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第15章 三年次・4月(2)
例年行われる新入生向けの入部勧誘期間も終わった頃、今年度最初のぷよぷよ会が招集された。最近ではただの飲み会となっている。集まるのは例の合コン参加以来だったため、もう去年の話なのに、合コンのことを聞かれた。
「全然駄目だった。あんまり話せなくて居心地が悪かった」
高志はそう答えた。
「まあ、藤代くんはイケメンだけど、ちょっと怖くて女子は話し掛けにくいかもねー」
山田が歯に衣着せず指摘してくる。
「水谷くんは当然駄目だったし」
「当然とか言うな」
「ああもうここ侘しいやつらしかいないじゃん」
「虚しい男飲み……」
「細谷以外な」
例によって独り身アピールするメンバーに高志がそう言うと、
「いやいや、細谷くんも再びオタクに陥落だよなー」
と伊藤が笑いながら言ったので、高志は驚いた。
「そうなのか?」
「あー、まあ、何かはっきりしないんだけど」
茂が言う。
「細谷くんが冷たくするからさあ。かわいそー」
「冷たい? 細谷が?」
上手く飲み込めず、高志は茂に直接尋ねた。
「振ったのか?」
「いや、何か自然消滅的な感じ」
「デートすっぽかしたんだよな」
「途中で帰ったんじゃなかった?」
「しかもクリスマス前の大事な時期に!」
「そりゃショックだよなー彼女も」
当然のように詳細を語るメンバーの話を聞きながら、自分だけ何も知らないことに生じた疎外感を、高志は努めて無視した。別れたことすら聞いていなかった。ただ、もともと茂は高志には今の彼女の話を殆どしなかったから、その流れで言わなかったのかもしれない。あるいは、高志が遥香と別れて日が浅かったことに気を遣ったのだろうか。
「まあ細谷くんはさ、長期休暇もネックだよな。実家遠いし」
「その間に冷める確率高まるよね」
「でも、お前にしては珍しいな」
高志は、女子に冷たい茂というのが上手く想像できなかった。
「よっぽどむかついたのか?」
「いや全然、そんなんじゃないよ。ただその日ちょうど用事があったの忘れてて、一応ちゃんと説明したんだけどさ」
「まあ、春休み中に一回も連絡来なかったんなら、もう駄目だろうねー」
「いいよ、もう仕方ないし」
「でも同じサークルだったら気まずくないか」
「いや、同じサークルじゃなくて隣のサークルなんだよ。サークル棟で部室が隣なの」
「何でか昔からメンバーがよく行き来してんだよね」
「へえ」
「だからぎりセーフ?」
「いやビミョーでしょ。最近いないじゃん麻由ちゃん」
「だよなー俺も思ってた。来にくいよなそりゃ」
また内輪話に戻ったみんなの話を聞きながら、高志はふとあることを思い出した。
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