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第4話 後悔に溺れる(9/10)

「ルス……?」 少し不安げに俺を呼ぶ声も、どこかまだ甘い響きで、俺の内を熱くさせる。 「いや……。お前に、早く入れたいと思っただけだ……」 熱い息を吐くように囁くと、上半身を持ち上げていたレイが、また真っ赤な顔を覆ってベッドに背を預けた。 「ぅっ、俺、もうお前にだったら何されてもいい……」 可愛い事を呻く男に苦笑を浮かべつつ、高まる熱に急かされるようにレイの身体を手早く拭うと、後ろへと指を挿し入れる。 「ぅん……っ」 三本はまだ早かったようなので、二本をしっかり奥まで入れてから、ぐちぐちと中を解す。 「ぁ、ぅ……んん……っ!」 その途中で、レイの腰がびくりと跳ねた。 ああそうか。この中にも、イイところってのがあるのか。 俺はもう一度、さっきレイが跳ねたあたりを慎重に探る。 「ふ、あ、……あぁあっ!」 レイのモノへ繋がる辺り、指を軽く曲げてようやく届くあたりに、押すと少し弾力を感じる部分があった。 「ここがイイのか……?」 指先を揃えてそこを繰り返し押してやると、レイがビクビクと跳ねた。 「やっ、あっ、んうっ、くぅっ、……ぅあんっ」 潤んだ青い瞳を見開いて、開いた唇からは飲み込みきれない雫を溢して。 余程良かったのか、そのあられもない姿に、俺の背を熱が駆け上る。 そろそろ三本目も入るだろう。 ゆっくりと挿し入れれば、そこは緩やかに俺の指を飲み込んだ。 ごくりと喉が鳴る。早くこの温かな中に突き入れたい。 わずかな焦りとともに、ぬちぬちと音を立てながら中を掻き回す。 「あ、う……んんっ、ぁ……っん……」 時々、良いところを擦りながら、中を十分に解すと、俺はゆっくり指を引き抜いた。 「くう……ぅ」 ずるりと抜いた指にすら、レイは肩を震わせて感じている。 ふっと口元が自然と弛む。 俺のを入れたら、こいつはどんな風に啼くだろうか。 ああ、この足が動けば。思う存分突いてやれたのにな……。 「……乗ってくれるか?」 ほんの少しの寂しさを混ぜ込んだ声で尋ねれば、レイはハッとした顔で青い瞳を揺らした。 「……ああ。お前はゆっくりしてろよ、今度は俺が、サービスしてやるからさ」 そう言って、レイはまだ赤い顔で、綺麗に笑った。 そうやって、お前は今まで、何度俺に献身を捧げてくれたんだろう。 きっと、俺が気付くこともできなかったような細やかなお前の優しさが、俺をここまで支えていたんだな……。 俺がベッドの真ん中へ仰向けになると、レイは少しだけ恥ずかしそうに、俺の上に跨った。 「ルスの……でけぇな……」 俺のものへとレイが指を伸ばす。 俺の厚みのある骨張った手と違って、レイは長くすらりとした指をしていた。 先端から根元までをゆっくりなぞったその指が、俺のものを扱き始める。 「もう十分立ってる。お前の中に入れてくれ」 「っ、お前……っ、っっ、わ……分かったよ……」 顔を真っ赤にして、レイが渋々応える。 なんだ? まだ解し足りなかったろうか。 「……怖いか? 不安があるなら、無理をしなくていい」 「なっ、違っ……、……いや、まあ不安はあるけど、お前となら平気だろ」 レイがニッと笑ってみせる。 不安なのはお前なのに、俺を安心させようと笑顔を見せてくれる。 それがまたどうしようもなく健気に見えた。 そうか。初めてなんだったな。 それなら、俺が手荒に抱くより、お前がリードする方が楽かも知れないな。 「入れるぞ」と言われて「ああ、頼む」と答えると、レイは「任せとけ」と笑った。 *** レイの手が、俺のものをレイのそこへと誘う。 レイの体重でずぶりと中へ進めば、レイは小さく息を震わせた。 「ふ……っ……ぅ……」 肉を掻き分けて、ずぶずぶと進む感触が堪らない。 中は温かく、どこか懐かしかった。 そういや、もう随分とご無沙汰だったな……。 討伐隊隊長だった頃は、遠征先でそういう接待がある事もたまにはあったが、勇者隊になってからは、毎日が忙し過ぎて、そんな事を考える暇すらなかった。 「ぅ……ぁ……」 震える息を吐きながら、レイは健気に俺のものを全て飲み込もうとしている。 「無理して全部入れなくていい。痛まないとこまでにしとけよ」 「なん、で、お前、そんな平気な顔してんだよっ、俺、も……いっぱいいっぱいだって……のに……っ」 見れば、確かにレイは顔を赤く染めて、荒い息を必死に整えているようだった。 