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第69話
6ー7 異世界召喚?
気がつくと、俺は、見知らぬ場所にいた。
「大丈夫ですか?兄上」
ロリアが俺に声をかけ、俺を助け起こした。
「ああ・・」
俺は、知らないうちに腹をかばいながら起き上がった。
「ここは?」
「ようこそおいでくださいました。御子よ」
はい?
俺は、俺たちを遠巻きにして取り囲んでいる白い法衣を着た人々を見上げた。
その人々の中央に立っていた金の縁取りのある法衣を着た顔立ちの整った青年が俺の前に膝をついた。
「御子様、それにお供の騎士様とお見受けします」
「違うって、御子は、俺の母親で」
言いかけた俺をロリアが止めた。
「この人たちは、我々の世界のものではありません」
どういうこと?
俺は、ロリアのことを見上げた。
ロリアは、俺をかばうようにして法衣の人々の方へと出ると、きいた。
「お前たちは、何者だ?」
「我々は」
金の 縁取りの法衣を着た青年が答えた。
「あなたたちからすると異世界の住人です。あなたたちを我々の危機を救っていただきたく召喚いたしました」
法衣の青年は、俺の前に頭を垂れた。
「どうか、我々の世界をお救いください」
俺は、その後、ロリアと引き離され1人だけ別室へと案内された。
そこは、広い、湯気のたつお湯の入った湯船のある浴室だった。
「どうか、召喚のお疲れをおとりになられてください、御子よ」
はい?
俺は、問答無用で服を脱がされ裸にされ、数人の従者たちの手によって全身を泡だらけにされた。
従者たちは、俺の髪をきれいに洗い、お湯で流すと俺を湯船へと導いた。
暖かいお湯に浸かり、俺がほぅっと吐息をついたときだった。
浴室へと、見知らぬ男が入ってきた。
「誰だ?」
身構えている俺に、男は、語りかけてきた。
「そんなに身構えることはないだろう?御子よ」
男は、裸で、湯船へと進み、俺の側へと近づいてきた。
「あなたは、もといた世界においては、こうして体でみなをもてなしていたのであろう?」
男は、俺に手を伸ばすと触れた。
「ならば、私のことも楽しませてくれるだろうな?」
男が下卑た笑いを浮かべた。
俺は、きっと男を睨んだ。
「俺は、もう、そんなことはしないんだよ!」
「固いことは言うな、御子よ」
男は、俺の体を湯船に押し付けると囁いた。
「もともと、御子とは、こういうものなのであろう?ならば、せいぜい楽しませてくれればよいのだ」
やばい!
俺は、男の手から逃れようとしたが、その力の前に身動きがとれなかった。
誰か!
俺は、目を閉じて祈った。
誰か、助けて!
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