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一番信頼している親友が一番頼ってはいけない奴だと気づかずにしてはいけない頼みごとをしてしまう

 それはある日曜日の昼下がり。(りん)は親友の家に遊びに来ていた。  小学生の頃から仲が良く、一番の友達である康介(こうすけ)とベッドに並んで座り、凛は言った。 「あのな、康介に頼みがあるんだ」 「ん? なに?」 「セックスのやり方教えてくれ」 「………………は?」  康介は綺麗な顔を強張らせ、硬直した。  康介は小学生の頃からカッコ良くて頭も良くて運動神経も良くて、モテモテだった。女子と付き合ったこともある。なにをするのもスマートで、なにをしても完璧にこなす。優しくて、頼りがいのある自慢の友達だ。  そんな康介にしか、こんなことは頼めなかった。 「り、凛、どうしたの、急に……」 「実は、彼女ができたんだ」 「……あ?」 「一昨日告白されて、別のクラスの子だったからよく知らないし、断ろうかとも思ったんだけど、俺のことがすっごく好きでどうしても付き合いたいって言うから、付き合うことにしたんだ」 「………………」 「それで、もちろんまだデートもしてないしキスだってしてないけど、このまま付き合っていけばいずれそういうこともするんだろ? 俺、はじめてだからやり方とか全然わかんなくてさ」 「………………」 「そういうことになったときに備えて、教わっておきたいんだ。康介は俺と違って経験豊富だし。こんなこと、康介にしか訊けないし」 「………………」 「なあ、ダメか?」  生まれてから十七年、はじめてできた彼女なのだ。  なにもかもはじめてで、だからこそ知識もなく臨めば失敗する恐れがある。そこで凛が思い付いたのは、経験者に教わるということだ。  窺うように康介の顔を覗き込む。  ピクリとも動かなかった康介だが、そこで漸く表情を和らげた。  凛に向かって、にっこりと微笑む。 「もちろんいいよ」 「ほんとか!? よかった、ありがとう!」 「ところで、その彼女って誰?」 「隣のクラスの|伊藤《いとう》|保奈美《ほなみ》さん」 「へー、その子に告白されたんだ」  康介の瞳が暗く翳ったことに凛は気づかなかった。  黒いオーラを掻き消し、康介は爽やかな笑顔を凛に向ける。 「凛、全くわからないの?」 「う、うん。俺、AVとかエロ本とかも見たことないし……」 「そうだよね。…………俺が凛に回さないようにしてたわけだし」 「え?」 「ううん、なんでもないよ」 「ごめんな、AVとか観た方がいいか?」 「それはやめた方がいいよ。AVの内容そのままやる男とか女の子に嫌われちゃうから」 「そ、そうなのか」 「うん。俺がしっかり教えてあげるから、そういうので変な知識はつけちゃダメだよ」 「わかった」  こっくり頷けば、康介は満足そうに微笑んだ。 「じゃあ、まずはキスね」  そう言って、康介は顔を近づけてくる。  凛は慌てて彼の顔を押し留めた。 「えっ、ちょ、待った!」 「どうしたの、凛。もしかしてキスもしないでセックスするつもりなの?」 「ち、違う! そうじゃなくて! ま、まさかほんとに俺にキスするつもりなのか……?」 「しないと教えられないよ」 「い、嫌じゃないのかよ……俺とキスなんて……。俺は説明してもらえれば、それで……」 「説明だけじゃきっとうまく伝えられないよ。俺は全然嫌じゃないから気にしないで。それとも凛は嫌? 練習で俺とキスするの気持ち悪い?」 「まさか! そんなこと思わないって!」  凛は教えてもらう立場なのだ。有り難いと思いこそすれ、嫌悪感など抱かない。  きっぱり否定すれば、康介は嬉しそうに頬を緩めた。 「よかった。じゃあ、目瞑って」 「う、うん……」  ぎゅっと目を閉じれば、康介がふ……と微かに笑うのがわかった。  肩を掴まれ、間近に気配を感じ、ふにゃりと唇が重なった。 「んっ……」  緊張して、凛は思わず唇を固く閉ざしてしまう。  康介はふふ、と笑い、僅かに唇を離す。 「そんなにぎゅってしちゃダメだよ」 「ん、ん……」  康介の唇が、宥めるように優しく何度も重ねられる。  凛の緊張も徐々に解れてきて、漸く彼の唇の感触を感じる余裕が出てきた。  柔らかくて、ふにふにしている。キスしているのだと実感し、胸がドキドキした。  凛の体から力が抜けてきたのを見計らい、康介は凛の唇を啄む。 