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第71話

6ー9 精霊王アルモナス 俺は、体を起こすと部屋の中を見回した。 大きな窓がいくつもある明るい部屋だった。 窓から外へと出られるようだったので、俺は、立ち上がり窓へと近づくと窓を押し開いて、外へと出た。 窓を開くと轟音が聞こえた。 ロリアも俺に続いて、外へと出た。 そこは、ベランダのようだった。 俺たちは、外の景色を見て息を飲んだ。 そこは、滝の上だった。 城の周囲は、滝に囲まれていて、莫大な量の水が城の下へと向かって流れ落ちていた。 俺は、そっとベランダから顔を出して下を覗いた。 水の流れ落ちていく先は、暗くて見えなかった。 「ここは、いったい、どこなんだ?」 俺が呟くと背後から声がきこえた。 「ここは、イティザーラ。精霊の世界でございます、御子よ」 はい? 俺は、後ろを振り向いた。 そこには、あの金縁の法衣を着た男が立っていた。 男は、金色の長い髪のまばゆいばかりの美貌の持ち主だった。青い目をしていて、耳は長かった。 「えっと・・さっきは、助けてくれてありがとう」 俺は、とりあえず、さっきの礼を言い、それから、男に訊ねた。 「ところで、あんた、誰?」 「私は、この世界の王、精霊王アルモナスでございます」 アルモナスは、口許に優しい微笑みを浮かべた。 「御子よ、あなたのお名前もお聞きしてよろしいか?」 「俺は・・」 「この方は、マナ。私は、ロリアという」 ロリアが名乗った。 「あなたが、我々を召喚したのか?」 「そうです」 アルモナスは、頷く。 「あなた方を召喚したのは、我々です。この世界の危機を救っていただくためにお呼びしました」 「でも」 俺は、アルモナスに訴えた。 「俺は、特に何もできないし、なんかの間違いじゃ」 「いえ、あなたは、我々が30年の時をかけて召喚した勇者でございますよ、御子よ」 ええっ? 俺は、驚愕していた。 俺、勇者だったの? 「私たちは、30年前にあなた様を遠い異世界より召喚しました。が、何者かの邪魔が入り、あなたの魂は、肉体より分離され人の国アスドルトに取り零されてしまった。我々は、あなたを見守り、あなたが我々の召喚に耐えうるだけの力を持つまで待つことにしたのです。そして、時が満ち、あなたは、無事にこの世界へと召喚されたのです」

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