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第38話
4ー1 告白
「申し訳ございません!」
気がついた俺にラウスとクレイ、そして、金髪の男が頭を下げた。
俺は、夕べの痴態を思い出して羞恥で顔が熱くなった。
「こ、こっちこそ、すまなかった。2人に変な薬を飲ませるところだった」
「いえ・・その・・」
「我々が身代わりになっていれば、こんなことにはならなかったのです」
クレイが思い詰めた表情で俺を見つめた。
「我々が飲むことを拒んだせいで、アルテミア様に罪を犯させてしまいました」
「いや、セイ様がご無事なら、私は、どうなろうともかまわん」
金髪の男が応じた。
あれ?
俺は、小首を傾げた。
やっぱり、この人、どっかで会ったことがあるよね?
「ああっ!」
俺は、突然、叫んだ。
「あの時・・『雉猫亭』に王を迎えに来た人!」
「覚えていてくださいましたか」
金髪の男が嬉しそうに微笑んだ。
男は、マージナル・アルテミアと名乗った。
「私は、王の近衛騎士を勤めております。いや、勤めていた、というべきかもしれませんが」
「いえ、アルテミア様には、落ち度などございません!」
いつも冷静なクレイが 取り乱している。
「裁かれるべき者がいるとすれば、それは、セイ様のお側つきの侍従でありながらこのような事態を招いてしまった私どもでございます」
ええっ?
俺は、おずおずと3人に訊ねた。
「もしかして、俺がその、状態異常とかになったせい、か?」
「いえ、セイ様のせいではございません」
ラウスが俺に申し訳なさそうな顔を向けた。
「セイ様は、あれが媚薬とはお気づきではなかったのですから」
なんですと?
媚薬?
「お・・俺は、確かにポーションを作った筈なんだけど・・」
『主よ。ポーションを作るときに、妙な念を込めたのではないのか?』
「妙なって、どんな念だよ!」
「はい?」
急に大声をあげた俺を、ラウスとクレイが目を丸くして見つめていた。
しまった!
俺は、なんとか誤魔化そうと思って、考えていた。
「あ、あの・・これは・・」
「セイ様」
アルテミアさんが俺にきいた。
「何を飼っておられるのですか?」
「何って」
俺は、たまたま俺のベッドの上に乗ってきたデザスタを抱き上げると、アルテミアさんに差し出した。
「俺が飼ってるのは、こいつだけだけど」
「隠さないでいただけますか?」
俺は、とぼけようと思ったのだが、アルテミアさんにじっと見つめられて、仕方なく答えた。
「すみません・・みんなに黙っていたけど・・」
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