「んっ……ふ……」 「凛、口開けて」 「ん? ……あ……んんっ!?」  言われたことを理解して、そっと口を開けば、ぬめった感触が中に侵入してきた。  凛はぎょっとして唇を離してしまう。 「凛? 嫌だった?」 「あ、違、ごめん、ビックリして……」 「大丈夫、怖くないからね」 「ん……」 「お口開けて。ちゃんと教えてあげるから」 「あ……」  康介に顎を掴まれ、凛は再び口を開いた。今度は予想できていたので、舌を差し込まれてもそのままじっとしていた。 「んっ……ふぅっ……」  口の中を舐められる。粘膜の触れ合う感覚に慣れず、凛はどうしていいのかわからない。  戸惑う凛の舌に康介の舌が絡み付き、混ざり合う唾液がくちゅくちゅと響いた。それが恥ずかしくて、凛はますます身動きがとれなくなる。 「凛……」 「んっ……ふあ……?」 「凛も舌伸ばして。一緒にぺろぺろして」 「うん……んっ、はっ……んっ、んっ」  よくわからないまま、懸命に舌を伸ばして絡め合う。  ぴちゃぴちゃと音が鳴るのも、舌の触れる感触も、唾液で口がべとべとに汚れるのも、なにもかも恥ずかしい。  こんなことを彼女としないといけないのか。そう考えると早くも挫けそうだった。  けれど、凛から頼んだことだ。折角康介がこうして丁寧に教えてくれているのに、恥ずかしいから、なんて理由で今さらやめることはできない。それにここでやめてしまえば、来るべき本番で確実に失敗してしまう。  だから、凛は羞恥をこらえて必死にキスに応えた。  教えられるままに康介の舌にちゅうちゅうと吸い付き、送り込まれる唾液を嚥下する。 「んはぁっ、はっ、はあっ」  長く濃厚なキスが終わり、漸く唇を離され、凛は荒い息をつく。  凛の潤んだ瞳を覗き込み、康介は微笑む。 「凛、顔真っ赤。可愛いね」 「可愛くねーって……。うぅ……絶対、だらしない顔してるだろ……」  康介も僅かに頬を紅潮させてはいるが、凛に比べたら全然余裕そうだ。これが経験値の差なのだろう。  はじめてだから仕方ないとはいえ、キスだけでいっぱいいっぱいになってしまっている自分が恥ずかしい。  康介は目を細め、唾液に濡れた凛の唇を指で拭う。 「可愛いよ」 「ウソつけって」 「相手の女の子には、そう言ってあげなきゃ」 「あ、そっか」  別に康介は本気で凛を可愛いと思って言ったわけではなく、凛を彼女に見立ててそう言ったのだ。  康介の熱っぽい瞳にまっすぐに見つめられて、勘違いしてしまった。 「キスは大事だからね。たくさんしてあげるんだよ」 「ん、わかった……」  一回だけでも恥ずかしくてたまらなかったのに、たくさんしないと駄目なのだ。自分にできるだろうか。回数を重ねれば、そのうち慣れるのだろうか。  不安になっていると、ゆっくりとベッドに押し倒された。 「康介……?」 「感じる場所は人それぞれだから、色々触って、彼女の気持ちいい場所を探していくんだ」 「あ、うん……」  そうだ。キスで終わりではない。セックスのやり方を教わるのだった。  キスでぼんやりした頭で思い出し、凛は康介の言葉にこくこくと頷く。 「こんな風に、相手の反応を見ながら触って」 「んんっ」  耳を指でつうっとなぞられ、ビクッと肩が跳ねる。そのまま、こしょこしょと指先で擽られた。 「ひゃっ、ぁんんっ」 「嫌がってないか、感じてるのか、見て判断して、気持ち良さそうだったら、指だけじゃなくて、唇とか舌でも愛撫して」 「ひあぁっ、やっ、耳、やだっ」  ぱくりと口に含まれて、れろれろと舌を這わされ、擽ったいようなぞくぞくした感覚が背中を走り抜ける。じっとしていられなくて、びくびくと腰が揺れた。 「嫌? 凛、大事なことだから、ちゃんと本当のことを言わないとダメだよ?」 「ひっ、んっ」 「ここでウソを教えちゃったら、セックスが上手くいかなくなっちゃうからね。気持ちいいときは気持ちいいって、ちゃんと言葉にして伝えないとダメだよ?」  康介は片方の耳元で囁きながら、もう片方の耳を指で挟んでこしゅこしゅと擦る。  ぞくぞくが止まらなくて、凛は声を上げて身を捩った。 「んんぁっ、あっ、ひぅっ」 「凛、ほんとのこと言って。耳触られるの嫌? 触られたくない?」 「んっ、や、じゃないっ……けど、なんか、背中、びくびくって、なるぅっ」 「うん。それが、気持ちいいってことだよ」 「そ、なのか……?」 「うん。気持ちいいって言って。