93 / 832

16.夏とプールと日焼け止め(3)

 特に夏場における水泳の授業は炎天下の中で行われるため、お肌が日に焼けやすい。  なので、ミオのすらりとした脚線美を紫外線から守るためには、プールの水質を汚染しない、安全な日焼け止めを塗って遊泳させてあげるのがベターだろう。  幸いな事に、ミオの水泳授業まであと二日ある。  明日は帰りがけにドラッグストアへ寄って、水につけても落ちにくい日焼け止めを買ってきてあげよう。 「ねぇお兄ちゃん、これ似合ってるかなぁ」 「うん。子供らしくてかわいいと思うよ」  実際にプールで泳ぐ時は、頭に水泳キャップをかぶるんだろうけど、正直、かぶっていない今の水着姿の方がかわいい。 「えへへ、ありがと。お兄ちゃんにかわいいって言ってもらえて、ボク、すごく嬉しいよ」  そう答えるミオは少し照れた様子で、手を後ろに回してもじもじしていた。  うーん。いつもながら、実にしぐさがラブリーだ。  授業を見に行けない俺のために、わざわざ水着姿になってくれたミオの優しさも身にしみる。  このまましばらく眺めていたい気持ちはあったが、さすがにこれ以上は変に意識してしまいそうだったので、部屋着に戻ってもらう事にした。  と言っても、その部屋着もTシャツ一枚に、下はギリギリしないくらいの短いショートパンツなので、これはこれで刺激が強いのだが。  暑くなってきたから仕方がないとは言え、こんなに薄着のショタっ娘と同じベッドで眠るというのは、やはりドキドキするものである。  もう、うすうす自覚しつつあるから今さらだが、やはり俺はショタコンなのかも知れない。  ――そして翌日の夕暮れ時。  一時間ほどの残業を終えて退社した俺は、いつもの商店街にあるドラッグストアに立ち寄り、日焼け止めのコーナーに向かっていた。  ってなんだこの品揃えは。いくら紫外線の気になるシーズンだからと言っても、これは多すぎじゃないか?  一口に〝日焼け止め〟と言っても、いろんな種類があるんだなぁ。  大まかに分けてみると、このお店では、クリームタイプとジェルタイプの二種類が売れ筋なようだ。  ただ、その二種類のどっちの方がより水に強く、より日焼けを予防してくれるのかが、さっぱり分からない。  まずいな、ここで迷って時間を食うような事があれば、今日の晩ご飯の時間が遅れてしまう。  ミオがお腹を空かすといけないから、こういう時は知識のある店員さんに助言を仰ぐとしよう。 「あのー、すみません」  俺は、日焼け止めコーナーの隣で忙しそうに品出しをしていた、店員のお姉さんに声をかけてみた。 「はい! 何でしょうか?」 「子供用の、プールでも使える日焼け止めを探しているんですけど、どれがいいのか分からなくて……」 「プールですか? お子さんが水泳の授業をされるって事ですよね?」 「そうなんです。できれば水に浸かっても落ちないやつがいいかなーと」 「でしたら、〝ウォータープルーフ〟の日焼け止めがいいと思います」 「ウォータープルーフ。耐水性って意味ですね」 「はい。特にスーパーウォータープルーフの日焼け止めは、プールで泳いでも落ちにくいんです。後は持ち運びのしやすさとか、お子さんの肌質に優しいものが人気ですよ」  そう話すと、店員のお姉さんは、商品棚から一本の日焼け止めをピックアップした。

ともだちにシェアしよう!