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第56話
5ー6 側室教育
俺は、後宮の広間に側室を全員召集した。
うん。
みな、どれもこれも外の町の娼館に出せば、売れっ子になりそうな美少年ばかりだ。
だけど。
「この中で、男と寝たことがある者は、いるか?」
俺がきくと、みな、キョトンとしていた。
わずかに、イェイリだけが、小さく手を挙げていた。
「イェイリは、誰と寝たんだ?」
「その・・私は、実家の執事と恋仲だったのです。ですが、父の命でここに来たのです」
イェイリが少し、涙ぐんでいた。
俺は、頷いた。
「なるほど」
イェイリの他は、みな純潔を保ったものばかりのようだった。
しかし、みな、若いな。
イェイリが20才だったが、他は、カレイラが13、トーリとリーレは、まだ12才だった。
いくら王が若いとはいえ、少し、幼すぎだろうが!
俺は、カレイラとイェイリに的を絞って、側室教育をすることにした。
まあ、将来のためにトーリとリーレにも話は聞かせるがな。
「いいか?俺たちの任務は、王のお心を癒し、そして、子をなすことだ」
まあ、俺は、ベータなんだがな。
しかし、他の側室は、みな、オメガだと聞いていた。
イェイリがそこで、わっと泣き出してしまった。
「どうしたんだ?」
俺が問うと、イェイリが泣きながら答える。
「わた、私には、無理です。愛する人のことを思うと、王に抱かれて子をなすなんて・・」
うん?
ここにも、俺と同じ脱、後宮派がいたのか?
俺は、イェイリを慰めるように声をかけた。
「イェイリは、無理をしなくてもいいから」
こうなると、残るは、カレイラのみか。
俺は、カレイラに集中的に側室教育を行うことにした。
「カレイラは、閨の手解きを受けたことはあるのか?」
「な、何を!」
カレイラがボン、と真っ赤になった。
「そのようなことは・・」
「じゃあ、お前、何の教育もなしでここに放り込まれたのか?」
「いや、それは・・」
カレイラが、ますます赤くなっていく。
「少しは、その、教わっている」
「どんなことを教わったんだ?」
俺が質問すると、カレイラは、涙目になった。
「・・閨では、全てを、王にお任せするように、と・・」
はい?
「それで?」
俺は、カレイラに続きを促したが、カレイラは、頭を振った。
「それだけ、だ」
カレイラは、きっと涙の滲んだ瞳で俺を見上げだ。
「他になにがあるっていうんだ?」
うーん。
これは、教えがいがありそうだな。
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