どこが気持ちいいのか、ちゃんと相手に教えてあげて」 「んぁっ、みみ、気持ちいいっ」 「はあっ、可愛い」  艶っぽい溜め息を零し、康介は再び耳をねぶりはじめた。  耳の内側をねっとりと舌で擦られ、耳朶をしゃぶられ、凛は何度も「気持ちいい」と繰り返す。  思考が霞み、なにも考えられなくなっていく。  康介の舌が耳を離れ、そのまま下へと下がっていった。ぬるぬるとした感触が首筋を伝い、凛が甘い声を上げれば今度は首筋をたっぷりと愛撫された。じゅうっと音を立てて皮膚を吸われ、痕を付けられていることにも気づかず、凛は「気持ちいい」と愚かなほど素直に彼に伝える。 「んあっ、あっ、あっ」 「じゃあ他のところも触るから、気持ちよかったら気持ちいいって教えるんだよ」 「ん、うんっ……」  頷けば、着ていたシャツを捲り上げられた。白くて薄い体が露になる。  康介の手が、肌の上を這い回った。 「あっ、んっ、んんっ」 「ふふ、どこ触ってもびくびくして。凛は気持ちいいところがたくさんあるんだね」 「んんぅっ、ふっ、んっんっ」 「こら、凛。声我慢しちゃダメだよ」 「ひんっ、で、でも、俺、なんか、変な声、出る……こんなん、気持ち悪いだろ……?」  女のように甘えた声を出してしまう自分が恥ずかしい。康介も、凛のそんな声を聞きたくはないだろう。 「変じゃないよ。気持ちよくて声が出ちゃうのは当然なんだから。全然気持ち悪くないよ。可愛いから、もっと聞かせて」  可愛くなんてない、と否定しようとして、今のも別に本気で言ったわけではなく、彼女にはそう言うものなのだと教えているのだと気づいた。つまり心の中では気持ち悪いと思っているかもしれなくて、やっぱりこんな声を康介に聞かせるのは申し訳ない。でも今は康介に教えられた通りに声を出すべきなのか。  凛はどうすればいいのかわからなくなる。 「こ、すけ……俺……」 「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫。凛は気持ちよくなって、素直に声を出してくれればいいんだよ。ね?」  康介はにこりと安心させるように笑う。見慣れた彼の笑顔に、凛は自然と頷いていた。 「ほら、おっぱい触るからね」 「お、おっぱい、って……」  恥ずかしい言い方をされ、羞恥が募る。でもこれは女の子との練習だから、と抗議の声を飲み込んだ。  康介の掌が、凛の胸を包み込む。そのまま、やわやわと揉まれた。  本当に、女の子にするようにされている。  凛は顔を真っ赤にして自分の胸が揉まれるのを見ていた。  そして自分の胸が揉まれる光景を見ている凛の顔を、康介が目に焼き付けるように見ていた。  自分は女の子ではないから、胸を弄られたところで女の子のように気持ちよくなったりはしないだろう。そう思っていた凛だが、だんだんむずむずしてきて、落ち着かなくなる。 「気持ちよくなってきた?」 「わ、わかんな……っ」 「ここは?」 「んひっ」  康介の指が、乳輪をくるくる撫でる。焦れったいようなその感覚に、凛はびくびく震えた。 「周り触ってるだけなのに、凛の乳首勃ってきたね」 「やっ、あっ……」  むくむくと膨らむ自分の乳首が目に入り、凛は恥ずかしくて居たたまれなくなる。 「ほら、もうコリコリ」 「あんっ」  つん、と指で軽くつつかれ、それだけで大袈裟に反応してしまう。  その様子に、康介は興奮したように息を荒げた。 「あはっ、もう可愛すぎるよ凛」 「んひっ、ひっあっあっあっ」  両方の突起を、指でくりくりくりくり執拗に弄くり回される。 「あっあっ、待っ、待って、あんっ、康介ぇっ」 「だーめ。ほら、気持ちいいときはどうするんだっけ?」 「ひぁっ、あっ、きもちぃっ、ちくび、気持ちいいぃっ」 「そうだよ、いい子だね、可愛い、凛、凛。ああ、凛の乳首、ぷっくり膨らんで、美味しそ……」  誘われるように、康介はそこへ顔を近づけた。赤く色づく乳首にむしゃぶりつく。 「んあはぁっ、きもちぃ、あぁっあっあっ」 「はあっ、美味し、凛のコリコリ乳首」  はむはむと、本当に味わうように乳首を食まれる。両方の乳首を交互に舐めしゃぶられ、唾液でべちょべちょにされた。 「はっ、止まんない、もうずっと食べてたい」 「ひぁっ、あっ、あぁんっ」  感じないと思っていた乳首は、既に凛の立派な性感帯と化していた。  はじめて味わう自慰とはまるで違う快感に、凛は戸惑い怯えた。 「やあぁっ、こ、すけ、こぉすけぇっ、おれっ」  震える声で名前を呼べば、康介は漸く胸から顔を離してくれた。 