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第1話 高2の春 目標
クラス替え
俺は窓際の席になった
笈川 蒼介
名字があ行のため、窓際の席になることが多い
隣の席は男だった
紀伊 悠
「はぁ、男か」
俺は紀伊を見た
(うわ、まじかこいつまつ毛長…)
横顔の形が綺麗だった
(そこらの女より美人じゃね)
しばらく紀伊を見ていると紀伊が口を動かした
「……なに」
目だけこちらに向けた
「見てるのバレバレなんだけど」
スマホに目を戻していった
「あぁ、ごめん 可愛いなーって思って」
「誰にでもいってんだろ、それ」
「そんなわけないだろ、可愛いと思ったひとにいってる」
「やめたら?そういうお世辞」
イラッ
(こいつ一回泣かせてぇ……)
「お前…」
「もういい?用事あるから」
スッと席を立つとスタスタと教室を出ていった
「…クッソあいつまじムカつく」
「え?どいつ?誰がムカつくん」
話しかけてきたのは、一ノ瀬 尚人
昔からの友達だ
「いや、こっちの話し」
「なんや、でも見当はつくで」
紀伊の机を指差した
「この人、紀伊さんのことやろ」
「……態度悪いんだよあいつ」
「で、泣かせたいんやろ?」
「よく分かったな」
「ムカつくとだいたい泣かせたがるやろ。最低グズ野郎で草」
一ノ瀬がピッとゆびを指してきた
「よく言うわお前」
「ま、せいぜい頑張れー」
ヒラヒラ手を振って一ノ瀬も教室を出た
「………絶対泣かす」
俺は紀伊の席を睨んだ
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