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第7話
「っ、ぅ、ふ、……ッ、ぅ……ッ!」
血の臭いが広がる。自分の下半身がどうなってるのかなんて見たくも知りたくもなかった。
血液で粘ついた体内、花戸は気にもせずただ夢中になって俺の唇にしゃぶりついていた。
なぜ、こんなことになってるのか。何度繰り返しても答えは出てこない。
この行為の何が気持ちいいのかもわからない。花戸の性器はさっきよりも大きくなってる気がしてそれがただ怖くて、それでも逃げることもできない。下から突き上げるように腹の奥を亀頭が押し進んで来る、それだけで鼓動は更におおきくなり、熱が増した。
痛い、苦しい、怖い。兄さん、助けて。兄さん。
叫びたいのに、唇を舐められ、舌を絡められればろくに叫ぶこともできない。
下腹部、腹の奥に濡れた音が響き、気持ち悪くて嫌で嫌で仕方ないのに逃げられなくて、自分の不甲斐なさが悔しくてただなすがままに犯される。
硬くなった花戸の性器からは先走りが溢れ、それのせいか更に挿入が激しくなる。
「っふ、ぅ、……ッ、う゛……〜〜ッ」
動かないでくれ。腹が、内臓が突破られるような感覚が恐ろしく、首を横に振るが花戸に届くわけがなかった。
「もう少しだよ」なんてワケのわからないことを言って、更に花戸はストロークの感覚を狭めるのだ。奥を突き上げられた瞬間全身がびくんと跳ね上がり、頭の中が真っ白になる。待って、そう言いたいのに言葉を発することもできない。
「ぅ゛ッ、ん゛ぅ、ッ、ぅ、ふ……ッ」
「っ、ああ……間人君、もしかして、ここ、押されるのが好きなのかな?」
「ふ、ッぅ゛ぅ!!」
根本まで性器を挿入され、『ここ』と突き当りを柔らかく、それでもしっかりと押し上げられただけで全身の毛穴が開くのが分かった。身の毛がよだつ。あまりにも感じたことのない感覚に瞼の裏がチカチカと点滅し、それ以上に恐ろしくなった俺は必死に腰を浮かそうとして逃げようとするが、花戸にがっちりと腰を掴まれ、無理矢理引き戻される。
――そして。
「ッ、あ、い、やだ、いやだ、抜い……ぃ゛……ッ、ぎ、……ッ!!」
「っ、ふふ、初めてのくせにここ、ぐりぐりされるの堪らないんだ? ……っ、間人君、君って子は……ッ、本当俺好みだよ……ッ!!」
「ぃ゛、ぅ゛ぐひッ!!」
指が食い込むほどの力で太腿を掴まれ、そのまま隙間がなくなるくらい腰を押し付けられ、みっちりと詰まった勃起した性器で奥を突き上げられ、執拗に最奥を嬲られる。
わからない、何がいいのかもわからない。わからないまま、花戸に笑われ、知らない間に勃起した性器から精子が溢れる。それを見てまた花戸は笑い、更に俺を犯したのだ。
もしかしたらまだ夢の中で、俺はまだ悪い夢を見てるだけなのかもしれない。そう思えたらどれだけましだろうか。
どれほど犯されていたのかもわからない。気付けば俺は気を失っていたようだ。起き上がろうとして、違和感に気付いた。
目を開けば知らない部屋の中にいた。兄のマンションではない。そして、部屋に広がった煙草の甘い香りに嫌な記憶が蘇る。
俺はベッドの上で寝かされていた。慌てて起き上がろうとするが手足が動かない。ベッドの上、体操座りになるように足首と手首を縛られている。それから。
「……ッふ、ぅ……」
ガムテープかなにかで口を塞がれてるのだろう。声を出そうとしてもくぐもったそれは遮られ、声を発することすらも許されない。それから――体の違和感もあった。下腹部、まだ何かが入ってるような違和感に息が漏れる。四肢の拘束を解こうと身を捩らせれば、体の奥、埋め込まれた異物の凹凸が内壁を刺激してじっとりと全身に汗が滲んだ。
夢、じゃない。そう嫌でも気付かされたときだった。
「おはよう、間人君」
「……ッ!!」
「随分と眠ってたみたいだね。もう夕方だよ」
そう、花戸は薄く微笑み、俺の元へと歩いてくる。咄嗟にベッドの上から這いずってでも逃げようとするが、遅かった。体の上、掛けられていたシーツを剥ぎ取られる。そして、自分がなにも身に着けていないことに気付いた。
剥き出しになった性器に背筋が震える。咄嗟に腰を引くように隠そうとすれば、花戸は躊躇なく俺の脚を掴み、そしてベッドへと乗り上げてきた。
「っ、ふ……ぅ……ッ!!」
「はは、嫌われちゃったかな」
「ふ、ぅ……ッ、ぅ゛……ッ!!」
ベッドから蹴落としてやりたいのに、ままならない。それどころか、抵抗すらも構わず花戸は俺の脚を開かせてくるのだ。そして、息を飲む。
「約束したよね。君には気持ちよくなってもらいたいって。……だから、君が眠ってる間も俺の挿入しても痛くならないように慣らしてたんだけど……ああ、結構具合よくなってるね」
この男が何を言ってるのかまるで理解できなかった。
開かされた下腹部、自分の体がどうなってるのか知りたくもなくて咄嗟に顔を逸したときだ。
花異物を咥えたそこを撫でられ、背筋がぶるりと震えた。それもつかの間、それを摘み出した花戸はそのままずるりと引きずり出すのだ。
拍子に無機質な凹凸に内壁を擦られ腰が大きく震えた。逃げる暇などなかった。ぐぽ、と大きな音を立て引き抜かれたそれを手にした花戸は微笑む。男性器を模したシリコン製の玩具を見せ付けられ、血の気が引いた。赤子の腕ぐらいはあるのではないかと思うほどのそれが自分の知らないところでずっとハメられていた事実がただ恐ろしく、理解したくない。そう脳が思考を拒否する。
「……ッ、……まだ温かいね、間人君。ここも、ぷっくり腫れててすごい誘ってるみたいだ」
「っ、ふ、ぅ」
可愛いね、なんてうっとりした顔をきた目の前の男はつい先程まで異物を飲み込まされていたそこを撫で、そして躊躇なく指を挿入するのだ。ぐぷ、と中を指の腹で撫でるように執拗に刺激される。それだけで恐ろしくなり、逃げようとするが花戸は寧ろ楽しげで、先程よりも激しくなる指の動きに次第に呼吸が浅くなる。
「っ、ふ、っ……ぅ……っ」
「腰、カクカクしてるよ。……またしたくなったんじゃない?」
そんなわけあるはずない。そんなわけ。そう声を上げたかったが、この状況では声を発することすらできない。
止まらない指に前立腺を揉まれ、二本目の指を追加されれば逃げることすらもできない。頭をベッドに擦り付け、必死に快感を逃そうと背筋をぴんと伸ばすが敵わない。そのままビクビクと内腿が痙攣し始め、無意識の内に芯を持ち始めていた性器が腰の揺れに合わせて性器が当たる。
それもつかの間。
「ッ、ぅ゛う……ッ!!」
がくん、と持ち上がった腰が揺れる。射精はない、それでもイカされたのだと頭で、体で理解し、絶望する。花戸は指を引き抜き、びくびくと震える腿に唇を落とす。「いい子だね」とまるで恋人相手にするかのように、優しく、甘く囁くのだ。
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