「ああ、ごめんね、凛。つい夢中になっちゃって」 「俺ぇ、どうしよ、男なのに、胸、気持ちいいなんて、俺、俺の体、変なのかも……っ」  泣きべそをかく凛に「あー、ムラムラする……」と聞き取れないほど小さな声呟いてから、康介は優しく微笑んで凛を宥めた。 「変じゃないよ、普通のことだから。男でも乳首が感じる人はたくさんいるよ。言ったでしょ、人それぞれだって。逆に女の子でも胸が感じない子もいるし」 「そ、そうなのか……?」 「そう。だから丁寧に時間をかけて、じっくり相手の感じるところを探していくんだよ」 「そっか……! わかった」  康介の言葉を噛み締めるように頷く。  康介は深く深く息を吐いた。 「はー、ほんと可愛いマジ可愛い」  きっと康介はこんな風に今まで彼女に何度も「可愛い」と言ってきたのだろう。そうすれば女の子は喜ぶから。それを凛に教えてくれているのだ。こまめに可愛いと伝えるのが大切なのだと。  男の凛でも康介に甘い声で「可愛い」と言われたらドキドキするのだから、女の子はさぞ嬉しかったことだろう。 「あー可愛い。絶対誰にも触らせない。絶対俺のものにする」 「えっ……今、なんか言ったか?」 「なんでもないよ」  聞き取れなくて首を傾げれば、康介は爽やかに微笑んだ。 「続きしようね」 「あっ、んんっ」  康介の掌が腹部を摩る。  肌が敏感になっているのか、少し撫でられただけでびくびくしてしまう。  康介の手の動きに気を取られている間にズボンを脱がされた。  凛のぺニスは既に膨らんでいて、下着の上からそれが丸わかりだ。  康介がガン見している。  恥ずかしい。セックスのやり方を教わっているだけなのに勃起させて、はしたない奴だと呆れているかもしれない。  凛は腰をもじもじと揺らした。 「や、ごめ……康介、見ないで……」 「ダメだよ、ちゃんと見せてくれなきゃ。パンツも脱がせるからね」 「えっ、ちょ、待った待って……!」  下肢へ手を伸ばすが、止める前に下着をずり下ろされた。あっという間に足から引き抜かれてしまう。  脚を閉じようとすれば、それを見越した康介に逆にがばりと開かれた。 「ぅわあっ……」 「隠しちゃダメだって。よく見せてよ」 「やっ、康介、なんで……っ」 「ちゃんと見えないと触れないでしょ」 「見たり、触ったり、する必要ないだろっ」 「なんで?」 「だって女の子は、ちんちん、ないし……」  女の子とのセックスのやり方を教わっているのだから、女の子にはない男性器を弄る必要はない。  すると康介はにっこりと完璧な笑顔を浮かべ、言った。 「凛、女の子にはおちんちんと同じような器官があるんだよ」 「えっ!?」 「おちんちんと同じで、気持ちよくなると勃起して、精液は出ないけどそこでイけるんだよ。知らなかった?」 「し、知らない、俺……」 「クリトリスっていって」 「あんっ」  康介の指が凛のぺニスに触れる。 「敏感だから、強く弄りすぎないように、はじめは優しく触ってあげて」 「あっ、あっあっ、あぁんっ」  康介の手に包まれ、優しくぺニスを擦られる。 「ふぁっ、あっ、きもちいっ、んんっ」 「濡れてきたら、こうやって、ぬるぬるにして」 「んあぁっ、あんっ」  じわっと滲み出た先走りを指に絡め、全体に塗り込めるようにぺニスを扱かれる。 「ひあっ、あぁっ、いいっ」 「ちょっと強めに擦ってあげて」 「あっ、あっ、んひぁっ、あぁっ」 「そうしたら、もっといっぱい濡れてくるからね、こんな風に」 「ひうぅんっ」  先走りが溢れてぬめる先端を、康介が指でぬちゅぬちゅと撫で回す。  強い快感に、ガクガクと腰が浮いてしまう。 「クリトリス、気持ちいい?」 「きもちぃっ、あぁっ、くちゅくちゅ、いいっ、あっあっあっ、も、いくっ、俺、いっちゃ、ぅんんっ」 「いいよ、凛、クリイキして見せて」 「んひっ、いくっ、あっあっ、いくっ、いくぅっ、~~~~っ」  射精を促すように激しく擦り上げられ、凛は呆気なく絶頂を迎えた。  ぶるぶると内腿を震わせながら精液を下腹部に飛び散らせる凛を、康介は舐めるように見つめる。  うっとりと瞳を細め、康介は凛の頬に口づけた。 「上手にクリイキできたね」 「あ、俺……クリトリスで、いった……」  快楽で思考が蕩けた凛は、無意識に康介を喜ばせるようなことを口にしていた。無知で無垢な凛に興奮して、康介が情欲の滲む瞳をギラギラさせていることにも気づかずに。 