201 / 218
第6話
モニタ越しにみるアオイ科の花は沢山種類がある。
種類によっては紗江の描いた特徴の花もありそうだが、中々見つからない。
数種類の花を見てると、その美しさに思わず育ててみたいと脱線をする。
立葵が良い。しかし、大きくなるので反対されるかもしれない。
葵は学校帰りに道端でも見かける。芙蓉は中々見る機会は無い。
そう言えば、何時だったか、今よりももっと幼い頃に使用人から聞いた。
何故この家に芙蓉が無いのか。
庭の剪定をしている職人を見ながら使用人の袖を引いた。
母の好んで居る花が庭には植えていない。
それを不思議に思ったのか不服に感じたのかは分らない。
答えは何だったか。
確か、父が一日花を嫌ったからだ。
短命の花は縁起が悪い。
死を思わせるから。
「あっ……」
メッセージカードに描かれた花と同じ花が見つかる。
僅かに波打つ椀状の五弁花。
濃い赤の斑点と黄色い中心部。
朝に咲き夕方には終える半日花。
アオイ科によく似た花が咲く。
ハンニチバナ科、学名はシスタス。
一般名称はロックローズ。キスツス。
和名は午時葵。
ともだちにシェアしよう!