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第67話:生誕【完結】

 一連の催しが終わり、セイジュとクロイゼンは『個室』のベッドでのんびりとしていた。 「クロイゼン、さっきのどういう意味? 俺の寿命とかを何とかするってのは、魔法とかそういうのでできそうだなってのは分かるけど、子供は無理でしょ、男同士の遺伝子なんだから——」 「いや、だから手配済みだと言っただろう」  クロイゼンはそう言ってセイジュのうなじに手を回し、引き寄せてキスをした。 「手配済みってのが恐いんだよ!! 俺別になんもしてないのに、っていうか『手配』っていう言葉がすでに恐いし!」  セイジュが恐れるのもむべなるかな、であろう。しかしクロイゼンはどこ吹く風、といった様子でセイジュの髪を撫でる。 「何も心配するな。もうじき分かる」 「分かるって何が!」 「真相がだ」 「何の真相?!」  セイジュは恐怖からかだいぶエキサイトしている。クロイゼンも、最初はのらりくらりとかわしていたが、セイジュがヒートアップしてくると、 「あ、いや、つまり——」  だとか、 「それに関してはもう少し後で——」  などと、段々と劣勢になっていった。  こいつ案外恐妻家になるんじゃね? 「なってたまるか! 俺は次期国王だぞ!」  え、何もうこれ聞こえてんの? 「え、え、何? 誰の声これ?!」  あら、セイジュにも聞こえてる? 「めっちゃ聞こえる! 誰ですか?」  えーとクロイゼン王子様な、サプライズにしたいのは分かるけど、ここまできたらもうバラした方がいいと俺は思うぜ。 「俺などと言うな! おまえはプリンセスなのだ! 女性なんだぞ?!」 「え、待って! 何それどういう意味?!」  は、え、マジ?! 俺ずっと男だと思ってツッコミ入れてたりしたわ! やっべ、マジはずい。 「セイジュ、この声は俺たちの娘の声だ。最近時間魔法を習ったばかりでな、ある程度成長した我が娘に、俺たちのなれそめを語らせていたんだ。良い記念になると思ってな」 「待って、全然追いつけない……」  いや、俺、じゃねえ、私が全然追いつけないのは調教シーンまで語らせたクロイゼン様の神経ですけどね。  っていうか私もうそっちに生まれていいの? 「もう少しセイジュが落ち着いてからでいい。楽しみにしている。名前も、今からセイジュと一緒に考えるからな」  はいはい。    ってなわけで、これで私のパパ×2のなれそめ話はおしまい。  最後まで付き合ってくれてありがとう。  じゃ、そろそろ生まれるね!   ウォルズ王国万歳!!

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