「クリイキできたら、今度はおまんこ弄ってあげようね」  はあはあっと息を乱しながら、康介はベッドサイドの棚からローションを取り出す。 「濡れにくい子もいるから、そういう場合はローションを使って濡らしてあげるんだよ」 「う、ん……?」 「冷たいから、まず手で温めてね」  康介が掌にローションを垂らすのを、凛はよくわからないままぼんやりと見ていた。 「いきなり中に入れないで、まずは表面に塗りつけて」 「んひっ……!?」  ぬるっとした感触が後孔に触れ、凛は目を見開いた。  慌てて視線を向けると、康介の指がぬるぬるとそこを撫でている。 「あっ、待っ、なんで、そんなとこ……やめっ、きたねーってっ」 「汚くないよ。凛、セックスのやり方教えてほしいんでしょう? ここが一番大事なんだよ。知らないと、セックスできないよ?」 「で、でも、康介に、そんなとこ、触らせるなんて……」 「気にしなくていいんだよ。凛の体に汚いところなんてないから」  話しながらも、康介の指は皺に粘液を塗り込めるように動いている。 「んっ、んっ、でも、でも……っ」 「お願いだから、触らせて。凛の為にも、ちゃんと最後まで教えたいんだ」  真摯な瞳に見つめられ、凛はそれ以上抵抗できなかった。  凛が頼んではじめたことなのだ。康介がここまで言ってくれているのに、断るのは失礼だろう。 「大丈夫だからね。痛くしないように、優しくするからね」  しかもこんなにも凛の体を気遣ってくれている。  凛は体から力を抜き、康介に身を任せることにした。 「ん、康介、教えて、セックス……」  言いながら、差し出すように自ら脚を広げれば、康介は「んんんっ」と声を上げて天を仰いだ。 「はあっ、マジたまんないなんでこんな可愛いのもう絶対どんな手使っても俺だけのものにする」 「康介……?」 「ごめん、なんでもないよ」  ぶつぶつとなにかを呟きだしたので呼び掛ければ、彼はパッとこちらに顔を向けた。 「続きしようね」  にこりと笑い、康介は再びローションを掌に出した。たっぷりのローションを指に纏い、アナルに触れる。 「こうやって、たくさん濡らしてあげて、それから少しずつ指を入れて」 「ぅんんっ、んっ」 「大丈夫? 痛くない?」 「ん、痛くない……っ」  違和感はあるが、ローションのお陰で痛みを感じることはなかった。 「痛がらせないように、ゆっくり時間をかけて解していくんだよ」 「ふぁっ、んっ、んんっ」  慎重に、ローションを継ぎ足しながら指が奥に入ってくる。 「おまんこの中のこの辺りに、気持ちよくなれる場所があるんだ」 「ひゃうんっ」  康介の指が内部のある箇所を擦った途端、痺れるような快感が全身を走り抜けた。 「Gスポットは弄ってると膨らんでくるんだ。こんな風に、指で擦ってあげるといいよ」 「ひあっ、あっあっあぁっ」  二本の指でこりゅこりゅと重点的にそこを刺激され、目も眩むような快楽に襲われ凛は身悶えた。 「んひっ、あっ、こ、すけぇっ、どぉしよ、俺、お尻なのに、ぉ、まんこ、じゃないのに、きもちいいっ、男なのに、お尻、女の子みたいに、きもちよくなってる……っ」  前立腺の存在を知らない凛は、快感を得る自分の体に戸惑った。  混乱し、潤んだ瞳を康介に向ければ、まっすぐにこちらを見る彼と目が合う。 「凛、もしかして俺のことが好きなの?」 「へぇっ……!?」  突然なにを言い出すのか、意味がわからないが凛は素直に答えた。 「そりゃ、好きだよ。康介は友達だから」 「そうじゃないよ。友達としてじゃなくて、恋愛的な意味で。凛は俺の彼女になりたいの?」 「かのじょ……?」  なんでいきなりそんな話になるのだろう。凛はわけがわからない。けれど康介は冗談を言っている様子でもない。 「そうだよ。俺のことが好きで、俺の彼女になりたいから、凛のお尻、おまんこになっちゃってるんだと思う」 「ええっ……!?」  凛は驚きに声を上げる。  そんなことがあるのだろうか。でも現に、凛のお尻は女の子のように感じるようになっている。康介がそんな嘘をつくわけもない。  ならば彼の言う通りなのかもしれない。  自覚していないだけで、凛は康介のことを友達としてではなく好きになってしまって、彼女になりたいと心の底では望んでいて、だから体が変化してしまったのか。  衝撃の事実に、凛はぼろぼろと涙を零した。 「ご、ごめっ、ごめん、康介、俺っ……こんなの、気持ち悪いよな……康介は友達として、俺にセックス教えてくれようとしてただけなのに……っ」 「泣かないで、凛。