「ぅあ……、っ、お前の、でか、い、んだよ……っ」 そうだろうか? 人と比べる機会もないから、よく分からんが、お前がそう言うならそうなんだろうな。 「く……っ」 レイの、自身を支える両腕はぶるぶると震えていた。 「レイ、俺に体重を預けろ。そして、力を抜け。そんなに力を入れていては、痛いに決まっている」 腕を伸ばしても、頭までは届かない。髪を掴んでゆっくり引き寄せると、レイは戸惑いながら、俺に覆い被さった。 「ぁ……ん……」 姿勢を変えると中で動くのか、レイが僅かに声を漏らす。 このまま突き上げてしまいたい衝動をぐっと抑える。 レイの体は俺に重なったが、まだ体重が乗るほどの重さは感じない。 「おいこら、力を入れるな。俺に体を預けろと言ったろう」 「でも……ルス……」 どこか不安げな声が耳元で聞こえて、何だかくすぐったい。 「怪我なら足だけだ。心配要らない。お前の体重くらい、軽いもんだ」 ぐいと肩を抱き寄せると、レイはじわりと俺に体重を乗せた。 はぁ、はぁ、と喘ぐように、繰り返し肩に熱い息がかかる。 レイの緊張が抜けるように、俺はその背を優しく撫でた。 「ゆっくりでいいから。動くのは、楽になったらにしろよ?」 一息ごとに、レイの身体が少しずつ重くなる。緊張が抜けてきているようだ。 「なぁ……」 か細い声が耳元で聞こえる。 「どうした?」 尋ねると「ぁー……お前、声が優し過ぎる……」と、これまたか細い声で言われた。 本題はどうした。 「俺ん中、さ、その……えっと……」 言いにくそうなレイのかわりに察する。 「ああ。温かくて、気持ちいい。今すぐ激しく突き上げたいくらいだ」 「そっ……そっか……へへ……」 安心したように小さく笑うレイが健気で、俺は力の抜けてきたレイを小さく揺らしてみた。 「あっ……ん……っ」 聞こえた甘い声に、もう大丈夫かと思えば、レイが自分から腰を揺らし始める。 うっ、これは、なかなか……いいな。 俺の背をぞくぞくと快感が上る。 「ふ……ぁ、う……んんんっ」 レイが、自分で腰を振りながら、切なげな声を漏らす。 「お前がいいとこに、当ててくれよ」 「っ、も、そんな事、言うな、よぉっ」 後ろは何故か、涙混じりの声だった。 どうしてだ? 俺が小さく首を傾げると、レイが俺の唇を塞いできた。 「ん、……ふ、……んん。……んぅっ」 レイが腰を揺らす度に、俺の口内にレイの小さな喘ぎが溜まってゆく。 息が苦しいのに、わざわざ口を塞がんでも良いだろうに。 レイの内で繰り返し擦られて、俺の下腹部にも熱が集まる。 ……ああ。久々だからか、あまり持ちそうにないな。 俺は、さっきの感覚を思い出しながら、レイの腰を両手で掴むと、ぐいと角度を変える。 「ぁああっ!」 びくりとレイの腰が揺れる。思わず唇を離したレイから嬌声が漏れた。 「レイ……感じたか?」 「ぅ、ふ……ぅ、聞くなっつったろ……っ」 レイが真っ赤な顔で、涙を滲ませながら答える。 「俺はそろそろイキそうなんだが、先にイッてもいいか?」 「っ、それも聞くのかよっ!」 俺がじっとレイの返事を待っていると、レイは小さく「ああくそ……、いいよ、好きにしてくれよ……」と答えた。 「中には出さない方がいいか?」 「お、お前……っっ」 「大事な事だろう」 真っ直ぐ見つめると、レイは諦めたように小さく息を吐いて、俺に口付けた。 「俺は……中に出してくれていいよ」 俺の耳元で、レイが囁く。だが体にはあまり良くないだろう。レイがどうしてもというわけでなければ、外に出しておく方が良いだろうな。 「あっ、ルス今、外に出しとこって思ったろ!」 正しく言い当てられて、目を丸くする。 「あー、えーと……だから、俺は……っ、掘られんなら、もう、せっかくだから……っ」 「中に、欲しいのか?」 「っっ!」 レイの顔が一気に赤くなる。 俺の答えは正しいようだ。 「……っ、も、そういうの、言わすなよな……」 ヘタリ。と俺の胸にレイが崩折れる。 「お前は言ってないだろう」 俺が真面目な声で返せば、レイが「……まあな」と律儀に返した。 俺の胸の、レイの頬が触れているところがポカポカしている。 こいつ、真っ赤になり過ぎじゃないか? 身体は大丈夫なんだろうか。 そっと、労るようにレイの髪を撫でる。 レイの髪はかなり乾いてきて、サラサラと指の間を流れた。

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