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第1話

派遣型の家庭教師のバイトをしている波多野航平。 次なるクライアントはホームページで航平を知ったらしい、中三だ。 ホームページには合格させた率のランキングが家庭教師ごとに顔写真と共に掲載されているが、上位にいる秘策。 ゲイの航平は、相手の反応を見れば、大抵、相手もゲイだとわかる。 当たり前だが、どの依頼も年下で、殆どは高校受験の為の家庭教師。 自宅に出向いた航平を直接見て、瞬きも忘れ、ふっと頬を染め、視線を逸らしたり。 次第には、 「先生、イケメンですね」 「恋人いるんですか?」 同性の航平にチラチラ視線を送ったり、興奮気味に前のめりになったり。 普段から抜かりなく、清潔感を保ち、万人受けするよう、程よい筋肉のついた体を維持している。 マッチョ過ぎては好みが偏ると思ってのことだ。 肌も髪の艶も抜かりない、そして、いざ、家庭教師として隣に座るまで、爽やかな笑顔は絶やさない。 新たな家庭教師先で母親の隣で航平を見上げた成瀬樹の目が丸くなっている。 航平も思わず笑顔を返した。 今までの秘策通り進めそうだ、と。 「よろしくね、樹くん。一緒に頑張ろう」 「はい。航平先生」 ニコッと口角を上げ、樹が微笑んだ。 航平の秘策、それは相手がゲイで、自分に好意を持っているのに気づいたら、徐々に進められていく、航平ならでは、ゲイならではのとっておきの学習法。 バリタチの航平は最初はキスから責め、最後はアナルを覚えさせる。 「これ、全問、解かないと挿れてやんねーぞ」 既にアナルの快楽を覚えてしまった生徒は意地になり、勉強机に張り付く。 解答が間違っていると、行為は無く、懸命に間違えた問題を徹底的に教え込む。 指導しているに関わらず、挿れて欲しさ故にぼんやりしていると、 「...もう二度と挿れねー」 その言葉に生徒は背筋を整える。 が、無事、合格すればそこまで。 こうして、航平は多くの合格率を誇り、派遣型の家庭教師先でも人気な理由だ。

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