謝らなくていいから」  流れる涙を、康介が舐めとる。 「でも、俺ぇっ……」 「気持ち悪くなんかないよ。でも、凛の体はもう女の子になっちゃってるから、女の子とは付き合えないと思うよ」 「うぅっ……」 「だから、彼女とは別れた方がいい」 「ん、うん……」  体の変化もそうだが、自分が好きなのは康介なのだとわかってしまったのだ。彼女とこのまま関係を続けることはできない。彼女には申し訳ないが、別れるしかないだろう。 「それで、俺と付き合おう?」 「え……?」 「嫌?」 「嫌、じゃない、けど……でも、康介は……」 「俺、これからも凛とずっと一緒にいたい。凛が好きだから、友達でも恋人でも、どんな関係になってもそれは変わらないよ。凛のこと大好きだから、ね、お願い。恋人になって」  康介のことが好きなのだとわかってしまった凛は、もう彼の友達ではいられない。だから康介は、恋人になろうと言ってくれているのだろう。 「康介は、ほんとにそれでいいのか……?」 「もちろん。恋人になってくれる?」 「う、うん……」  頷けば、康介は蕩けるような満面の笑みを浮かべた。 「嬉しいよ、凛。俺達は今から恋人同士だから」 「ん……」 「だから、今からするのは練習とかじゃなくて、本当の恋人同士のセックスだよ。恋人になったんだから、ラブラブセックスしようね。凛のはじめてのセックス、恋人の俺としようね」 「ふぁあっ」  康介はアナルに埋めた指を再び動かしはじめた。ローションを内壁に塗り、更に指を増やして中を解していく。 「凛のここ、もう完全におまんこになってるね。ほら、俺の指上手に咥え込んでちゅうちゅう吸ってくるよ。とろとろに濡れて、柔らかく解れてる」 「ひぅんっ、んっ、ぉ、まんこ、じゅぽじゅぽされるの、きもちいいっ」  凛は教えられたことを素直に実行し、どこが気持ちいいのか康介にきちんと伝えた。  快楽に蕩けた顔で卑猥な言葉を口にする凛を見下ろし、康介は頬を上気させ浅い呼吸を繰り返す。 「はあっ、凛、もう我慢できない、おちんちん入れたい、入れさせて、凛のおまんこおちんちんでずぽずぽさせてっ」  よくわからなかったけれど、康介が苦しそうで、これ以上我慢させてはいけないと思った。 「いいよ、俺の、ぉ、まんこ……おちんちん入れて……したいように、して……」  凛の言葉に康介は更に息を荒くさせ、後孔から指を抜いた。 「凛、あんまり可愛いこと言わないで、優しくできなくなっちゃうから。凛とはじめてのセックスだから、うんと優しくしたいのに」 「康介が辛いなら、優しくしなくても、俺は平気だ……我慢しないで、好きにしていい」  康介は凛と一緒にいたいと言って、恋人にまでなってくれたのだ。凛も精一杯彼に応えたい。  康介は「ん゛っ」と言葉を詰まらせ、ふーっふーっと獣のような息を吐く。 「ダメ、ダメ絶対ダメ。凛とのはじめては絶対優しくするって決めてたんだからはじめてだから凛をたっぷり気持ちよくさせてとろとろにさせて俺とのセックスの虜にさせようってずっと頭の中で何回凛との初夜を繰り返したと思ってんの絶対ガツガツしないって決めてたのに凛が可愛すぎて意志が砕けそうだけどでも頑張る」  小声で早口で自分に言い聞かせるように康介はなにかを呟いていたが、凛にはほぼ聞き取ることができなかった。 「康介?」 「ごめんね、ちょっと心頭滅却してた」 「へ……?」 「なんでもないよ。セックスしようね」 「うん……?」  康介は取り出した陰茎を後孔に押し当てた。 「ゆっくり入れるからね」 「んっ……はっ、ああっ」  大きな肉塊が、ぐぐっと中にめり込んでくる。 「凛、痛くない? 大丈夫?」 「うんっ、ふっ、あっ、痛くないっ、んんっ」 「はあっ、凛のおまんこ、上手におちんちん飲み込んでるよ……っ」  康介も額に汗を滲ませ、その表情にはあまり余裕がなさそうだ。それでも凛の体を気遣い、慎重に腰を進めている。  ローションのぬめりのお陰か、痛みもなく、ゆっくりとだが長大な剛直を受け入れることができていた。  やがて亀頭が、前立腺に到達した。ごりっと、指とは比べものにならない太いものでそこを圧迫され、凛は快感に背中を仰け反らせた。 「ひあぁっ、あひぃんっ、そこっ、きもちぃっ、あっ、あっあっ、そんにゃ、ぐりぐりされたらぁっ、俺、ああっあっあっあんっ」 「ここ、凛のおまんこの気持ちいいところ、たくさん擦ってあげるね」  康介は浅い抽挿を繰り返し、雁で敏感な膨らみをぐちゅぐちゅと擦る。  