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27.再会、そして(4)

「分かったよー。ボク、ちょっと探してくるね」 「あ、ミオ……」  行ってしまった。  どうしよう。女の子寄りなミオの事だから、きっと女受けのいいグッズをチョイスして持ってきてくれるんだろうが、それを無下にする事はできないよな。  でも、それはそれで、ネタになるからいいのか? 佐藤はコテコテの関西人だし。  いやいや、いくら佐藤でもそれはまずいな。  あいつの悲願だったお泊まりデートの予約を譲ってもらった恩があるんだから、それなりにいい物を贈ってあげたい。  そうだ、こういう作戦でいこう。  ミオが選んできたものはフイにせず、ミオから佐藤への〝お礼の品〟という事にするのだ。  そして俺からは、また別の商品を買って渡せば、あいつも二重で喜んでくれるだろう。  そうと決まれば、俺もみやげ物探しの再開だ。  何がいいかなぁ、佐藤に「うまいもんを買って帰る」と言ったからには、それなりに有名な品がいいとは思うんだが、俺はこの島で何が一番うまいのかが分からない。  特産品のかぼすを使ったお菓子は、さっきの亜麻色うさぎとダブってしまうから、選択肢から消えるかな。  いっその事、昨日食べたの晩ご飯で考えてみるか。  この島で最も漁獲量が多いと言われる、カツオのたたきなんかは結構うまかったんだが、今は旬じゃないらしいしなぁ。  うーん、他に食べたものといえば、夏野菜の天ぷら、ホタテのオーブン焼き、ウニの軍艦巻き、それからミオがおいしいと言っていた地鶏の焼き鳥と、後は佐貴島牛(さきしまぎゅう)のしぐれ煮だな。  そういやしぐれ煮は絶品だったなぁ、あれだけで白飯がガツガツいけちゃったし、酒のつまみにもなるだろうから、たぶん佐藤も喜んでくれるんじゃないかな?  よし、そうと決まったら、佐貴島牛のみやげ物を探そう。  今いるここはお菓子のコーナーだから、辛いものとか珍味が並ぶ場所へ行けば、きっと見つかるはずだ。 「お兄ちゃーん」  しぐれ煮を探して売店をうろついていると、ミオが何かを大事そうに持って戻って来た。 「佐藤さんへのおみやげ、見つけてきたよー」 「ん、それはかぼすかい?」 「そうなの。かぼすのカボカボちゃん人形だよっ」  嬉しそうに見せてくれたのは、淡い緑色の体に、短い手足が生えているかぼすの人形、というかぬいるぐみで、正式名称は〝カボカボちゃん〟と言うらしい。  確かに女の子受けしそうなかわいい見た目と顔をしているし、ミオくらいの子供の両手にも収まるくらいの小サイズなので、インテリアとして飾るには最適だと思う。  まだこの島の全てを把握していないから分からないが、察するにこれは、島の公式みたいなものなのかも知れないな。 「どう? お兄ちゃん」 「うん、とてもかわいいと思うよ。それなら佐藤も喜ぶんじゃないかな」  もっとも、俺からというより、ミオからのプレゼントだと伝えた方が、佐藤のやつは喜んでくれるだろう。  という事でカボカボちゃん人形、お買い上げ決定。

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