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25.リゾートホテルの昼休み(5)
刺身を食べ終えたミオも、今度は衣がカリッと揚がったエビの天ぷらを、自家製ブレンドの天つゆにたっぷりと浸し、粗熱を取ってから口に運ぶ。
「んー。この天ぷら、つゆが甘くておいしいよっ」
「甘口のつゆか。エビに合うものなんだね」
「うん。でね、エビもよく噛むと甘みが出てくるの」
「へぇ。何エビなんだろ? アマエビにしては大きいから、たぶんクルマエビ辺りかな」
「ね。この天ぷら、ご飯に乗っけて食べてもいい?」
「もちろんいいよ。せっかく白飯を食べるなら、おいしいおかずと一緒に食べたいもんな」
「うんうん。それじゃいただきまーす」
ミオは、天つゆがたっぷり染み込んだエビの天ぷらを白飯の上に乗せると、天ぷらを細かく切って、少量のご飯と一緒にいただく。
大好きなおかずで白飯を食べると、みるみるうちに箸が進むのは言うまでもないし、それはミオも例外ではない。
これが酢飯だったら、子供が大好きなエビ天の寿司になるんだろうな。
などと食材についていろいろ考えたり、お互いのおかずの交換をしたりしているうちに、和洋御膳、和食ランチのいずれも、残すこと無く全部平らげてしまった。
ミオが頼んだ和食ランチにはデザートが無かったので、俺の小皿に盛られていたパイナップルの輪切りを半分プレゼントだ。
「ありがとう、お兄ちゃん。パイナップル、ひんやりしてておいしかったよー」
「ミオ、ご飯は足りたかい?」
「うん。お刺身と天ぷらをたくさん食べて、もうお腹いっぱーい」
「そっかそっか。じゃ、ジュース飲んだら、ちょっと休憩がてら、屋外プールの方でも覗きに行ってみる?」
「そだね。プールがどんな感じなのか見てみたいし、後で行ってみようー」
割と高級感のある店でうまい飯を食い終わった俺たちは、再びホテルを出て、すぐそこにある屋外プールへと向かった。
さすがに千人規模の宿泊客がいるホテルなので、プールの利用者も比例して多い。
ひょうたんのような形状をしたプールはそれなりに大きく、全長も五十メートル以上はあるそうなのだが、家族連れやカップルの宿泊客が相当数いるので、遊泳するというよりは、水遊びを楽しむためのプールみたいになっている。
そのプールサイドにある屋根の下では、デッキチェアに深々ともたれかかって、かわいい孫たちの遊ぶ姿を眺めているお年寄りの姿もみられた。
なお、この屋外プールは宿泊客だけの無料サービスとの事で、一般客には開放していないのだそうだ。
そりゃそうだよな、ただでさえこんなに人がひしめき合っているのに、一般客まで受け入れたら、宿泊客の遊ぶスペースが無くなってしまう。
釣り台のある堤防だけは例外だが、基本的にこのホテルのサービスは、あくまで宿泊してくれる客のためのものだというスタンスは崩していない。
俺はそういうところは素直に評価したいと思う。
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