強い刺激を断続的に与えられ、凛は快楽に身悶えた。 「んひっ、らめ、そんなたくさん、んあぁっ、きもちよくされたらぁっ、おかしくなるっ、俺ぇっ、へんに、なりそ、んっ、ああっあっあっあっ」 「変になっていいよ、セックスしてるんだから気持ちよくなっていいんだよ、凛、大丈夫だからもっともっと気持ちよくなって、とろとろに蕩けた顔見せて、可愛い、凛、好き、大好き」 「ひはっあっあっ、待って、待ってぇっ、あんっ、そこばっかりぐりぐりしないれっ、ああぁっ」  同じ箇所をずっと亀頭で押し潰すように擦られ続け、凛は快楽から逃れられず、あられもない声を上げてびくびくと全身を痙攣させた。 「んんぁっ、あっ、こぉすけ、いく、俺いっちゃ、あっあっあっあぁっ」 「いいよ、俺のおちんちんでおまんこ擦られてイッてごらん、ほら、イくとこ見せて、俺のおちんちんでイッちゃう凛の顔見たいっ」  上擦る声で話す間も康介は腰の動きを止めない。  我慢することも許されず、凛は促されるままに絶頂を迎えた。 「はひっ、ひあぁっ、あっ、あ~~~~っ」  びくんびくんっと腰が跳ねる。その激しさとは裏腹に、凛のペニスからは精液が射出されなかった。  勃起したまま透明な体液を滴らせる凛のぺニスを見て、康介は恍惚とした表情を浮かべる。 「凛、メスイキしたの、俺のおちんちんでおまんこ擦られてメスイキしたの、ほんとに俺のおちんちんで女の子になっちゃったね、可愛いよ凛、おまんこぎゅうぎゅう締め付けてメスイキするのほんと可愛い凛、凛、俺の凛」 「んあっ、あっ、なに、あんっ、あっあっ」  康介がなにか言っているけれど、直腸を擦るのをやめてくれないのでなにを言われているのかわからない。 「凛、好き、好き、凛」 「んんっ、んっ、ふぅんんっ」  上体を倒した康介に激しく唇を重ねられ、舌を絡め取られる。貪るようなキスをされ、わけがわからなくなりながらも凛は教えられたことを思い出して自分からも懸命に舌を動かした。  康介はキスをしながら、剛直でぐちゅぐちゅと肉筒を掻き回す。 「んはっ、はあっ、凛、凛、セックス気持ちいい? 俺のおちんちんでおまんこずぽずぽされるの気持ちいい?」 「んっ、いいっ、気持ちいいっ、あんっあっあっ、こーすけとセックス、気持ちぃっ、おちんちんで、お、まんこ、いっぱいされるの、きもち、んっ、あんっ、あっあぁっ」 「俺も気持ちいいよ、凛の中、熱くてきつくて、俺のおちんちん凛のおまんこに扱かれてる、はあっ、凛、凛、可愛い」  興奮し欲望を滾らせながらも康介は凛の快感を優先して、凛の感じる箇所を擦り続けた。  康介は舌を絡ませ濃厚なキスを交わし、その合間に感極まった様子で言葉を吐き出す。 「んっ、はあっ、すごい、凛とセックスしてる、凛のまんこにチンコ出し入れしてる、んんっ、凛とベロチューしながらセックスしてる、凛と恋人のラブラブセックス、凛が可愛い顔して可愛い声上げて想像してたよりずっとエロくて、はあっ、夢みたい、凛、凛っ」 「んんぅっ、んっ、ふぁっ、あっ、ぁんんっ」 「凛、俺もうイきそう、もっと凛のおまんこじゅぽじゅぽしてたいのに凛のおまんこ気持ちよすぎてもう持たない、凛、出していい? もうイッていい? 凛のおまんこに射精したい、するよ、出すからねっ」 「ダメっ、あっ、出すのダメっ」  僅かに残る理性で、凛は声を上げて彼を止める。 「どうして? 凛のおまんこ、俺のおちんちんちゅうちゅうして精子欲しがってるよ? ほら、ぎゅうって締め付けて、精液搾り取ろうとしてる」 「あぁっ、待っ、あっ、だって、だって、俺のそこ、ぉ、まんこになっちゃったんだろ……ぉまんこに、精子、出したら、妊娠するんだろ……?」  セックスの流れなどはわからなくても、それくらいは凛も知っている。  凛のそこが女性器になってしまったのなら、そういうことだろう。  康介は挿入してからずっと動かしていた腰をピタリと止め、両手で顔を覆った。 「っ……っ……っ」 「こ、康介? どうしたんだ?」 「ごめん、なんでもない、凛の尊さを噛み締めてただけ」 「はあ?」 「確かに凛のここ、女の子になっちゃったけど、凛はもともと男だし、妊娠の可能性はすごく低いんだよ」 「そうなのか……」 「うん。でももし妊娠しても問題ないよね。俺はもう凛と添い遂げるつもりでいるし」 「えっ……」 「だから妊娠しても大丈夫だよ」 「ええっ……」 「凛は嫌? 俺との子供欲しくない?」  康介の綺麗な顔がぐっと近付けられる。