉じられ、外側から押すキーが合えば開く仕組みだ。しかし・・中には開錠するためのテンキーや、ノブ自体がない。外側からしか開かない扉は、笠井さえここに監禁されてしまう事を意味している。 6ノックというのは、野島から教えられたリズムでノブがないドアを6回ノックすれば男たちの誰かが部屋に来て笠井の要望などを聞くことを意味している。その要望などを叶えるかどうかは野島の裁量に委ねられる。 野島は妻がいる自宅に調教中は帰らず、同じ15階のさっきまで笠井がいた部屋の奥で過ごしているのだが、基本的な物品や笠井の食事、少年に与えるゼリーなどは男たちが管理を任されているようで困ったことなどはなかった。 男たちは交代制で24時間警備に当たっている。男は全部で6名ほどで、その誰もが笠井と何度も顔を合わせたことがあった。男たちは誰もがビジネス的で無駄口などはきかない。笠井もそこを分かってはいるのだが、今さっきまで野島の部屋でしていた行為とは真逆のビジネス的対応に「後処理」が始まってから少し戸惑っている。 -----戸惑ってしまう理由はこうだ。 今と同じように・・調教部屋に行くには、この男たちの前を通らなければならない。初めて野島に「後処理」をされたとき、笠井は野島の部屋で愛撫されすぐに果て、根元にベルトを食い込ませながらガウンを被せられた半裸の状態で引きずられるようにここを通ったのだ。 何が行われ、笠井がどういう状況になったのかなど、男たちはすぐに察しただろう。 その情景が脳裏をよぎり、笠井は恥ずかしくなった。 「行ってらっしゃいませ」 ------笠井は、男の言葉を聞き遂げるとさっと足早に調教室に向かった。 これから事前準備された少年は、笠井にたっぷりと調教されることになる。 笠井はそこから15mほど廊下を歩き、野島から渡されたカードを見ながらテンキーを叩いて開錠し、振り返りもせずに調教室へと入って行った。 つづく

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