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第1章 契り 18-2※
再びその中心に顔を埋めて、舌で孔の周りを舐めたり、挿し込んだりを繰り返し、やや開いたそこにクチッと中指を埋める。そのまま前立腺を探るようにして指を動かした。
「はっ……あ、んっ」
「君が気持ち良いところ、全部教えて」
「きゃ……ぁ!!」
ある一点をつくと、亜矢が悲鳴に似た声を上げた。
「んんっ、あッ……」
「ココがいいんだな?」
確認するように、指をくの字に曲げて攻める。
「ひぁ……だめ、だ、めぇ」
クチュクチュと卑猥な音を立てながら前を弄び、花芯を突くように指を抜き差しすると、亜矢はギュッっと俺の胸に顔を埋めてしがみついた。
「ぁ、あッ……!んっ、ん――」
矯声を上げ、背を仰け反らせて2度目の射精をした亜矢は、「ごめんなさい」と眉を八の字にして上目遣いで俺を見た。一つひとつの仕草がまるで煽っているかのようで、焼き切れそうな理性の糸を何とか掴む。
「謝るな、ちゃんと俺に感じてくれて嬉しい」
涙の雫が光る目尻にキスを落としてから、深く口づけをすると、背中に手が回った。とろけた瞳に唆されて、ずっと心の中にあった願望が遂に言葉になる。
「君の中に入りたい。……いいか?」
静かに首が縦に振られ「結月さんが欲しいです」と透き通るような声で言われれば、それだけで自身の中心がさらに昂るのを感じた。
とろりと蜜のついた指を引き抜いて、横向きにした細い身体を後ろから抱き締める。
内腿を手で支え、うなじに唇を寄せながら硬度を増した自分のソレを蕾にあてがった。
「ふぅ……く、んん」
短く吐く息の音を聞きながら、ゆっくりと挿入すると、直ぐに温かい花肉に包み込まれる。
「っ!は、……」
キュウキュウと締め付ける感覚に、思わず声を漏らした。
これが男をも魅了するカラダなのか。そう思いながら慎重に腰を動かす。
「ッひ……ぁ、あんっ」
グチュリと粘着性のある音を立てながら、緩急をつけて抉るように後ろを突く。
ぷくりと立った胸の芽を指で摘んで、奥へと腰を打ち付けると、亜矢の矯声がひときわ高く、甘みを帯びた。
「っやあっ……あ、んっ」
「亜、矢……っ」
吐息に混じった艶のある声が脳に響いて、それが一層快楽をもたらす。
「……ッ悪い、少し激しくする」
髪を乱して喘ぐ亜矢の姿に、もう余裕がなく、うつ伏せにした細い腰を掴んで性急に揺さぶった。
「ゆ、づきさ……」
「っ、……うん?」
「結月さんの、顔が見たい……っ」
その一言で、理性の箍が弾け飛んだ。
汗ばむ肩に手を置いてこちらを向かせ、膝を抱えて再び花芯を貫くと、玉のような涙を零しながら熱い瞳で俺を見つめた。
「――好きだ」
甘い声を散らせる愛らしい唇にキスを落とす。
「僕も、大好き……」
ふわりと緩めたその顔は、初めて名前を呼んでくれた時のそれに似ていて、この上ない幸福感が全身を包み込んだ。
行為の中の言葉なんて、戯言にすぎないと思っていた。こんなにも、心が震えて、体中を浸透していくものだなんて知らなかった。
「っあ、ん……ぁ……結月さん……っ」
「亜矢……あ、やッ……」
愛を確かめ合うように、耳元で名前を呼んで。流れ込む快感に捩る体を掻き抱き、深いところで繋がって。まるで二人で堕ちてゆくように、本能のまま何度も求め合った。
* * *
くたりと意識を手放した亜矢の体を綺麗にして、再びベッドに横たえる。
華奢な体を抱き締め、小さな手を握ったまま、ゆっくりと瞼を閉じた。
人を愛してはいけない、求めてはいけない、と思いながら、ずっと愛が欲しかった。
心の内に秘めた望みは、いつの間にかこんなにも近くに存在した。
そして同時に気がついた。
自分のものにしたいという欲望が、心の奥底に眠っていたことを。
亜矢だけだ。亜矢だけが欲しい。
湧き上がる狂気に満ちた愛情は、きっとすべてを縛り付ける……――
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