切なく潤んだ瞳に見つめられ、欲しくないなんて、思っていたとしても口にできなかっただろう。康介の子供なら女の子でも男の子でも可愛くて綺麗でカッコいいに違いない。 「や、じゃない……欲しい……」  気づけばそう口にしていた。  康介はうっとりと微笑む。 「嬉しい、凛。俺の子供孕んでくれるの?」 「あっ、んっ……孕むぅっ、こ、すけの子供っ」 「あー、可愛い可愛い可愛いっ」 「んひっあああぁっ」  両脚を抱え上げられ、ずぶんっと、陰茎を更に奥深くへ突き立てられた。そのまま激しく内部を抉るように擦られ、凛は涙を流して快楽に溺れる。 「ひゃあぁうんっ、んあっあっあっ」 「凛っ、凛、孕んで、俺の子供っ」 「あぁっ、ひっ、はらむぅっ、ぅんんっ、こ、すけぇっ、こーすけの、あかちゃ、ああぁんっ」 「孕ませるよ、凛っ、凛っ」  ガクガク揺さぶられ、内奥を貫かれ、手加減なく肉筒を蹂躙され、もう凛は自分でもなにを言っているのかわからない。ただ与えられる快感に身を委ねた。 「はひんっ、こ、しゅけ、きもちぃっ、も、いくっ、俺また、あぁっあっ、いくぅっ」 「俺もイくよ、出すよ、孕ませるからねっ」 「んにゃっ、あっあっあっ、あ────っ」  ずぼっと最奥に亀頭を捩じ込まれ、その刺激に凛は絶頂を迎えた。  同時に、康介も中で射精する。射精しながら腰を揺すって押し付け、精液を塗り込める。 「ああ、凛、可愛い、好き、絶対離さない、もう俺のものだからね、誰にも渡さない、凛、愛してる」 「ふあっ、あっ、まっ、待ってぇっ、も、終わった、のにぃっ、なんでまだ、ずんずん、すんのっ、あっあっあんっ」 「まだ終わってないよ、凛、恋人同士のセックスは一回じゃ終わらないんだよ」 「んぇっ、そ、なのか、あぁっ」 「そうだよ、まだまだ終わらないから頑張って」 「ひぁんっ、んっ、がんばるぅっ」  凛は震える手で康介にしがみつき、セックスって大変なんだな、と思った。  疲れ果て隣でぐっすりと眠る凛を見つめ、康介はうっとりと目を細めた。  あれから何度も何度も飽きることなく凛を抱いて抱いて抱き潰してしまった。康介としてはまだ物足りないのだが、凛が気絶してしまったので仕方ない。意識のない凛を抱いてもいいのだが、今日はもうやめておくことにした。胸は充分満たされていたから。  やり過ぎてしまった自覚はあるが、後悔はない。なにせずっとこの日を夢見ていたのだ。凛と結ばれる日を。  康介はずっと凛が好きだった。それこそ出会ったときから。  しかし凛は鈍感で、性に疎かった。高校生になった今でも男友達とはしゃぐのが一番楽しくて、今まで一度も女の子に興味を持ったことがない。  そんな純粋ニブニブお子ちゃま凛に普通に告白などしても成就することはないだろう。意識してもらえるようにはなるかもしれないが、関係がギクシャクしてしまうのは嫌だった。  だから康介はずっと告白できずにいた。  凛の気を引きたくて、嫉妬してくれることを期待して女子と付き合ったりもしたが、全く効果はなかった。何度か彼女を紹介しても、凛はただ康介はモテてすごいと感心するだけでヤキモチなど焼く気配もなかった。  時間の無駄だと気づいてからは、誰とも付き合っていない。ただ、どうやって凛を自分のものにしようかと、そればかりを考えていた。  なかなかいい考えが浮かばず思い悩んでいたとき、まさかこんな形でチャンスがやって来るとは。  きっかけをくれた伊藤保奈美には感謝している。  康介は一週間前、彼女に告白されていた。もちろん康介はそれを断った。  彼女はその数日後に凛に告白したのだ。腹いせなのか、それとも凛を利用して康介に近付こうとしたのか。理由はわからないが、理由など別にどうでもいい。  二股なんてできない誠実な凛は、確実に彼女と別れるだろう。それは疑っていないが、彼女の方がごねる可能性がある。だから、スムーズに別れられるよう、手を回しておかなくては。  きっかけを作ってくれたことに感謝はしているが、凛にちょっかいを出すつもりなら容赦はしない。二度と凛に近付かないように釘を刺しておこう。  康介はほくそ笑み、熟睡する凛の頬を撫でた。  卑怯でもなんでもいい。凛が手に入ったのなら。  いずれ凛が嘘に気づいても、もう絶対に手放さない。  ぐっすり眠る愛しい恋人に、康介はそっと口付けた。

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